読者の皆様へ>

こちら『アイスプレスジャパン』まで見に来て頂いてありがとうございます。

こちらでは1月下旬、女子日本代表スマイルジャパンが北京五輪へ向けて日本を出発する直前に行われたリモート会見で、選手・監督が北京オリンピックへ向けて語った「強い想い」をお伝えします。
会見の要旨となります。文字が多くなりますが、ぜひご覧頂いて、選手たちの思いを共有して、スマイルジャパンを応援していただければと思います。

オリンピック期間限定の公開となります。

『スマイルジャパン』北京へ向かって 藤本(那)・鈴木選手

GK 藤本那菜選手

Q:以前の取材の時に怪我をされているということでしたが、現在の状況はどう上向いてきましたか。

藤本:けがはだいぶ回復してきていまして、プレー自体も、前回、前々回よりも通常のプレーができるようになってきたので、本戦に向けていい調整ができてきていると思います。

Q:自分の中で間に合いそうという自信が持ててきたという感じですか。

藤本:前回の会見の時は本戦に間に合うくらいかな? と思ってたんですけど、今回の合宿である程度本戦でも普通にプレーができる、100%でもできるんじゃないかなと先が見えてきた感じだと思います。

Q:去年はコロナで個人で練習したりとか、けががあったりとか苦しい一年だったと思うんですけど、五輪へのモチベーションはいかがでしたか。

藤本:ここ2シーズンは中々例年のような活動やプレーができないことも多く続いていたので、ここ最近といいますか、年明けてからいよいよだな、と。メディアの方というか、リンクでカメラを回していらっしゃる方たちの様子やチームの雰囲気、カウントダウンしてあと30日を切ったという段階で、いよいよという実感があって、モチベーションは徐々に上がってきていて、自分の体の状況が万全になりつつあって回復しつつあるので、今からさらに上がっていくんじゃないかなと思っています。

Q:心が折れそうな時期はあったんですか。

藤本:2年ぶりに行われるはずの4月の女子世界選手権が一旦中止になって、夏に異例のシーズン外というか、いつもならシーズンに入る前の基礎練習時期にあったのが8月の女子世界選手権。大会期間中も心が折れそうでした。度重なるけがというか、本戦中も100%のプレーができない状況が続いていたので、その後も回復しては悪くなってというけがの箇所も増えてという状況だったんですけど、本格的に活動し始めて、徐々に戻ってきたという感じはあります。8月や9月は今後どうしようかというのは考える時期だったので、ご指摘の時期は、その辺りかなと思います。

私はあまり相談するタイプではなく、自己解決型だと思うんですけど、選手や仲間たちが声を掛けてくれたりとか、家族とか、会社の方もそうですし。周囲のサポートのおかげかなと思います。

Q:ご自宅の練習場でお父さん、妹の那千さんと練習する状況だったと思います。五輪を前にご家族の支えはどのような存在だったか教えてもらえるでしょうか。

藤本:家族の支えは本当に大きくて。特に妹は日本に帰国してプレーするようになってからはマンツーマンでキーパー練習に付き合ってもらうことも多くて、シューターとして、コースを狙ってここに打ってほしいというところをあうんの呼吸じゃないですけど、昔から一緒にやってきているところもあって、難しい状況でも個人スキルを伸ばす練習に取り組めたかなというところがあって。父に関しては、最近はあまり指導はされなくなったんですけど、学生時代のように毎回改善点、修正点を言われる機会はなくなったんですけど、影ながらサポートしてくれたり、練習場を建ててくれたこともそうなんですけど、競技をやっていく上でも身の周りの環境を整えてくれたことはありがたいと思っています。

助言はあまり言われた記憶はないのですが、オリンピックまではあと少しだから頑張ってという背中を押してもらうような声掛けはしてもらったかなと。面と向かった話し合いは無かったんですけど、札幌の実家で一緒に住んでいる中で、ふとした日常会話でそういう雰囲気を感じ取ってくれて、活動しやすいような雰囲気づくりは、言葉にしないまでも、家の中もそうですし、周りも作ってもらってたんじゃないかなと。

Q:新たなデザインのマスクで臨むと思うんですが、何が描かれているのかとデザインについてのこだわりだったり、込められた思いを伺えたらと思います。

藤本:デザイン的には虎と富士山とか、バックプレートは鯉なんですけど、和をイメージしたデザインにしてまして、最初はデザインペイントをするかどうか検討段階だったんですけど、ソチ、平昌とデザインをしたマスクをかぶって本戦に臨んていたんで、前回の平昌でペイントしていただいた同じ方にお願いして、日本代表して臨むというのを……自分はマスクをかぶるのでペイントは見えないんですけど、それを見る選手たちがモチベーションを上げてくれたりとか、本戦に臨む気持ちになってくれたらというのがあって、今回もお願いしました。防具のカスタムもできるがGKのポジション特性かなと思うので、印象に残るデザインで、日本を代表している責任をイメージしながら、思いを込めてデザインしました。

Q:これまでも次の大会を集大成にとおっしゃられていましたけど、大会に臨む思いにこれまでとの変化はあるのでしょうか。

藤本:毎大会、気持ちは変わっているなと。変わらないのは、毎試合毎大会、これが最後だという気持ちで臨んでいるんですけど、今回は次世代につなげられるような結果が求められるんじゃないかなと思いますし、こういう中々難しい、スポーツ活動自体が難しい状況でもこういう風に活動させてもらえたりとか、そういう環境を継続して若い世代、これからの選手たちにより良い環境をつないでいくためにも、アイスホッケーは日本国内ではマイナー競技ですけど、もっと多くの人に知ってもらって競技人口が増えればいいなと思いますし、そういうのを含めて、結果。課程は大事なのはそうですけど、目に見える結果にこだわりたいと思っている大会です。

Q:ご自身は大会後どうしようかというのは決めているんですか。

藤本:毎回、最後という思いで臨んでいるんですけど、今回はけがも重なっていましたし。先のことはわからないんですけど、将来の選手たちにいいバトンをつなげられたらという気持ちではいるので、進退については大会が終わってからゆっくり考えたいなと思います。
本戦が終わったらいったん、ホッケーから離れたいという気持ちはあります。進退は本戦に臨んでみてどう思うかというところですね。いまのフォーカスポイントは、大会でいかに良いパフォーマンスをするために何をするか、というところに向かっています。

DF 鈴木世奈選手

Q:今回は3大会目になるんですけど、最初にソチに出たときとは、気持ちの変化はありますか

鈴木:最初のソチの時は予選を勝ってのオリンピックだったんですけど、初めてということでイメージがまったくわかない状況でオリンピックに臨んだ感じです。今回は3回目ということで、気持ちはチャレンジャーとして向かうということは変わらないんですけど、1回目と3回目というのでちがう気持ちで、新たな気持ちで臨みたいです。

Q:この4年間チームを見ていて、それぞれ1対1が強くなったなとか攻撃もDFも参加して強くなったとか、は感じているんですか。

鈴木:メンバーも変わっているというのもあって、クリエイティブな選手も増えて、攻撃面も厚くなっているっていうのもあるし、1対1のバトルというのも平昌のときよりもハードに戦うのを目標にやっています。ソチよりできていた印象はあったんですけど、今のチームはさらにハードにやって成長してきている印象はあります。

Q:おじいさまの高嶋守さんも3大会五輪に出場されていて、並ぶ形になったんですけど、おじいさんの凄さを分かったとか、どういう感情はありますか。

鈴木:あまり祖父の事は意識してはないんですけど、3大会というとただでさえアイスホッケー続けるには長い時間、トップレベルでやらせてもらっていることに関してありがたいと思っています。
祖父も長い間プレーしていたんだなと思うと、想像でしかないんですけど、尊敬している綿糸か無いですね。

Q:昨年の世界選手権から守備についてどんな課題認識を持って練習に取り組んできたかを教えてください。

鈴木:1対1のバトルで負けないとかハードに戦うということは意識しています。世界選手権に行ってみて、さらに海外の選手、アメリカとかとやってみて、ゴール前でのバトルでパックへの執着心も見て感じたので、そこは私たちも貪欲に守らないといけないということを学んだので、オリンピックに生かしていきたいと思います。

Q:日本の速いトランジションでゴールに向かう前提に守備があると思うんですけど、どのようにDFとして貢献していきたいか意気込みをお聞かせください。

鈴木:守りの時間は短い方がいいと思うんですけど、いい守りができれば、攻めにもつながるので、短い時間でハードに戦って前につなぐことを意識したいのと、体を張ったプレーをすることでチームの流れ、ベンチの盛り上がりといった面でもプラスになるので、体を張っていい攻撃につなげたいと思います。

Q:30代に突入されましたが、それだからこそインテリジェンスで良くなったとか、体力落ちたけど、他のところでカバーしているなど、年齢に応じたプレーの変化はありますか。

鈴木:ソチの時と比べてプレーがどう変わったかと言われると、プレー自体は足を動かしてハードワークするというところは変わっていないんですけど、経験を積んできて、海外でプレーしたりオリンピックに出てプレーすることによって、相手の動きだったりを読むことは経験の中で培ってきた力があると思います。ソチのころ比べても、より相手の動きを見て、「こういう風にプレーするだろうな」という考えたプレーができるようになったのはは変わったところかなと思いますし。体力面は1年1年積み重ねてきたのでがくんと落ちた感じはわからないんですけど、若い時とはちがうというのはわかっているので、しっかりケアをしてカバーしながらやっています。

取材・文/アイスプレスジャパン編集部

Update: