試合を重ねるごとに守備は成長している~ミラノ五輪へ向けて

取材・文/アイスプレスジャパン編集部

IIHF女子世界選手権トップDiv.日本時間8/29(月)22:00~
予選リーグ グループA
日本 3ー9 フィンランド

2022の今大会を迎える前に、大幅なメンバーの入れ替え・若返りが行われた我らがスマイルジャパン。特にDFのメンバーは、北京五輪メンバーで主力を務めた選手の引退が相次ぎ、世界選手権トップのレベルで戦い続けるには、新戦力の台頭が急務だ。

今回は特に、日本がグループAで戦うことができる貴重な機会。アメリカ、カナダ、フィンランド、そしてスイス。
世界の上位4カ国と真剣勝負を繰り広げることは間違いなく日本選手のレベルを高めてくれる。
日本が世界の強豪国であり続けるためにこれからの活躍が期待される2人の大型ディフェンス。
関夏菜美&笹野文香選手に、今大会での手応えを語ってもらった。

このクラスのスピードに慣れれば、日本はまだまだ上に行ける

Q:関さんと笹野さんにフィンランドとの試合後にZOOMインタビューに来ていただきました。ありがとうございます。
まず最初の質問ですが、今回の世界選手権でディフェンスとして4試合戦ってみて、世界との差を感じた部分と逆に世界と近づけたと感じた部分を教えてください

笹野文香選手 IIHF.com


笹野文香選手:じゃ、笹野いきます。
やっぱりアメリカ、カナダ、フィンランド、スイスと4戦を戦って、相手は個人のスキルも高いですがそれに加えてパススピードがとても速くて、そこで振られてフリーの選手を作られてしまう場面が結構ありました。そういったところがやっぱりAグループの各国は強いなと感じています。

日本のチームはプレッシャー対応だったり、組織的なディフェンシブゾーンのカバレッジの守りだったりはできています。そこから5人が連動した動きでシュートブロックや条件の悪い状況からパックをブルーラインの外に出せるよう、なんとか守っていくことは相手にも通用しているのではないかと思います。

Q:関さんは4試合戦ってみていかがですか?

関夏菜美選手:相手はシュートのコース、シュート力というよりもシュートのコースを狙うのがとてもうまいと感じています。フリーにさせてしまうと、すぐ得点に繋がってしまうということを、大会に来て痛感しました。

ただ、今日のフィンランド戦では、今までできなかったことが通用するようになってきていると感じていて。このクラスの相手のスピードに慣れていくことで、日本の女子ホッケー界もどんどん上に上がっていけるのではと思っています。

Q:成長を感じていますか?

笹野:はい。私は結構感じています。徐々に4戦を通して慣れてきている部分はあるかな、と思います。

関:何かあると相手に先に(パックを)取らせてその後に守る。というのが私の今までの守り方だったんですけれども、その前に相手に体を預けてパックを奪うことができるようになったといった部分は、大会を通して成長できているのかな、と感じています。

笹野:海外の選手は国内のリーグと違って、結構しっかりとボディコンタクトで当たってくるんですけれども、それが分かった上でこちらもボディコンタクトの準備ができているなど、そういうところでどんどん対応できるようになっていると感じますね。

Q:笹野さんは、北京五輪では日本のスタジオ解説でTVに登場していました。今回、ついに目標の地にたどり着いたといいますか、目標が実現しつつあるところだと思うのですが、実際に世界選手権の場に立ってみていかがですか?

笹野:そうですね、まだ自分ではアシスト数も多い方ではないですし、スピードも技術の面でもまだまだ課題はあるとは思っています。今回こうやってグループAで上位のチームと戦えるこの機会が本当に貴重なことであると思うので、ここでしっかりとアシストして、今後の世界選手権や次のミラノ五輪に向けて良い経験にできるように、これからまだまだ試合は残ってるので、頑張っていきたいと思います。

Q:ある意味この大会は、準々決勝からが本番とも言えると思うんですが、続く試合に向けて、意気込みというか抱負を聞かせてください

#7関夏菜美選手(写真右端) IIHF.com

関:今までメダル獲得を目指してきて、ベスト4を目標にチームとしては動いていますが、それが現実的に手の届くところにある状況なので、チャンスをものにできるようにチーム一丸となって頑張りたいと思います。

笹野:私も関さんが今話したように、やはりチームとしてはメダルのためにまず4強に入る、という点で次の試合が本当に大事な試合になると思っています。
相手はフィンランドかスイスのどちらかになるんですが、今回それぞれと戦ってみてどちらのチームからも得点は取れていますし、自分たちの守り次第でしっかりと勝利が見えてくると思うので、まず私たちディフェンス陣がしっかりと失点を防いで、少ないチャンスをしっかりと決め切って、なんとしても4強に入ることを目標に頑張っていきたいと思います。

Q:最後に、この大会はミラノ五輪に向けての第一歩だとも思うのですが、次のオリンピックに向けて、お2人がどんな決意を持って今回の世界選手権に臨まれているかお聞かせ下さい

笹野:北京五輪のメンバーからは漏れてしまって、次のミラノに行きたいっていう思いはもちろんあります。その中で今回はロシアが出場しないことで世界トップのチームを相手に戦えることで、若い選手も含めて初めて世界選手権に出たメンバーもすごい経験ができてそれはチームとしてもプラスになることだと思いますし、私個人としても国際大会の経験をどんどん積んでいって、次のミラノでは目標であった4強とかメダル獲得に向けて頑張っていきたいと思います。

関:北京五輪は選考のギリギリで落ちてしまいましたが、落選したときに、本当に周りの人たちに私は支えられていたんだな、ということを心から実感していました。なので、オリンピックで結果を出したいという思いは強く持っています。支えていただいているみなさんにも感謝というか、とても良い恩返しになると思うので。五輪や世界選手権などそういったところでしっかりと結果を残していきたいな、というふうに思っています。

<インタビュー終わり>

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