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こちら『アイスプレスジャパン』まで見に来て頂いてありがとうございます。
こちらでは1月下旬、女子日本代表スマイルジャパンが北京五輪へ向けて日本を出発する直前に行われたリモート会見で、選手・監督が北京オリンピックへ向けて語った「強い想い」をお伝えします。
会見の要旨となります。文字が多くなりますが、ぜひご覧頂いて、選手たちの思いを共有して、スマイルジャパンを応援していただければと思います。
オリンピック期間限定の公開となります。
『スマイルジャパン』北京へ向かって 指揮官は語る
飯塚祐司 女子日本代表監督
Q:北京まで1カ月を切りました。そのなかで、本番へ向けて一番意識していることを教えてください。
飯塚:過去の大会、ソチ、平昌と、初戦がスウェーデン戦ということで勝ち切れなかった。それもあって予選グループで波に乗れなかったので、まずは初戦を大事に、勝ち切っていい流れで続けていけたらと思っています。初戦スウェーデン戦を重きに置いてトレーニングをしているところです。
Q:世界選手権で6位となったことによる自信や好材料を教えてください。
飯塚:予選リーグで3勝1敗だったのですが、唯一負けたチェコに順位決定戦で勝つことができた。リーグでは0-4で負けたのですが、そこを修正し選手たちも試合勘などを取り戻したなかで勝てたのは、色々な意味で成果のあった大会だったと思います。
Q:五輪に向けた最終調整で、合宿で確認したいところは
飯塚:あすからの高校生とのテストマッチで、本番を想定してスペシャルプレーの確認を中心を行っているところです。とくにパワープレーと言いまして、向こうが反則している状態で人数が1人多い状態でのユニット、どういう5人の組み合わせがいいのか、または4人対3人の時はどういう組み合わせがいいのか、というところを中心に確認しています。一番どの組み合わせがゴールに近いのかというのを探し、最終的にどのラインでいくかというのを模索しています。
Q:スイスとは昨年の遠征で何試合か手合わせしていますが、いま1番確認したいポイントはどんなところですか。
飯塚:スイスとは予選リーグでは当たらずにその先になるので、どういうところを見るかというのはないです。北京五輪は(NHLサイズのリンクで)我々は急にくるボディコンタクトといった狭いエリアでのホッケーを余儀なくされるので、そういうところを確認できればいいかなと思っています。勝敗も大事ですが、本番直前のスイスとのテストマッチでは我々がやってきたことをそういう環境で出す、チームが慣れるというところで、いいテストマッチができればなと思っています。
Q:ここ2年間、海外勢との試合ができず苦しい時期があったと思います。この2年間で培えたものと、積み上げきれなかったものを改めて教えてください。
飯塚:世界選手権を8月にやって、その前に1試合だけ海外チームとテストマッチをできたのですが、その1試合でがらっと選手たちもプレーを思いだしたというか、戦い方も慣れて。今回も現地でスイスと1試合できますので、そこはネガティブにはとらえていないですね。1試合できれば試合勘を戻せるかなと考えています。
2年間できなかった対海外勢との試合以外に、フィジカルの弱い部分を補う筋力トレーニングなど自分たちの体を鍛える時間をいっぱい取れた。その辺りに時間を取れたので、体の強さとかボディコンタクトの強さはチーム全体が上がってきています。そこは海外勢にも引けを取らないで戦える、ポジティブな部分として考えています。狭いエリアでボード際の1対1とか2対2のパックの競り合いで負けることが、体が接触して倒れるシーンが大幅に減った。そこから分厚い攻撃であったり、ディフェンスゾーンでの奪い合いに勝ってディフェンスゾーンの時間を短くしたりと、いい方向にいってると思います。
Q:守備面のことなんですが、前回平昌で山中監督が守備戦術を徹底してきたなかで、この4年間、飯塚監督は守備に関してどういう積み上げを踏まえて練習してきたかをお聞かください。
飯塚:私の中では最終的にシステムはどうこうというのは4年前と変えていませんし、一定の守りのルールというのは変えてません。ただ、1対1で負けて最終的に相手のスコアリングチャンスを与えていることが多いので、1対1で負けない、パックを奪うという技術をこれまでつけてきました。
それはオフェンス面とディフェンス面に同時に生かされると思うんですね。1対1で負けることを少なくすればディフェンシブゾーンでもパックを支配されることが少なくなる。システムは変えてはいないので、守備面では悪くはなっていないと考えています。
Q:監督から見て、もちろんどの選手も大切だと思うんですが、日本が勝っていく上でのキーマンはどなただと思ってらっしゃいますか。
飯塚:キーマンを1人挙げるのは難しいですが、これまでも海外での試合というのは得点を取ることに苦労してきましたので、世界の舞台でコンスタントに得点をしている久保英恵だったり、志賀紅音、床秦留可だったり、得点に絡んでくる選手はいいパフォーマンスで臨んでくれたらなと思っています。
Q:志賀姉妹のこの4年間の成長を監督はどのようにご覧になっていましたか。
飯塚:志賀姉妹が最初にナショナルチームに来はじめたのは5年くらい前ですかね、ものすごく体力がない2人で、スタミナもなくて、練習は1日を乗り切る体力がなかったというところが1番のウイークポイントで、そこは2人ともチームを変えたこともあって成長したところなんですよね。あと、ナショナルチームの活動でも負けん気というか気持ちの強さもそうですし、体力面は強くなってきたと思います。
志賀紅音をFWにしたというのは、中々いないタイプというかシュートを打ちたがる選手なんですよね。もちろんシュートはものすごく強いんですけど。自分勝手打つことはないですが、チャンスだったら遠慮なしにシュートを打ちたがる選手なので、DFで使うよりも前側でよりシュート数があるポジションで使った方が、スコアシーンが描けるかなと。
本来2人ともFWにしたかったんですけれども、姉の方には「絶対に嫌です」と言われたので、妹には優しく「どうだ?」と言ったらやる気になってくれました。最初はお試しで、という入りだったんですけれども、それが今日まで至っているということです。
Q:お姉さんが絶対嫌だといったのはどういった理由だったんでしょうかね。
飯塚:イメージ的にFWの方が走らなきゃいけないと思うんですね。2人とも当時は走るということに苦手意識があったのかなと思います。今は2人とも走れるようになったんですが、縦の直線的なスピードだったりスタミナだったりとDFの方がまだ利くポジションなので、走り回ることに苦手意識があったんだと思います。
Q:北京本番に向けて、監督の中で手ごたえをつかんでいる部分はありますか。
飯塚:けが人もいなく、スペシャルプレーの練習も順調に進んでいますし、オリンピックが近づいてきていることで練習にも身が入っていて、選手たちのモチベーション含め良いチームの状態なので、あとはコンディションを維持して本番に臨めれば、と思っています。
取材・文/アイスプレスジャパン編集部