取材・文/今井豊蔵 写真/アイスプレスジャパン編集部・今井豊蔵

新戦力・鈴木ロイのゴールで一矢を報いた横浜グリッツ。“初勝利”はいつ訪れるか? 写真/今井豊蔵

新戦力が実力示した横浜グリッツ 悲願の“初勝利”へもう待ったなし

■アジアリーグジャパンカップ 横浜グリッツ1-3東北フリーブレイズ(0-0、0-1、1-2)
【得点】樫野、生江、田中(東)鈴木(横)

アジアリーグ参戦2年目の横浜グリッツは18日、東北フリーブレイズと戦った地元開幕戦を1-3で落とした。

序盤から何度も好機を得ながら得点につなげられず、第2ピリオドに先制点を許し追いかける展開に。2点を追う第3ピリオド10分56秒に、新加入のFW鈴木ロイのゴールで1点差に追い上げたもののそこまで。最後は6人攻撃を仕掛ける中、無人のゴールにパックを放り込まれた。

開幕週のクレインズ戦を2連敗して迎えたホーム初戦、グリッツは昨季から進化した姿を本拠地のファンに見せつけた。序盤からパックをキープする時間が明らかに長く、再三東北のゴールに迫った。シュート数は横浜が29本、東北が37本。シュートに至ることすらままならなかった昨季序盤の姿は、もうない。

浅沼芳征監督は「今までと比べて、敵陣で攻められていると思います。単発が多かった攻撃も、試合の後半は粘りが出て来た。ただ最後の1本への集中力が、まだ足りない」とゲームを振り返り「新しい選手が入って、スキルアップもしている。もう少し修正して、ひと粘りできるようにしていきたい」と白星への課題を口にした。

この日唯一のゴールが生まれたのは第3ピリオド10分56秒、このオフ東北フリーブレイズから移籍してきた鈴木が決めた。ゴール左に出たリバウンドにしっかり詰め、叩いたものだ。新天地での初得点に「今日は自分にとって古巣が相手。一層気合は入っていましたし、必ず勝ちたいと思っていた。いいプレーをして、フリーブレイズの選手に認められたいと言う思いがありました」と、笑顔をはじけさせた。

鈴木のゴールシーン。GKよりも一瞬早くパックに反応した 写真/今井豊蔵

昨季、東北ではわずか6試合出場に終わった。「文武両道でやりたい」という思いもあり、チームとしてデュアルキャリアを推し進めるグリッツの門を叩いた。浅沼監督は「貪欲にゴールを狙いますし、チームと一生懸命コミュニケーションをとろうとしている姿もいい。これがいい自信になってくれれば」と活躍に目を細める。

開幕から、FW平野裕志朗、FW池田涼希と組む看板ラインで出場機会を得ている。「スピードもフィジカルもある選手と一緒なので、パックを奥に入れて、相手に嫌がられるプレーをしよう」と意思統一している。「もう少しやり切れたら。もっとしつこく行ってもよかったかな」と、さらに上を目指していく。

 
鈴木のゴールが今後へと繋げるきっかけとなるか? 写真/編集部

対戦相手には早稲田大の後輩。お互いの活躍が刺激に

鈴木のゴールの3分前には、東北のルーキーFW生江太樹がトップリーグ初得点を挙げていた。早大の後輩が見せた活躍はいい刺激となり「大学時代から気にかけていた後輩です。きょうはパワープレーでもゴール前で粘りを見せたり、いいプレーをしていた。先輩として自分の仕事をやって、やり返したいなと思っていました」。得点という最高の結果で、見事なお返しを決めた。

グリッツには新戦力として、鈴木の他にもバックスでプレーしたFW岩本和真が加わっている。さらにこの日からクレインズやバックス、東欧でのプレー経験もあるDF秋元デニスが戦列に加わった。それでもDFは5人。4つのラインを組めるようになったFWと比して数が足りない。DFの負担を減らすためには、いかに敵陣でプレーする時間を長くできるかがカギになる。この日は高い位置で体を張ったシュートブロックも見られるなど、チーム全体で意識は共有できている。

明日は勝ちたいとの言葉は、封印したい

19日の試合をもって、2シーズンにわたりチームのお手本となってきたFW平野裕志朗が米ECHLのシンシナティ・サイクロンズへ移籍するためチームを離れる。勝利と言う結果を贈り、チームの成長を示せる最後のチャンスだ。浅沼監督は「明日は勝ちたいという言い方は、そろそろ封印したい」。いい試合では、もう満足できない。白星へ待ったなしだ。

Release: