アイスバックスが2-2の同点から延長GWS戦でレッドイーグルスをくだし連勝

勝利を喜ぶ、アイスバックス攻守の立役者(写真:今井豊蔵)

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/今井豊蔵、編集部

アジアリーグアイスホッケー2024-25シーズン
9月14日(土) レギュラーシーズン@栃木・霧降アイスアリーナ

栃木日光アイスバックス 3(0-0、2-1、0-1、延長0-0、GWS1-0)2 レッドイーグルス北海道
ゴール:【アイスバックス】佐々木、磯谷 【レッドイーグルス】中島x2
GK:【アイスバックス】福藤 【レッドイーグルス】成澤
シュート数:【アイスバックス】29(8、11、7) 【レッドイーグルス】28(7、9、10)

観客席はオレンジ色の波に埋まった。アイスバックス3年連続でホーム開幕白星発進

 栃木日光アイスバックスにとってこの日は日光霧降アイスアリーナでの”ホーム開幕戦”。そのアイスバックスは延長GWS戦までもつれこむ激戦を制し、1520人のファンで埋まった観客席を歓喜させた。

 5人対5人で行われるGWS戦、先行のアイスバックス4人目は寺尾勇利。その寺尾がパックをバックハンドで浮かせて相手GKの肩口をふわりと越すような妙技を見せてGWSを2-0とし王手をかけた瞬間、今季からキャプテンに指名された鈴木健斗がベンチ前フェンスからさらに高くジャンプして寺尾に抱きつき、感情を爆発させた。

「ちっとフライングでしたけれども、思わず彼のもとへ身体が動いてしまいました」とそのシーンに試合後鈴木健斗は思わず照れ笑い。しかし、それほどこの日の勝利を渇望していた証でもあった。

両者無得点の第1ピリオドから一転。お互いに点を取り合う展開

 第1ピリオドはお互いに探り合うような動きで両者無得点。試合が動いたのは第2ピリオドになってから。4分17秒にゴール裏での展開から出たマイナスのパスにDFの佐々木祐希がゴール右サイドからタイミング良くシュート。このシュートが相手選手に当たって跳ねたパックがふわりと浮き、GKも止めようというタイミングが一瞬ずれたうえにシュートの勢いが勝って、これがゴールへと吸い込まれアイスバックスが先制する。

アイスバックスの先制点は40佐々木。ほぼ満員の観客席が一気に湧いた(写真:編集部)

 しかしその45秒後にレッドイーグルス北海道もすぐさま反撃する。今季新加入の安藤優作がアタッキングゾーンにパックを持ち込んでゴール裏でうまくタメを作ると、その後高橋聖二、ハリデー慈英の連続攻撃から最後は右のポスト付近でリバウンドを拾った中島彰吾がきっちりとゴールにパックを流し込んだ。

レッドイーグルスも19中島彰吾の技ありゴールですぐに反撃した(写真:編集部)

 その後両者ともに惜しい攻撃が続くなか得点までは至らず迎えた第2ピリオド中盤。アイスバックスがパワープレーのチャンスをつかむと9分13秒、相手陣内に攻め込むなかで左サイドから磯谷奏汰が意表をつくタイミングかつバックハンドシュートでゴール右隅を狙う。これが見事にレッドイーグルス成澤優太が守るゴールをこじあけて2対1とリードする。

磯谷奏汰選手。ホーム開幕のこの日、パワープレーから一時勝ち越しとなるゴールを決めた(写真:編集部)
磯谷は勝ち越し弾にこのガッツポーズ(写真:編集部)

残り時間わずかでレッドイーグルスが同点に追いつく

 第3ピリオド、そのまま逃げ切って勝点3確保を図ったアイスバックスに対し、レッドイーグルスも国内ナンバーワンチームたる意地のゴールを見せる。試合残り3分を切った17分13秒、左サイドのやや深い位置から中島彰吾が強烈なシュートを放つと、これが福藤豊の守るゴールをやぶり土壇場で2対2の同点とする。

中島彰吾がこの日2点目。残り3分切ってレッドイーグルスも2-2に追いつく

GWS戦、守護神・福藤が完璧なセーブでチームを勝利に導く

  試合は2対2のまま延長に突入。延長開始2分過ぎ、レッドイーグルスは高橋のシュートが左のポストを叩くがバックは無常にも外側に弾けてVゴールとはならず。結局延長は両者無得点で終了し、試合の決着は5人対5人によるゲームウイニングショット(GWS)戦で決まることとなった。

GWS戦、先行のアイスバックスは4人目寺尾勇利が決めて王手をかけた(写真:今井豊蔵)
寺尾のゴールを別角度から(写真:編集部)
ゴールを決めてベンチに凱旋する寺尾(写真:今井豊蔵)

 GWS戦の先行はアイスバックス。1人目の出口圭太が決めてアイスバックスがリードすると、守っては福藤豊が獅子奮迅の働きを見せる。福藤は小林、高橋、髙木、安藤とレッドイーグルスのペナルティーショット4本を全てストップ。アイスバックスは寺尾勇利が4人目でゴールを決めてGWSを2対0とリードすると最後はレッドイーグルス 4人目安藤優作のシュートを福藤が止めて勝負あり。アイスバックスが延長GWS戦にもつれ込む激戦のすえ、レッドイーグルスをくだして勝点2を手にした。

レッドイーグルス4人目を止めて福藤もこのポーズ(写真:今井豊蔵)
ゲームMVPに選ばれた福藤は試合後ファンの声援に応える(写真:今井豊蔵)

アイスバックスはHLアニャン、レッドイーグルスと強豪相手に2連勝

 これでアイスバックスは先週のHLアニャンとのアウェー戦2試合目に続き2試合連続でのGWS戦での勝利。開幕戦こそ落としたもののその後2連勝とし、勝点を積み上げた。昨季のプレーオフ進出2チームに対しての連勝は今季を占う上でも非常に価値が高い勝利だ。今季アイスバックスは長年アイデンティティーとしてきたフィンランドスタイルの細かくパスを繋ぐホッケーを“封印”。勝つためによりシンプルな戦術に組み替えて今季に臨んでいるという。まだそれについての結果を論じるには早いが、強敵相手に結果を残しているのは悲願のリーグ優勝に向けて明るい材料だ。

アイスバックスがこの後優勝戦線の主役になれるかどうか? まずは日曜日、9/15のレッドイーグルス北海道との再戦でどれだけのパフォーマンスを見せられるかにかかっている。

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