未来を創造へ。アフリカ5ヵ国の選手とフリーブレイズが交流

3/16の試合後に再会を喜び、お互いのユニフォームを交換した伊藤崇之選手(左)とリティム選手

取材・文/アイスプレスジャパン編集部
写真/東北フリーブレイズ、アイスプレスジャパン編集部

アジアリーグアイスホッケーはレギュラーシーズンが終了し、いよいよシーズンのチャンピオンを決めるプレーオフファイナルに突入している。

ファイナルの情報は記事にて随時お届けする予定だが、アイスプレスジャパンでは今季のアジアリーグアイスホッケーにおいて印象に残った各チームのトピックスなどもご紹介したい。

今記事では、レギュラーシーズンも最終盤、東北フリーブレイズのシーズン最終節となった3/16&17の東北フリーブレイズ対横浜グリッツ2連戦で、あるアフリカの代表選手がフリーブレイズのゴールキーパー(GK)伊藤崇之選手と東京で再会し友情を確認しあったというエピソードをご紹介したい。

伊藤崇之選手は法政大を卒業後、活躍の場を求め海外挑戦。大学卒業後すぐにフィンランドで2季プレーした後、2021-22シーズンはフランス4のチーム、シャンピニーでプレーしたが、その時に同僚だったのがアルジェリア代表キャプテンのアロンド・リティム選手。3/16に西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナで行われた東北フリーブレイズ対横浜グリッツ戦の試合後に2人の邂逅が実現した。

アイスホッケーを通じて異文化交流。フリーブレイズも全面支援

今回、選手が来日した取り組みは「FRIENDSHIP LEAGUE」と呼ばれるスポーツの力によって異文化交流を促進する組織、その活動の一環としておこなわれたもの。

「FRIENDSHIP LEAGUE」のメンバーによりアフリカ各国のユニフォームも販売された。売り上げの一部はアフリカでのアイスホッケー普及に

アフリカ5ヵ国(モロッコ、アルジェリア、エジプト、ケニア、南アフリカ共和国)から来日した代表選手ら8名が、スケジュール 3 月 13 日~ 23 日 の日程で活動。そのなかでも 3 月 16 日~ 19 日は東北フリーブレイズがホスト的な存在となって、彼らがフリーブレイズの試合を観戦・応援したほか、3/18・19にはフラット八戸でフリーブレイズとアフリカの選手たちが合同練習を行い、交流を深めた。

3/16&17日の両試合で先発GKを務め、チームの3連勝フィニッシュに貢献した伊藤崇之選手は試合後にリティム選手との対面が実現。フランスで苦楽をともにしたリティム選手からの「フランスではシャ・ノワール(黒猫)というニックネームでみんなから呼ばれていたんですよ」との声かけには「その時は黒い防具を使っていましたからね」と伊藤(崇)選手も少しはにかみつつも嬉しそうな表情を浮かべ、ガッチリと握手を交わしていた。

独特の色彩が魅力的だ

リティム選手は「フランスでの伊藤選手はとても真面目で、ゴールキーパーとしての闘志を持ったプレーを常に見せてくれました。心からリスペクトできる存在で、一緒にプレーができたことは本当に自分の誇りです」と話し「今日の試合も非常に高いレベルのなか、またプレーの精度をあげましたね」と元同僚を称えた。

伊藤(崇)選手もその言葉には「まさか日本でこうやって会えるとは思っていなかったですし、試合を見てもらえたのは光栄でした。幸せな気持ちになりましたね」と笑顔を見せ、「リティム選手はチームリーダーでとてもタフな選手。一緒に八戸で練習できるのは楽しみです」と語ってくれた。

八戸での合同練習がアフリカ各国のアイスホッケー強化へと繋がっていく

19日に八戸に移動した「FRIENDSHIP LEAGUE」のメンバーは、2日間にわたりFLAT八戸でフリーブレイズに加え女子のクリスタルブレイズの選手と合同練習を行った。

八戸では、東北フリーブレイズ&クリスタルブレイズの選手と氷上練習をともに(写真提供:東北フリーブレイズ)

「FRIENDSHIP LEAGUE」の選手たちはアフリカ各国でのアイスホッケー普及の核となる存在とあって、練習に向かう態度も真剣そのもの。より良い練習方法や戦術を少しでも母国に持ち帰ろうと、フリーブレイズの選手を質問攻めにしていた。またリティム選手と伊藤(崇)選手がペナルティーショットで対決するシーンも。

その後アフリカからのメンバーは、八食センターでフリーブレイズの選手と一緒に交流を深めながら昼食をとったり、根城の城跡見学や櫛引八幡宮を参拝するなど、盛りだくさんのプログラムに精力的に取り組んでいた。

↑フリーブレイズによるXのポスト。八戸での合同練習は地元TVでも時間を割いて紹介された

アイスホッケーという“共通語”を通してお互いの交流を深め、またアフリカのアイスホッケーを盛んにしていく第一歩としよう、というこの取り組み。フリーブレイズの選手にとっても貴重な経験となったことだろう。
またダイドードリンコアイスアリーナでは、アフリカ各国の代表チームユニフォームが販売され、そのカラフルな色彩に興味を持ったファンの方も多かったようだ。そのユニフォームの売り上げは「FRIENDSHIP LEAGUE」を通じてアフリカでのアイスホッケー普及に使われるとのこと。

八戸での練習を終えて、笑顔を見せる来日メンバーと選手たち(写真提供:東北フリーブレイズ)

アイスホッケーを1つのきっかけにこのような取り組みが行われることは素晴らしいと感じる。いつかはリティム選手のアルジェリアをはじめアフリカの国々も世界ランキングの常連となるような未来が訪れ、そこに日本の選手やコーチとの交流もより深まってほしいと願っている。

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