「何かをしてやろうと常に思っている」
アイスバックスFW清水怜が古橋真来から得た生存術
取材・文・写真/今井豊蔵
アジアリーグアイスホッケー2023-24シーズン
12/23(土)@KOSÉ新横浜スケートセンター 観衆:1115人
横浜グリッツ 4(0-2、1-1、3-2)5 H.C.栃木日光アイスバックス
ゴール:【YGR】杉本、ホートン3【NIB】宮田、寺尾2、清水、出口
GK:【YGR】古川【NIB】福藤
シュート数:【YGR】40【NIB】33
全日本選手権の優勝と引き換えに…大黒柱が2か月の戦線離脱
全日本選手権での優勝という吉報と引き換えに、アイスバックスにはつらいニュースも流れた。今季アジアリーグでチームトップの14得点をマークしているFW古橋真来(ふるはし まくる)が右手首骨折で戦線離脱したのだ。全治までの見込みは2か月。たった2チームしか枠がないプレーオフ進出へもう後がないチームは、エース抜きでの戦いを強いられる。
負傷発表直後の12月23日に行われたグリッツ戦は、その試金石だった。
古橋の定位置だった第1セットのセンターフォワード(CF)でメンバー入りしたのは、同じセットでウイングとして組むことが多かった3年目のFW清水怜(しみず りょう)だ。第2ピリオド2分30秒、3-0とリードを広げるゴールを決めると、そのまま氷上を転がって大喜び。チームメートに手荒い祝福を受けた。
アジアリーグアイスホッケーのハイライト映像。清水選手のゴールは1:22~↓
「チーム全体でダメなところ、修正するものはありましたけど、とにかく勝てたことを喜びたい」と清水。今季は上位のFWラインで起用されることが増え、自信を持ってプレーできるようになったという。「何かをしてやろうと常に思っています。パックをキープして走るだけでなく、パスを出したりゴールを決めたりすると自信がついて欲がでる。1年目は必死というか、食らいつくだけだったので……」。
「アイスバックスも若手が底上げしないと」強い決意で残り試合に臨む
考え方が変わる大きな要因となったのが、他ならぬ古橋の存在だった。「(古橋)真来さんや(寺尾)勇利さんと存在感のあるプレーヤーを見て、身にしみて感じたんです。いざという時に頼りになる。今は真来さんがいなくても勝たないといけないので」。この日のゴールはゴール前で2対1の数的有利を作り出してのもの。パスも頭をよぎったが、チームメートから「打て」との声が飛んだ。自らシュートに行き、決めきった。
「監督からも、シュートをしないでパスミスとかでプレーが終わるのは本当にもったいないといわれています」。プレーオフ進出にはもう負けられない状況。1月13日からは、食らいつかなければいけない2位のレッドイーグルスと本拠地での2連戦が待つ。
「自分がゴールを決めないと、と思えるようになりました。バックスも若手が底上げしないといけない時期に来ている」と言い切る背番号48に注目だ。