東京ワイルズが釧路で移転後初となるホッケースクールを開催

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/アイスプレスジャパン編集部
子どもたちの「My Hero」が釧路に帰ってきた。今季から新リーグ・EXTREME ICE HOCKEY LEAGUE(XHL)に参戦する東京ワイルズは8月9日(土)に釧路・KKS釧路厚生社アイスアリーナで小学生を対象としたアイスホッケースクールを開催。齊藤毅監督と河合龍一選手、木綿宏太選手が指導するスクールにはおよそ30名の子どもたちが参加しスケートリンクには練習に励む子どもたちの声とスケートが氷を削る心地よい音が響き渡った。
今回のアイスホッケースクールは東京ワイルズが主催し小学生年代を対象に開催された。釧路でのスクールの試みはチームが東京ワイルズとなってからは初の取り組みとなったが、スケートのエッジワークを意識付けするメニューからスティックを上手く取り扱ってのパックコントロール、コーナーでの身体の入れ方やパックの奪い方など多岐にわたるメニューに子どもたちが真剣に取り組む様子が印象的だった。

子どもたちの熱心な姿勢に選手も「刺激を受けました」
どの子も氷に乗った瞬間から素晴らしい動きで元気にリンクを駆け回っていた様子はさすが氷都・釧路。なかには小さな頃から齊藤監督はじめ選手に指導を受けているジュニア選手もおり、久しぶりの「My Hero」からの指導に目を輝かせながら一生懸命にトレーニングのメニューに取り組む子どもたちの姿はとても印象的だった。
指導に当たった河合龍一選手に話を聞くと「今回は小学3、4年生が中心だったので僕らがここでプレーしていた事も知らない子が多いかもしれませんが、やはり純粋にアイスホッケーを楽しみ上手くなろうという姿勢が”釧路はアイスホッケーの街”だと言えるところだと思います。それが子どもたちから伝わってきて僕自身も非常に刺激をうけました。率直に言っても(子どもたちの)プレーレベルが高く、教えたことをすぐにくみ取ってその次のプレーで表現できるところも素晴らしかった」とまずは子どもたちの練習姿勢について触れたあと、「人の話を聞いてそれを実践するという一番大事な部分が備わっている子たちが多かったです。吸収する姿勢といった心の部分は1日ですぐに教えられるものではないので、この釧路で積み重なっている歴史という部分も大きいと感じました。これだけのポテンシャルを持っている釧路の子どもたちに少しでも上手くなってもらえ、楽しんでもらえたので良かったと思います。僕もまだまだ成長したいと思っているので年齢性別関係なく良いところは取り入れようという姿勢で臨んでいますが、今回子どもたちの『負けたくない』という気持ちを逆にパワーにさせてもらいました」と子どもたちの姿勢から本当に刺激をもらえたと笑顔で語ってくれた。

1時間半におよぶ氷上練習の最後にはリンク全面を使ったゲーム形式で試合さながらに得点を奪い合うメニューが組まれ、子どもたちは目を輝かせてオフェンスにディフェンスにと縦横無尽にリンクを駆け回り、ゴールが決まるたびにリンクには子どもたちの歓声が響き渡っていた。


木綿宏太選手も終始笑顔かつ情熱的に子どもたちを指導。木綿選手は「最後のゲーム形式練習では子どもたちの情熱に煽られてたくさん応援の声をだしてしまいました(笑)。僕も1年釧路に住んだ身ですので釧路でこういう形のスクールができるのは嬉しいことですし、釧路の小学生たちはとてもレベルが高いと感じました。今回の指導では練習メニューにしっかり取り組んでもらうことと、少しでも子どもたちの将来に向けて生きていく部分があればと思い要所では細かいプレーの指示をして行くことも心掛けていました。『このプレーはこうしたら良いんじゃないかな?』と提案したことに対して、すぐに実践してくれる真面目な子どもたちばかりだったので、これからもどんどんアイスホッケーが上手になってくれると思います。釧路にルーツがある東京ワイルズとしても今回のようなスクールやイベントに参加できて、釧路のみな様に元気な姿を見せることができたらと思います」と子どもたちのポテンシャルの高さを絶賛しつつまた次の機会での再会を楽しみにしている、と語ってくれた。

練習後、東京ワイルズ・齊藤毅監督にも話をうかがった。
―――久しぶりの釧路でのスクール、いかがでしたか?
齊藤監督「何人も自分が(指導で)見てきた子どもたちがいましたので、まず自分自身が一番楽しく指導をすることができたと思います」
―――ここ釧路でスクールを開催できた意義は?
齊藤監督「参加した子どもたちからも『いつも動画見てます』とか『釧路じゃないけど頑張ってください』といわれた言葉を聞いて、やはりここでスクールを行う意味も有ったと思うし、この活動をぜひ継続して行きたいと思います」
―――それにしても子どもたちが最初に氷にのった瞬間、さすが釧路の子は上手いな、と思いました
齊藤監督「そうですね。でもスクールで教えたことにすぐにトライしてくれる子どもたちが多くて。ワイルズの名前を子どもたちが口々に言ってくれたことも嬉しかったですし、今後もこういった普及育成の活動を続けて行きたいです」
今後も東京ワイルズとしては関係各所との調整を経てチームのルーツである釧路においてホッケースクールをはじめとし、子どもたちへアイスホッケーの楽しさと技術を教える試みを行う予定とのこと。ジュニア年代でのアイスホッケーの灯を絶やさず、釧路からまた素晴らしい選手を輩出するために、さまざまな試みが始まっていることを感じた取材だった。