”交流戦ラストゲーム”に燃える東京ワイルズ。
”無敗堅持”へ。若きゴールハンター上野が魅せ、GK磯部が最後の砦となる

10/20の試合で貴重な先制点を挙げたシュートの瞬間。上野鉄平はガイシアリーナでもそのスピードと技とでファンを魅了する

取材・文・写真/アイスプレスジャパン編集部

11/16(土)15:30フェイスオフ、『名鉄観光 presents 名古屋オルクスホームゲーム 名古屋オルクス vs 東京ワイルズ エキシビションマッチ in ガイシアリーナ』。アウエーチームとして名古屋に乗り込むのが東京ワイルズだ。
 “交流戦初勝利”を目指す名古屋オルクスに対してどんな戦いぶりで東京ワイルズは集まったファンを魅了するのか? アイスホッケーファンの注目が集まる。
 2000人以上の収容を誇る日本ガイシアリーナでの試合。東京ワイルズにとってもエキシビションマッチという位置づけとはいえ、こういった大きな会場で試合をすることは久しぶりであり、選手たちも楽しみにしていることは間違いない。
 前節の対戦では、邦和みなとで行われた2連戦で10/19(土)に4-1、10/20(日)に3-0で勝利。対名古屋オルクスの連勝を6に伸ばした。対戦成績はここまで8戦して東京ワイルズの7勝1引き分け。ワイルズとしては無敗のまま今季のシーズンを締めくくりたいところだ。

初の「C」マークを左胸につけた上野鉄平が躍動

 10/20の試合ではやや守備的な戦術で挑んできた名古屋オルクスに対して、なかなかゴールを奪うことができず第2ピリオド5分過ぎまで0-0の展開が続いた。そんな流れのなか、ワイルズに待望の先制点をもたらしたのがいまや攻撃のエース格にまで成長した上野鉄平だった。
 上野はニュートラルゾーンでパックを保持すると、そのまま1人で左フェンス際をドライブしてアタッキングゾーンに切り込む。最後は左45度の角度から鮮烈なシュートを放ち、ゴールの枠をしっかりと捉えた。
「あれはもうイメージ通りというか、2対1の場面だったのでその味方選手と相手GKとの距離感なども計りながら、ここは自分がシュートを打った方が良いな、というところだったので思い切って打ちました。それが良かったのだと思います」と上野。点取り屋としての嗅覚はワイルズでの試合を重ねるごとに研ぎ澄まされているように見える。

得点に繋がった上野鉄平のドライブ

 膠着状態だった試合はその上野のゴールから動き出し、続く木綿宏太の追加点、そして荒井詠才のダメ押し点へと繋がっていく。試合を動かす能力のある選手へと上野は成長を見せている。

 またこの2連戦は山崎勇輝キャプテンに代わって「C」マークを左胸につけた。山崎のケガによる欠場に伴っての措置だったが、その「C」マークに恥じない堂々たる戦いぶりだった。

試合後、上野選手はファンの声援に応える

「(キャプテンの話は)急きょ金曜日に言われて。あまり気負うことはなくプレーできたと思います。今まで通りチームのために戦うということは変わらず、自分が率先してプレーで見せていけたら良いなと思ってはいましたが、あまり『C』マークのことは意識しないようにしていました」と語りつつも、上野は「山崎キャプテンがいなくて人数が少ないなかの2連戦で、体力的にもすごい厳しかったんですけれども、その中でも2試合勝ち切れたことに、すごく手応えを感じています」と充実の表情を見せてくれた。
 上野は2002年8月31日生まれの22歳とまだまだ若いが、ゴールハンターとしての成長ぶりはすさまじい。先輩たちから多くの助言を受けて順調に成長しているようだ。この試合でも多くのファンが上野鉄平選手をお目当てに応援に駆けつけるなど人気もうなぎ登り。11/16の試合でも注目の存在であることは間違いない。

高い身体能力を誇るGK磯部が完封。ガイシアリーナでも好セーブで”魅せる”

磯部は最後まで集中力を切らさずチームを完封勝利に導いた

 いっぽうその試合でワイルズを完封に導いたのがGKの磯部裕次郎だ。
 この日は緊迫した試合展開にもかかわらず序盤から落ち着いたゴールテンディングを披露した。第1ピリオドからカウンターからのオルクスのシュートをしっかり防ぐ。第2ピリオドも上野の先制点のすぐあとにワイルズは2人少ない3人ー5人のショートハンドのピンチとなったが、そこを磯部が獅子奮迅の活躍を見せ無失点で守り抜いたのはさすがのひとこと。チームを大きく助けるプレーぶりだった。
「チームとしては”シンプルにプレーしよう”と言って試合に臨んでいました。僕自身もGKとしてそんなに難しいプレーはせず、でも、ここぞという所では魅せられるようにと思って今日は守っていました」と自らのプレーを振り返った。
「昨日からの連戦で、今日はみんな体力的にも大変そうで。ましてや山崎キャプテンのケガでコンバートした(齊藤)哲也さんと越後さんがDFに入るなど結構満身創痍みたいなところもあって。今日は完封で抑えようなどとはまったく頭にはなかったですが、試合の展開的にも『絶対に先に点を許してはいけない』と思って集中力を切らさずプレーできました。それこそ、そこでチームを助けられるのは僕しかいない、というくらいに気持ちを入れて守ることができたと思います」(磯部)
 磯部の身体能力の高さは相手チームの選手やコーチも認めるところ。そのダイナミックなゴールテンディングは見るものの心を掴んでやまない。

至近距離からのシュートも数多く防ぎ、ゴールを死守した

 そんな2人に11/16(土)の交流戦ラストゲームに向けての抱負を聞いた。

「今シーズンもたくさん名古屋で試合をしてくる中で、交流戦ラストゲームということでぜひたくさんの方々に見に来ていただきたいですし、いままでアイスホッケーを見たことのない新しいファンの方にも僕たちのプレーを見ていただきたいと思っています。友達とかご家族とか、周りの方を連れてきていただいて、ぜひアイスホッケーの迫力あるシーンの数々を直に感じて楽しんでください」(上野)

「もちろん止めるのがキーパーの仕事ですけれども、それ以外にも僕のプレーはパスワークとかムーブとか、そういったスティックワークも磨いていて、見てくれている人に『おおっ』と思わせたいという気持ちも持ってプレーしています。試合の要所要所で名古屋はじめ西日本のファンの方にも『磯部はこんなすごいプレーができるんだ』と思わせたい。そんなシーンをもっともっと出していけたらな、と思っています」(磯部)

磯部選手はゲームMVPに選ばれ、ヒーローインタビューではこの笑顔

 東京ワイルズの挑戦はこれからも続いていく。しかしながら、いま現在の選手たちの思いは「日本ガイシアリーナでの“交流戦ラストゲーム”でしっかりと勝利を手にし、多くの観客を自らのプレーで喜ばせること」、その1点に集中している。

初の実況解説付きネット中継(録画)も発表

 東京ワイルズの選手たちの勇姿を、仕事等で当日名古屋に足を運べない方にも見ることができる機会が今回用意された。試合当日の11/16(土)夜20時~、東京ワイルズの公式YouTubeチャンネルでこの試合がネット中継される。これは旧IJリーグの頃からも含めて初めての実況解説付きのネット中継(録画)配信ということだ。今年はリンク改修等の関係で東京でのホームゲームはなかなか開催できなかった東京ワイルズだが、11/16の試合はネットで東京ワイルズの戦いぶりを当日夜には楽しむことができる。

<試合情報>
『名鉄観光 presents 名古屋オルクス ホームゲーム名古屋オルクス vs 東京ワイルズ エキシビションマッチ in ガイシアリーナ』

◇試合日時:2024年11月16日(土) 15時30分試合開始(開場14:00)
◇対戦カード:名古屋オルクス vs 東京ワイルズ
◇場所:日本ガイシアリーナ(名古屋市南区東又兵ヱ町5丁目1番地の16 TEL: 052-614-7500(代表))
◇アクセス:JR東海道線笠寺駅より徒歩約5分/名鉄本線本笠寺駅、名鉄常滑線大江駅よりそれぞれ徒歩約15分


<チケット発売概要>

チケット:S席:2,500円 / A席:1,500円 / 自由席:1,000円

販売サイトURL:https://r-t.jp/orquese_exhibition

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