いまだ未勝利も、この先を信じて立ち向かう
名古屋オルクスが見せた「食らいつく姿勢」

第1ピリオド、松永が狙うが惜しくも阻まれる。オルクスは良い攻撃を見せたが先に得点できなかったことが最後まで響いた

取材・文・写真/アイスプレスジャパン編集部

アイスホッケーIJリーグ 2024イノーギュラルシーズン 第11戦
8月24日(土)19:00試合開始 @名古屋・邦和みなとスポーツ&カルチャー
 観衆:310人

名古屋オルクス 2(1-1、0-4、2-2)7 北京京獅(北京ライオンズ) ※オルクスホームゲーム
ゴール:【名古屋】岡峰、土屋 【北京】ジャン・ポンフェイx2、ワン・ジンx2、ホウ・ユーヤン、ジャン・ジャーチ、ジェン・ミンジュ
GK:【名古屋】ニキータ 【北京】スウン・ザハウ

 およそ1カ月ぶりの試合となった名古屋オルクス。ホームリンクの邦和みなとで北京ライオンズを迎え撃ったが、第1ピリオドは大健闘するも、徐々に苦戦を強いられた。試合がすすむごとにフィジカルに勝る相手からのプレッシャーによって徐々に押され気味となり、第2ピリオドを終えて1-5と大きくリードを広げられた。

北京ライオンズのファーストラインは強力でこの日も得点を重ねた。ぜひ一度生で見てほしいメンバーだ

 それでも名古屋オルクスはあきらめの姿をみじんも見せなかった。再三のハードチェックに耐えつつ、劣勢ながらも相手に食らいついていく。

 第3ピリオドには相手のメジャーペナルティによるパワープレーを得て反撃開始。パスを回して相手ディフェンスを翻弄するとDFの位置から佐藤育也キャプテンが放ったシュートにゴール前で張っていた土屋光翼がスティックを合わせてゴール。

土屋がディフレクションを決めてオルクスが2点目。一矢は報いた

 熱心に応援を続けてくれたオルクスのファンがこの日一番盛り上がったシーンだ。そんな熱いファンに対して感謝の気持ちを込めた得点を届けることができた。

チャンスは作れたが、決めきれるかが今後の課題

 試合序盤は決してここまで差がつく内容ではなかった。
 オルクスの選手たちは体格に勝る北京ライオンズの選手に対してしつこく絡む形でパックを奪い取るとそこから素早く相手陣内に攻め込み、シュートを何本も放って相手GKのリバウンドを誘発。ゴールの近くでパックがフリーになり、あとはオルクスの選手が先にパックに触れればゴール、というシーンが第1ピリオドだけで5回はあった。

「我々も強くなっていることは確か、しかし北京の進化のスピードは早い」(佐藤育也キャプテン)

 しかし、そのチャンスはことごとく北京ディフェンス陣の素早いカバーに芽を摘まれてしまった。ここで先にオルクスが点を奪っていればまた違った展開にも、と考えるとやはりその少しの差が勝敗に、またシーズンを通しての明暗に繋がってしまっている。オルクスの攻撃では再三良い形を演出した土屋も、この結果にはうなだれた。

「何回もチャンスを作れていたが、約1ヶ月日程が空いたために試合勘が減っていたということは正直感じていました。前回の対戦で良かったことが今日はできなくなっていた。そこは大きな反省点ですね……」と土屋は語る。

動きのある土屋光翼(右)の攻撃は目立つぶん、相手の徹底マークに遭っている。新しいパターンが必要かもしれない

 佐藤育也キャプテンも「良いところが出せる部分があったにも関わらず、ダメな部分で掻き消してしまった感じがある。1ヶ月練習で取り組んできたことが表現できずもどかしい試合にしてしまった」と悔しがる。

「試合の最初は良かったが、試合が進むにつれて疲れや相手からの圧力によって1歩ずつ相手より動きに遅れを取ってしまった。そんな1歩足りないプレーが重なって、いるべきポジションに選手が間に合わず位置がずれてしまったプレーとなってしまった」と相手に主導権を渡した理由を語る。

 いっぽうで第3ピリオドにあげた意地のゴールを今後に繋げたい。
 土屋は「チーム2点目のゴールは、パワープレーの形をもう一度しっかり作ろうとベンチで話し合って臨んだ成果が出た。それができたのは良かったと思う。今日はリバウンドが出てくるシーンが何回もあったがそこに反応できないシーンが目立ったので、また1ヶ月空く間にゴール前バトルの練習は詰め込んでやっていきたい」と課題と今後取り組むべきことが整理されたと語った。
 佐藤キャプテンも「我々は今年、IJリーグの基盤をしっかり作ることとともに全日本Bで優勝を勝ち取るという目標もあるので、そこに向けて1からチームも個人もハードに作り上げていきたい」と巻き返しをはかる。「僕たちもシーズン序盤に比べれば着実に強くなっている。でもそれ以上に北京の成長スピードを感じる。それに対して食らいついていかなければダメだし、そうやってまた成長して、県リーグから全日本Bへという争いでもしっかり勝ち進んでいきたい」とキャプテンは今後を見据えた。

土屋のゴールをアシストしたメンバーと喜び合う。こんなシーンをもっと増やしたい

 9月に入ってIJリーグはいったん1ヵ月ほどのブレイクに入るものの、名古屋オルクスにとっては愛知県リーグでの戦いでまた違った形での連戦が続くこととなる。

「県リーグでも気を抜くことなく相手をリスペクトして戦い、またIJ での成長に繋げていきたい」と土屋。全日本Bを目指す戦いで名古屋オルクスが北海道勢などの社会人強豪を倒し、昨季からさらに成長した姿を見せることができれば、IJリーグで北京やワイルズと戦ってきた意義を証明できる。

 名古屋オルクスはまだまだここから強くなっていく。

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