【全日本B】怒涛の連続得点で逆転。全日本(B)はDYNAXが連覇達成

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/編集部
<第59回全日本アイスホッケー選手権(B)>
3/2(日)決勝戦
会場:テクノルアイスパーク八戸(八戸・新井田公園スケートリンク) 観客数:未公表
DYNAX 7(1-2、4-0、2-1)3 日本製鉄室蘭アイスホッケー部スティーラーズ
ゴール:【DYNAX】久米x2、坂本、前田x2、藤原x2 【日本製鉄室蘭】谷、中村(海)、工藤
GK:【DYNAX】高橋 【日本製鉄室蘭】山口
シュート数:【DYNAX】44(9、17、18) 【日本製鉄室蘭】46(14、9、23)
DYNAXと日本製鉄室蘭IH部スティーラーズ(以下、室蘭スティーラーズ)がぶつかる決勝戦は昨季と同じカード。北海道社会人アイスホッケーをけん引する両雄が八戸の地でぶつかった試合は予想にたがわぬ激戦のすえ、DYNAXが逆転でライバルの室蘭スティーラーズを下し、全日本選手権(B)の2連覇を達成した。

北海道、J-iceNorthでしのぎを削るライバル両チームが八戸で激突
この試合はいきなり開始直後から動いた。先制したのは室蘭スティーラーズ。開始直後に得たパワープレーのチャンスで切江蓮から嶋野瑛心へとパスを回すと最後は右のサークル付近から谷慎太郎が強烈なシュートでゴール左上スミを打ち抜く。あっという間の先制でまずは室蘭スティーラーズが強烈なメッセージをDYNAXへと送った。
しかしDYNAXも黙っていはいない。12分過ぎ、こちらもパワープレーのチャンスをつかむとそのファーストプレーで得点をあげた。府中祐也が左サイドからゴール右のポストめがけてパスを送るとそこに絶妙のタイミングで久米誠斗が詰めて押し込む。今大会好調の久米がまたこの試合でも活躍を見せてすかさず同点に追いつく。

しかし、追いつかれた室蘭スティーラーズは第1ピリオド終了間際に好機を得る。右サイドから切江がパックをキープしてうまくタメを作りゴール正面へパスを送ると、中村海大が狙いすましてコースを変化させたパックが絶妙なタイミングでDFとGKの右わきをすり抜けてゴールへ吸い込まれる。ピリオド残り4秒という時間帯で室蘭スティーラーズは再びリードを奪った。

気持ちの切り替えが一気の爆発力を生んだDYNAX
ピリオド間のインターバル、ドレッシングルームでDYNAXはピリオド終了間際の失点についてチーム内で確認をおこなっていた。実は第1ピリオド残り4秒のゴールについて、DYNAX側はゴールの1つ前のプレーが室蘭側のアイシングではないのか、ということでレフェリー団に確認を求めたものの長い協議のすえ結果は覆らずゴールが認められていた。
「ピリオド間の休憩のときに、選手たちやコーチからも、もう判定をどうこう言っても結論は変わらないし、ここから改めて次のプレーに集中して戦っていこう、という声が飛んで。このインターバルで気持ちを切り替えられたという点は一番大きかったかなと思います」(大場大選手)
ここでしっかりとスイッチを切り替えられたことが功を奏したのか、DYNAXはこの第2ピリオドを最高の20分間に仕立て上げた。
ピリオド3分過ぎに得たパワープレーのチャンス。DYNAXは終始アタッキングゾーンでパスを回して守備陣にプレッシャーをかけ続けるなか、最後は府中が左サイドでパックを持ちあがりゴール前へラストパス。これを坂本颯が押し込んで2‐2の同点としモメンタム(勢い)を室蘭スティーラーズから奪い取った。
そのゴールの1分後には室蘭スティーラーズ側にトリッピングの反則があり、それがメジャーペナルティの判定を下される。ここで得た5分間のパワープレー、DYNAXは勢いそのままに怒涛の圧力を見せた。選手たちの動きがさらに一段階アップし、ゴールに向けてパックをどんどん集めていこうという非常に積極的なプレーを継続する。室蘭スティーラーズ守備陣もそれに身体を張って対抗していたが徐々に押し込まれ、ついに5分16秒、DYNAXは鍜治優輝がブルーライン中央から放ったショットに対し前田拓杜がゴール前でスティックを合わせる見事なディフレクションを決めた。これでDYNAXはついに3‐2と逆転に成功する。
しかしながら室蘭スティーラーズもその後のパワープレーは何とか耐えて5分間をこの1失点で終えたかに思えたが、DYNAXはパワープレー明けでそのまま継続されていた流れのなか選手交代のスキを見事についた。室蘭のDFが交代で変わろうとしたところをチャンスと見た鍜治が自陣ゴール前から一気にロングパス。ブルーラインでそのパスを受けた徳田滉也が相手DFを引きはがすと後ろから上がってきた藤原周に短いパス。一気にスピードに乗った藤原が最後はゴールにパックを流し込んだ。


パワープレー明けで相手がほっとしたところに畳みかけたスピード感で奪い取ったゴールは、さすがの室蘭にしても守備陣の気持ちが削られるには十分すぎる脅威だった。DYNAXはこのプレーでノリに乗った藤原がさらに1点を加えて、第2ピリオドは4‐0と完全に室蘭スティーラーズを圧倒。この第2ピリオドの攻防が優勝を手繰り寄せたといっていいだろう。

第3ピリオドは室蘭スティーラーズがライバルにこのまま負けるわけにはいかない、と意地の反撃に出て何度もゴールに迫る。しかしDYNAXの守護神、GK高橋勇海の堅守に阻まれてなかなか得点を挙げることができない。このピリオドだけで23本のシュートを放ち激しい打ち合いに臨んだ室蘭スティーラーズだったが、得点は工藤翔介のあげた1点にとどまり追いつくまでには至らず。最終的には第2ピリオドの貯金を存分に生かした戦いぶりでDYNAXが7‐3で室蘭スティーラーズの追撃を振り切り、見事に全日本選手権(B)の2連覇を達成した。

決勝に進出した両チームにとどまらず、この大会に臨む選手たちはふだん仕事をしながら、終業後の時間や早朝などで練習を積んでこの大会、全日本(B)に臨んでいる。お互いの意地がぶつかり合い白熱した試合内容もさることながら、両チームの選手たちが見せる1つひとつのしぐさや表情などから、アイスホッケーが大好きだからこそここまで頑張れるんだという競技への思いも伝わってくるのが全日本(B)の素晴らしいところだ。
この大会を終えてしばらくまた各地で試合を行ったあと、各チームともオフシーズンを迎えるが、ぜひ”来季もここ全日本選手権(B)に結集しまた元気な姿を見せてもらいたい”という思いはファンに共通だろう。日本各地でエキサイティングな試合を展開しアイスホッケーを盛り上げ支えてくれている社会人やクラブチームの選手たち、スタッフの方々に改めて敬意を表しこの記事を締めさせていただく。
<DYNAX 全日本(B)決勝戦後の各選手コメント>
最優秀選手賞 藤原周選手
MVPに選ばれたのはとても嬉しいんですけれども、まずは優勝できたことが何より嬉しいです。第1ピリオドが終わった後に、みんなで「もう1回、1からスタートしよう」と言い合ってそこから第2ピリオドに臨んだんですけれども、しっかりそこで勝ち越すことができたので気持ちの切り替えができたのが良い結果を導いたのかなと思います。チームとしてもこの大会ですごく成長があった大会だったと思うし、1人ひとりが優勝を目指して頑張っていた、そういったことが心に残る大会でした。
大場大選手
ベスト6をもらえるとはまったく予想外でした。去年も優勝していますが、ここ全日本(B)がどの社会人チームも目標なので、その中でトップを取れたということが本当にうれしいです。
1Pの2点目でピリオド終了間際に決められてちょっとガクッとなるところを盛り返してチャンスを決め切れたというところがキーポイントだったと思います。ピリオド間に「もう結果は仕方ないが覆らない」とコーチ陣にも言われましたし、選手も「もう変わらないから次、次」という気持ちで切り替えられたことが一番大きかったと思います。今シーズンはパワープレーで調子の良い時悪い時ありましたが、今日は相手のメジャーペナルティでもらったパワープレーで爆発できたのが非常に良かったと思います。
府中祐也選手
「勝てて嬉しい」、もうそれだけですね。今年連覇に挑戦して昨季よりは圧倒できて勝てたので非常に良かったと思います。室蘭と戦って勝つときはだいたい逆転勝ちになることが多いのですけれども、先日の道新杯と似た展開の中、こんな感じで勝てたので良かったと思います。
矢島翔吾選手
自分はこの決勝でチームプレーに徹するという気持ちで戦ったので、みんながやってくれたという感じで勝てて良かったです。準決勝はいい仕事ができました。昨季はPSS戦までもつれれましたが今日はチーム全体がまとまっていて、昨季よりもチーム力がUPし、かつ総力戦で勝った、と感じています。勝てて良かったです。