”キー”は初戦。フランスに勝って一気に駆け抜けろ
明日2/6、「女子アイスホッケー五輪最終予選」開幕

左から飯塚監督、小池キャプテン、細山田副キャプテン。日ア連A・ラミレス専務理事も広報役として駆け付けた

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/編集部

【第25回オリンピック冬季競技大会(2026/ミラノ・コルティナダンペッツォ) 2025女子アイスホッケー最終予選グループG 会場:苫小牧・白鳥アイスアリーナ(nepiaアイスアリーナ)】

<試合日程>
2/6(木)12時~中国vsポーランド  / 15時半~日本vsフランス
2/8(土)12時~中国vsフランス   / 15時半~日本vsポーランド
2/9(日)12時~フランスvsポーランド/15時半~日本vs中国
<放送予定>
初戦 :日本vsフランス  NHK-BS 2月6日(木)午後3:30 〜 午後5:30
第2戦:日本vsポーランド  NHK教育 2月8日(土) 午後3:30〜午後4:59(その後サブchでリレー中継)
第3戦:日本vs中国  NHK総合 2月9日(日) 午後3:30〜午後5:30
<チケット販売サイト>
チケットぴあ> https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2456220…

 いよいよ日本アイスホッケー界にとって今季最も重要な大会が始まる。
 2026ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪(※)の女子アイスホッケー五輪最終予選が日本のホームリンク、苫小牧を舞台に行われる。(※以下「2026ミラノ五輪」と表記)

 日本は世界ランキング7位。IIHF(国際アイスホッケー連盟)の決定により世界ランク6位までは2026ミラノ五輪へ直接の出場権を得たが、日本は惜しくも最終予選に回ることとなった。日本は予選組で世界ランク最上位となっているプライドにかけても、また前回2022年の北京冬季五輪で初の決勝トーナメント進出を果たして過去最高の6位という成績を上げたチームとしても、2026ミラノ五輪の出場権を必ず得て世界の強豪国&アジア女王としてより羽ばたきたいところだ。女子日本代表=愛称・スマイルジャパンの選手たち、その笑顔を苫小牧の地でまた見たい。

飯塚祐司監督も「初戦が一番重要」と13位・フランスを警戒

2/5までの合宿で最終調整はしっかりとできた。あとはホームの声援を背中に受け力を出し切るだけた

 大会は4か国によるリーグ戦が行われ、1位のみが出場権を得る。
 日本が対戦する相手国の世界ランキングは上位から12位・中国、13位・フランス、20位・ポーランド。最終日に対戦する中国が一番の難敵とも思われていたが、欧州各国の追い上げも急だ。やはり各国とも最大の目標に据えている冬季オリンピックだけにどの国もこの1年急ピッチに強化を進めてきている。スマイルジャパンを率いる飯塚祐司監督は、1月9日に東京にて行われた代表メンバー発表記者会見で「山場というか、初戦にすべてがかかってくる。この大会は1敗もできないトーナメントであり、初戦のフランス戦が最も重要な試合になる」と語っている。

 フランスとは昨年2024年12月にスマイルジャパンがヨーロッパに遠征して行われた大会(4nations)で対戦している。その大会では接戦に持ち込まれ2-2の同点から最終的にはPSS戦(ペナルティシュート戦)までもつれて惜敗した。昨年春の時点では世界ランク7位の日本と、フランスも含めた世界ランク9位以下とは多少実力差があるとも見られていたが、その差が急速に縮まっていることは確かだ。
飯塚監督は「ランキングで6、7の差があるからといって安心できる相手ではないと考えている」と警戒を強めている。先日行われた直前のテストマッチでフランスが5‐3で中国を下しているという情報も入ってきている。

 そんなフランスが追い上げてくる状況の中で、勝利のカギとなるのはどんなポイントなのか? 飯塚監督は記者の質問に「どの選手が核になるかは名前を挙げられないが、やはり試合のポイントとなるのはスペシャルプレーだと考えている。日本が1人多いパワープレーの状況でどれだけ点を取れるか? また1人少ないショートハンドの状況でいかに失点をしないか? そこがキーポイントになってくる」とスペシャルプレーの出来が試合自体に大きく影響を及ぼすと回答した。

 飯塚監督は今回ある手立てを講じている。8年前の五輪最終予選や4年前の北京五輪前のときと今回とで準備段階から大きく違っているのは、最終合宿での練習を非公開にして貫いていること。これは想像するにスペシャルプレー(パワープレー&ショートハンド)でのラインの組み方をかなり綿密に準備し、得点を奪うためのセットプレーもかなりのパターンを用意するという布石を打ったということだろう。今回、スマイルジャパンで得点を期待される選手としてスウェーデン女子リーグSDHLでプレーしさらに得点力を磨いてきた志賀紅音、ハンドリングに優れた浮田留衣、力強いシュートを持つ伊藤麻琴などに注目してほしいが、彼女たちをおとりにしてマークの薄い別の選手がセットプレーから得点を奪うパターンも数多く用意されているのではないか? DFにはいま急速に力を伸ばしていると評価の高い佐藤虹羽(こはね)、またSDHLでさらにパワーと技術を磨いてきた人里亜矢可が強烈なシュートを持っている。攻撃のシステム構築には定評のある飯塚監督だけに、その策が見事にはまることをぜひ期待したい。

歴代メンバーの思いを受け継いだ小池キャプテンが世代を超えチームをまとめる

1/9に都内で行われた報道向け会見で小池キャプテンは「五輪に出場するチームという伝統を繋いでいきたい」と語った

 1年前に召集された28人から競争を経て、最終的に23人まで絞られた今回のメンバー。前回2022年北京冬季五輪でリストに選ばれた選手は12人。ほぼ半分がオリンピック後、新たに選ばれたメンバーということとなる。その若手が大舞台でもどれだけ緊張せずに力を出し切れるか、も重要なポイントだ。
 今回キャプテンを引き受けた小池詩織は、北京五輪後に代表を退いた先輩たちの思いを引き継ぎ、いかに若い世代にその経験や考え方を伝えるかに力を注いできたという。今回出場権を獲得すれば4回目の五輪出場となる小池詩織キャプテンは会見で「チームの目標である『圧倒して全勝する』を達成し五輪出場権を獲得する。大澤ちほ前キャプテンの背中を追ってきたものとして、五輪に出場するチームということを繋いでいきたい」と言葉に力を込めた。オルタネート(副)キャプテンである細山田茜とともにリンク内外でのコミュニケーションにも心を配り、いわゆる世代間融合を進めてきた頑張りが、いま、まとまりのあるチームを生み出している。
「若い世代でMBTI診断っていうのが流行ってるらしくて……私もその存在は知らなかったんですけど、若い選手から『こんなことあるよ』と紹介されて、私も細山田選手もやってみようか? って」と今回の合宿ではそんなところからも世代間での交流が生まれていると取材陣に対して笑顔をふんだんに交えながら語ってくれた小池キャプテン。その表情には、明るい性格で仲間をどんどん引っ張ってくれる小池キャプテンの存在がチームを良い形でまとめている感を強くした。小池キャプテンは「8年前、平昌五輪の最終予選では苫小牧・白鳥アリーナで超満員の中でプレーができて、自分の持っているパフォーマンス以上のものを背中を押していただいて出すことができた。今回もこういうふうに皆さんに応援していただいて最高の結果を手にしたいと思っています」といよいよ始まる大会に向けて決意を語ってくれている。

 明日2/6(木)から最終予選の厳しい戦いに臨むスマイルジャパン。特に若手の選手たちはこれまでの試合で経験したことのない緊張感にさらされることとなるが、いっぽうで最終予選という舞台が用意され、また全国に生中継されることは日本中に女子アイスホッケー日本代表「スマイルジャパン」がどれほど素晴らしいチームであるかということを示すことができる貴重な機会でもあるととらえたい。それは前回の冬季北京大会前にはなしえなかったことだ。
 IPJとしてもスマイルジャパンは必ずこの最終予選を勝ち進んでその先へと歩を進めてくれると信じている。ホーム・苫小牧の声援を味方につけて、2026ミラノ五輪に向けてスマイルジャパンの快進撃が始まる。

Release: