1点差で逃げ切る、日本らしい勝利で雪辱。ROCの待つ5位決定戦へ
取材・文/アイスプレスジャパン編集部
世界選手権 5位決定トーナメント チェコ戦 記者会見の模様をお届け
スマイルジャパン、過去最高位へ。
急激に力を伸ばしてきた強豪チェコとの今大会2度目の対戦は、第1ピリオドに久保英恵選手のゴールで先制すると、1-1に追いつかれた後も浮田留依選手のゴールで突き放し、試合残り2分で今大会で才能を開花させた感のある志賀紅音選手が単独で持ち込んでのゴール。チェコの6人攻撃での反撃を1点でとどめ、3-2で勝利。グループリーグで完封負けを喫した相手から大きな勝利を奪った。
これでスマイルジャパンは世界選手権史上最高位の6位以上を確定。次の試合でROC(ロシア五輪委員会)に勝てば5位という素晴らしい結果をつかむとともに来年大会でのグループA入りが決まる。
会心の勝利を挙げた試合後、IIHFの公式会見に臨んだ飯塚監督と志賀葵選手、紅音選手の2人のインタビューの様子をお届けする。
現地8/30(月)IIHF女子世界選手権 順位決定トーナメント 対チェコ戦 試合後コメント
では試合後に行われたリモートでのプレスカンファレンスの模様をお伝えする。
これまでと同様、まず最初に英語でのインタビューが行われ、その後に日本語での質疑応答に移るという流れ。
※以下、質問と回答は弊編集部による抄訳/編集をもとにダイジェストでお届けする。
↓日本対チェコ再戦ダイジェストはコチラ(大会公式サイトより)
まず英語でのインタビューから。IIHFのL.Aycroid記者が質問する。
――(IIHF)重要な試合での勝利おめでとうございます。今日の試合、チームのパフォーマンスはいかがでしたか?
飯塚:
前回予選グループでチェコに0-4で負けていたんですけど、そこの反省点、パワープレーであったり、スコアリングチャンスでしっかり決められたのがいい方向に出たと思います。
――(IIHF)この結果は日本の女子アイスホッケーの未来に向けどんな意義がありますか?
継続した強化、これが少しずつ形になった。あとは選手たちが2022年のオリンピックに向けていいメンタルで挑めていける、と感じています。
――(IIHF)次のロシア戦に向けて
得点能力が高い選手はロシアには多いので、そこをいかに抑え、数少ないスコアリングチャンスを決めるかがキーポイントになると思います。
続いてジャーナリスト J.Levine記者が質問する
――(IIHF)志賀紅音選手について
前回のアメリカ戦でも決めてくれて、きょうもいいところで決めてくれました。やはり彼女が得点に絡むことが勝利へのキーポイントの一つになると思います。
続いて日本報道陣の質問へ
「6位で満足してはいけない。もう1つ壁を乗り越えたい」飯塚監督
==(IPJ)前回は無得点でしたが、この試合は3得点奪いました。グループリーグと違い何か良かったと分析していますか?
飯塚:
前回はパワープレーのチャンスでほとんど形にできず、速いプレッシャーにチャンスの芽を摘まれていた。その辺をチェコ戦以降チーム内でも反省してきました。徐々にパワープレーの状態が良くなってきたので、それがスコアにもつながったと思っています。あとラッシュの形でも、志賀が最終的にブレイクアウェイで決めてくれましたけど、前回は何回もラッシュを阻まれていたので、その精度が若干上がったのが、3得点につながったと思っています。
==(IPJ)チェコのペナルティが6個。ペナルティを誘えていた要因は
チェコの試合を見ていると、前に前にプレッシャーをかけてパックを追ってくる特徴の選手が多いので、ボードチップなど簡単にパックを裏に流して、スケートを止めないで前に出るというプレーが守りの焦りを誘い、インターフェアランスだったりトリッピングなど相手のペナルティを取れたと思っています。
日本の報道陣による質問が続く
――第1ピリオド、久保選手の流れを引き寄せるような先制ゴールの評価は?
飯塚:
久保はずっとパワープレーも出ていて、5-5はコンスタントに疲労度を見ながら起用だったんですけど、数少ないシフトの中でもさすがベテラン選手。得点に対する嗅覚はなかなか他の選手にはないものを持っています。彼女の特徴が出てスコアにつながったんだと思います。
――少ない出場時間で得点を挙げる久保選手の姿が、他の若い選手にどんな影響をもたらしてほしいですか?
効率のいい動き方、体の使い方が上手ですし、ゴールに向かい、シュートを打つタイミング、スティックを出すタイミングなど見習ってもらいたいなと思っています。
――久保選手は昨日はベンチ外。どういった理由でしたか?
これまでもテストマッチからシフトも増え、疲労もあったり、チーム全体できょうの勝利に向けたいろんな戦略があった上でのベンチ外でした。
――世界選手権では、過去最高の成績6位以上が確定しましたが、ロシア戦に向けた意気込みを
選手たちにミーティングでも話したんですけれども、6位で満足してはいけないと思いますし、5位で終わると上のリーグでスタートできますので、ここをもう一つ壁を乗り越えるためにあさってまたチャレンジしていきたいと思います。
志賀姉妹がそろってカナダでの会見に
続いて選手の会見へ。R.Aycroid記者の質問
――(IIHF)紅音、この試合でもまた日本の歴史に名を刻んだわけですが、今の気持ちは?
志賀紅音:
最後に得点を決められたのはすごくうれしいんですけれども、それまでにスコアリングチャンスが何度もあったのに決め切れずにいたので、反省点は沢山あります。
――(IIHF)グループリーグでチェコに負けたあと、どんな気持ちでこの試合に臨みましたか?
志賀紅音:
予選ではスコアが0。0だったら勝てないので、きょうは絶対スコアをするという強い気持ちを持って試合に挑んで、スコアできて、失点も2点に抑えられたので良かったと思います。
――(IIHF)葵、最初の久保選手の得点をアシストしましたが、あのプレーについて
志賀葵:
あの前にも一回パワープレーのチャンスがあったんですけど上手く行かなかったので2回目のチャンスはとにかくゴールに集めようという気持ちで氷に上がって、結果的にゴールにつながったので良かったと思います。
――(IIHF)次の試合でロシアに勝つと、次の世界選手権はグループAに昇格できるが意気込みは?
志賀葵:
残り1試合ということで、今持っている自分たちの力を出し切って、必ず5位で終わりたいと思います。
続いて日本語での質問に移る
――紅音選手に聞きます。先ほど「チャンスはあったが決め切れず反省している」というお話がありましたが、具体的に1番大きかった反省点は?
志賀紅音:
スコアリングチャンスを決め切れないと後々つらい試合になってくるので、それを分かっていながら決め切れてなかったので、チャンスは確実に決めないなといけないな、というのが今日の反省点です。
――決め切るために必要なものは
志賀紅音:
今もっている自分の力を出して、相手より勝ちたいという気持ちを強くだせばスコアリングにつながってくる。
――葵選手、姉妹での世界選手権は2度目。紅音選手が連日ゴールを決められて何か刺激を受けるところはありましたか。
志賀葵:
一緒に出ることも多いので、すごくゴールを決めてて凄いです。自分はDFなので得点は欲しいですけど、失点は0ということを頭に入れてやっています。
――今大会でうまく行ってることは?
志賀葵:
前回の世界選手権に比べ、1対1のバトルで当たり負けない強さを出せていると思います。
――ロシア戦への意気込みをお2人に
志賀葵:
最後1試合なので必ず勝って5位で終わりたいと思います。
志賀紅音:
絶対5位で終わりたいので、スコアリングチャンスは確実に決めてチームの勝利に貢献したいと思います。
――紅音選手。前回の五輪はずっと代表に加わりながらいけませんでした。あの時はDFでした。そこからFWに変わって、チームの得点源になっている。あの頃と比べてFWをやっている自分について教えてもらえますか
志賀紅音:
FWにコンバートされたのは、日本は得点力が乏しいという理由だったので、その期待に応えられるように、この4年間頑張ってきた。
――元々どちらがやりたかったんですか?
志賀紅音:
元々攻めるのが好きだったのでFWをやりたいなと思っていました。
――葵選手、紅音さんのFWとしてのプレーをどう見ていますか
志賀葵:
国内でやっていても力強さはトップだと思いますし、今回の世界選手権でも出ているのですごいなと思います。
――1対1のバトルと言ってましたけど、滞氷時間を見てもDFの中心選手。パックの扱いなども含め、自分で気を付けていること、うまくできていることを教えてください
志賀葵:
世界選手権はリンクのサイズも小さいので、とにかく持ちすぎず、なるべく早くFWにつなぐ意識をいつも持ってプレーしていますし、そこは対応できているなと思います。
――お互いどういう存在でしょうか?
志賀紅音:
一番近くで見ている仲間というか、チームメートなので、何でも言ってくれて、他の人にはできないというか・・・・。自分の悪いところを全部言ってくれるので、とても助かってますし、辛い時、自分がダメだなと思っているときに「こうした方がいいんじゃない」とかアドバイスをくれるので助かっています。
志賀葵:
ポジションは違うんですけど、一番一緒にプレーしてやりやすいと感じますし、お互いいいところも悪いところも言い合ってきているので、心強い存在です。
==(IPJ)一つずつお二人にお伺いします。葵選手、DFラインでは床さんとペアを組んでいますが、彼女とどういう約束事で、試合に臨み、どういう守りをしていましたか?
志賀葵:
私たちのラインは守りもそうですけど、得点も期待されているので、なるべく守りを短く、FWにつなぐというのはいつも二人で話し合っていました。
==今日はうまくできた実感はありますか?
志賀葵:
PPの時もそうですし、自分たちの出ている時に得点でき、失点も無かったので良かったと思います。
==(IPJ)紅音選手にお伺いします。日本の3点目なんですけど、打った瞬間両足揃っているように見えました。上に上げようとして放ったシュートだったんでしょうか?
志賀紅音:
敵が横についていたので狙っている暇もなかったんですけど、一応上は狙っていました。
==体重が後ろに残っていたので、上を狙ったのかなと思いましたが?
志賀紅音:
そうです。