パワープレーで日本らしさ、ついに開花。ベスト8決める

取材・文/アイスプレスジャパン編集部

この日のヒロイン2人。終始笑顔のこぼれる会見となった(※画像は映像キャプチャ:以下同)

ハンガリー戦は今後数年においての女子日本代表・スマイルジャパンの趨勢を左右するような重要な試合だった。
その重圧に日本は打ち勝ち、ハンガリーを4-1で一蹴。この勝利でグループB3位以上を確定させ、ベスト8=準々決勝進出を果たした。
現地8/25の試合でチェコがドイツに勝利したためチェコのグループ1位が確定。日本は現地8/26(金)のドイツ戦でグループ2位の座を争う。

現地8/24(水)IIHF女子世界選手権 グループB 第3戦 対ハンガリー戦 試合後コメント

では大会本部によるリモートでのプレスカンファレンスの模様をお伝えする。

ハンガリー選手・監督とのやりとりの後、スマイルジャパン・飯塚祐司監督、続いて久保英恵選手、浮田留衣選手が会見場に登場した。

これまでと同様、まず最初に英語でのインタビューが行われ、その後に日本語での質疑応答に移るという流れ。
※以下、質問と回答は弊編集部による抄訳/編集をもとにダイジェストでお届けする。

↓日本対ハンガリー戦ダイジェスト(IIHFのTwitterから)

会見ではまず最初に、ジャーナリスト、J.Levine氏が監督に質問した。

「選手たちは最後までしっかりとしたホッケーをやってくれた」飯塚監督

ーー(J.L.)難しい状況のなか、この勝利、おめでとうございます。

飯塚監督:

どうもありがとうございます。

ーー (J.L.) 今日の試合については?

敗戦の後だったのですが、選手たちは昨日のチェコ戦と同じくらい良いスタートをしてくれた。ハンガリーに主導権を渡さずに、最後まで60分間しっかりとしたホッケーをやってくれたと思います。

ーー (J.L.) パワープレーは成功しましたね

ここ2試合、パワープレーの機会をあと1歩のところで決め切れていなかったので、選手たちと、「どこがいいのか、どこが悪かったのか」を確認してゲームに入りました。最終的には選手たちがいい形で決めてくれたと思います。

ーー (J.L.) 大会最年長の選手、経験豊富な久保選手がスコアしました

チームが苦しい状況のなかで、彼女はこれまで何度も代表チームを救ってくれた。今日もとどめとなる、試合を決定づける得点を決めてくれて、今日もいい仕事をしてくれたと思います。

ーー (J.L.) これで自信を持って次のドイツ戦に進めますか?

そうですね。2年前はドイツに競り負けているので、今回はリベンジする意味でも、中1日あるので、いい準備をして、対ドイツの対策を練って、試合に挑みたいと思います。

パワープレーでの攻撃に改善が見られ、飯塚監督も納得の表情を見せた

続いて現地Webメディア、D.Ciss氏の質問に移る

ーー(D.C.)準々決勝進出となりましたが、このあとは大会を通してどのような戦い方をしていきたいですか?

飯塚:

なかなか対外試合、国際大会は2年ぶりなので、選手たちには海外チームとの戦い方を思い出してもらいたいです。

続いて日本の報道陣の質問に移る

ーー 具体的にきょうのハンガリー戦に向けどんな確認を選手としたのでしょうか?

飯塚:

そうですね、この2試合で1点しか取れていないという状況でした。ただ、得点を決めるチャンスがなかったわけではないので、特にパワープレー、数的優位な状況で点数を決めるということにゲーム前も集中して、2試合の反省を振り返って、かつハンガリーの情報を与えて、試合に挑んだという形です。

ーー以前の2試合と比べパワープレーでの得点率が上がったのは、何か具体的な理由は思い浮かびますか?

決めているときは、最後も余裕をもってシュートに入っていけたと思います。今までは少し苦し紛れにシュートを打ってるかな、という、打たされているシュートの方が多かったので、そういうところをいいコースに打てたり、良いタイミングでシュートを打てた、というのが最終的に得点につながったと考えています。

ーードイツ戦は、順位と、決勝トーナメントの相手が左右される大きな試合になる。ドイツ戦に向けてはどんなところを注意したい?

ドイツのチームを2試合見ていると、相変わらず手堅くスキのないホッケーをやっています。特別にズバ抜けた選手はいないんですけれども、全部のセットが平均してバランスの取れたチームと捉えています。
今日みたいに何回もチャンスが来るチームではないので、確実に奪ったチャンスを決めるというアプローチをしていきたいと思っています。

ーー久保選手の起用法についてと、彼女のゴールシーンについて改めて教えていただきたい

(笑顔を見せて)ナイスシュートでしたし、いいポジションで彼女独特の嗅覚で待っていたと思うんですけど、本当にいいタイミングで、試合を決定づけるタイミングで点数を取ってくれたと思います。
起用に関してですが、4つ目のラインに登録はしていますが、3つ目で使ったりいろんなラインでどこに入っても順応できる選手です。キャリア(経験)のある選手ですので、チームが苦しい時に助けてくれるプレーをしてくれるし、私が「行ってくれ」という時に行ってくれる選手なので、本当に1つ目でも、2つ目でも、3つ目でも、どこのラインでも使えるという認識で私は起用しています。

ーー基本的には3セット回しでいき、ゴールした時には3セット目のところに久保さんが入って決めたという感じですか?

そうですね。はい。

浮田「得点できたことは自信になる」 久保「必ず決める、という気持ちで戦っている」


続いて久保英恵選手と浮田留衣選手が会見場に姿を見せた。IIHFのL.Aycroyd記者がまず質問する。

IIHF大会公式サイトでは連日試合の模様が速報されている(※画像はキャプチャ)

ーー(IIHF)今日ゴールを奪えたことをどう思いますか?

浮田:

チェコ戦ではシュート数を多く打てていた割にはスコアがなかったので、FWとしてはうずうずした感じがあったので、きょう得点できたことはすごい自信になりました。

ーー(IIHF)留衣、今日のゴールはどういうゴールでしたか?

浮田:

前のセットがいい感じにラッシュを作ってくれて、最後いいパスをもらって決めることができました。

ーー(IIHF)英恵、あなたも今日ゴールを決めたわけですが、長年チームに貢献する働きを見せています。そのことへの思いを教えてほしい

久保:

苦しい時間帯が続いて、追加点が入って、そのダメ押しという形で得点ができたのでとてもほっとした気持ちです。自分も出場回数が少ない中でチームに貢献できたのはすごくうれしいです。

ーー(IIHF)ドイツ戦に向けては?

久保:

きょうのように、出た時にはもちろん失点0で、チャンスがあれば得点していきたいと思っています。

日本の報道陣の質問へ

ーーお2人に質問です。久々の国際大会で3試合戦いましたが、ようやく余裕が持てるようになったとか、久々なので緊張していたとか、何かありますか精神的な部分で

久保:

国際試合は2年ぶりになるので、最初はスピードに慣れるのに苦労しましたけど、試合を重ねていくうちにスピードとフィジカルの部分ですごくなれてきて、きょうの後半のように余裕を持ってできるようになってきました。

浮田:

チームの中でも不安がある選手とかも多くて、「それを解決してから試合に挑もう」というチームの方針もあって、(不安は)ゼロではないですけど、しっかり自分たちがやることを考えながら試合に臨めたと思います。初戦は少し硬い部分がありましたけど、試合がすすむにつれ徐々に慣れてきたところがあるので、このままチームが勝つために個人個人が取り組んでいきたいと思います。

ーー飯塚監督の話にゴールの場面では「久保選手のポジショニングが良かった」という話がありましたが、ゴールのシーンはどんな考えであのプレーになりましたか?

久保:

高選手が切り込んでいったんですけど、(GKが)ファンブルしていたので、そこにこぼれてくるんじゃないかと思ってゴール横に入りました。

↓21番・久保選手のポジショニングに注目(IIHFのTwitterより)

ーー実際に日本の4点目を決めて、お気持ちとしてはどうでしたか?

久保:

(少し笑顔を見せて)すごくいいシュートが入ったわけではないし、こぼれてきたのを叩いただけなので、嬉しい気持ちはありますが、「ありがとう」という気持ちのほうが大きかったです。(笑顔)

ーー浮田選手は今日1ゴールを上げてからのドイツ戦ですが、次の試合への意気込みを教えてください

浮田:

前の2試合はちょっとアタッキングゾーンでパックを持っていても慌ててしまう場面が多くて、今日やっとなんとなく慣れてきたかなという思いはあるので、FWとしてしっかり点を取ることを頭に置いて、絶対勝ちにいきたいと思います。

会見でも呼吸ぴったり!? 浮田選手(左)と久保選手

==(IPJ)久保選手にうかがいます。今大会は柔軟にいろいろなラインで起用されています。こういう起用法は代表としても初めてかと思いますが、どういう思いで戦われていますか?

久保:

得点が無いときに起用されると、必ず決めていこうという気持ちで毎回リンクに上がるんですけど、チームとしてパワープレーもそうですし、得点が課題になっていると思うので、そこで期待に応えられたのはきょうは良かったと思います。

==(IPJ)今後もその心構えで?

いつでも行けるような準備はしてます。

==(IPJ)浮田選手にお聞きします。1-1に追いつかれた重苦しい展開を打開するすばらしいゴールでしたが、その時の思いを改めて聞かせてください

浮田:

第1ピリオド終了直前で、手こずっていた先制点を取れたあと、なかなか点も入らないなか、相手に1点を入れられて同点になった場面でのPPだったので、そこで点を取れたということは、すごく良かったと思いますし、勝ちに近づけた場面だと思います。でも、その中でも悪い流れがずっと続いて、最後3ピリまで2-1という状態だったので、もっとシュートを打つところは打つ、という状況判断を良くして行きたいなと思います。

==(IPJ)ゴールシーンは床秦留可選手からのパスでしたが、その瞬間「ここに来る」と予測していましたか?

浮田:

相手DFと2対2くらいでのチェンジでベンチから出たタイミングだったので、「床選手なら見えているだろう」と思って、そこで待っていました。

国際大会での経験をさらに重ねられる、という意味でこの勝利は大きい

日本はこれで2勝1敗となり、グループB2位の座をドイツと直接対決で争うこととなった。
すこしでも世界ランキングポイントを積み上げるために、また直近のライバルを叩いておくためにも負けられない試合が待っている。

いっぽうで今大会は2部に相当するDiv-IAへの降格はなく、また7-8位順位決定戦も行われないので、グループBで4位以下になるとグループ戦の4試合で日程が終了するところだった。そのため、このハンガリー戦の勝利でベスト8を確定させて準々決勝以降の試合が担保されたのは国際試合の経験を積む上でとても大きい。準々決勝ではアメリカかカナダどちらかとの対戦になることが濃厚で、2強に思い切りぶつかるという経験はさらに選手達のプラスに働いてくれるだろう。特に初代表組には準々決勝以降の試合はとても大事な経験になるはずだ。

まずは次のドイツ戦、この試合で復調の兆しを見せた攻撃力を強みに、しっかりと白星を手にして欲しい。

↓ハンガリー戦、先制点を決めた志賀紅音選手のコメント

↓大会6日目終了時点での順位表

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