「勝ち切れたことが最大の収穫」堅い守り、完封勝利で好発進
取材・文/アイスプレスジャパン編集部
現地8/21(土)IIHF女子世界選手権 グループB 初戦 対デンマーク戦 試合後コメント
1-0と最小得点差ながら、堅い守りで60分デンマークを抑えきった初戦。いきなりタフなゲームとなったが、スマイルジャパンは勝ち点3をゲットして幸先良く大会をスタートすることができた。
試合終了後、大会本部によるリモートでのプレスカンファレンスが行われ、大澤ちほキャプテンとGK藤本那菜選手、飯塚祐司監督が出席。初戦の感想と次戦の対チェコ戦に向けての抱負を語ってもらった。
会見ではまず最初に、IIHFのジャーナリスト、A.Podniek氏による英語でのインタビューが行われ、両選手とも英語で質問に答えた。
※以下、Podniek氏による質問と回答は弊編集部による抄訳をもとにダイジェストでお届けする。
―(IIHF)デンマーク戦、どんな戦いでしたか?
大澤キャプテン:
非常にタフなゲームでした。ゲームの最初の方は日本にペナルティーが多く厳しい展開でしたが、上手くカムバックすることができた。そして最終的に勝利という結果を掴めたことが非常に良かったと思います。もう少し自分たちのペースでできると思っていたのですが、今日の試合は(藤本)那菜さんに多く助けられました。那菜さんのプレーでチームにとって凄くプラスのエネルギーを持ってきてもらい、助けられました。
――(IIHF)今夜の試合で最も重要なセーブは?
藤本(那):
第2ピリオドにあった、(日本のパワープレー中の)PKでのカウンターを防げたプレーです。
※続いて、当編集部(IPJ)による質問に移った
==(IPJ)国内での合宿が続き、海外勢とは長い期間試合ができなかったが、実際に戦ってみて試合勘などはどう感じたか?
大澤:
試合勘については、チームとして全体的に難しかったかな、という印象はありました。でも、(8/16に現地で行われた)ハンガリーとのプレマッチも経て徐々に徐々に良くなってきているとは思うので、ここから自分たちのペースで持って行けるようにできたら良いなと思います。
==(IPJ) 今日一番良かったところは?
大澤:
勝ちきったところが重要だと思います。トーナメントはここから長いので。1勝できてスタートからしっかり勝ち切れたところはチームにとって凄くプラスになると思います。
藤本(那):
初戦と言うこともあって、皆動きが硬かったかなという印象もあったので、やはり私が崩れないように集中して試合スタートから守っていきました。本当に難しい展開だったというか、1失点でもすると一気に流れが変わってしまうような難しいゲームだったのですけれども、勝ち切れたことは本当に良かったと思います。この結果がチームの自信に繋がって、次の試合は自分たちの思うような内容のプレーが出来ればと思います。
==(IPJ)PKのノーマークを止めたシーンについては?
藤本(那):
PPでのフォーメーションはワントップなので、カウンターが来ることは一応想定してはいました。失点1つで試合展開ががらりと変わってしまうようなシチュエーションだったので、「ここは絶対止めないと」という気持ちでプレーしました。ノーマークの相手の動きに対して、いつも通りにパックをしっかり見て追って身体を合わせてという感じだったので、技術的に特にここを意識したというよりは流れでしっかり止められたという感じです。
One goal is all it takes
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Hiraku Yamashita flies in and nets the first goal of the game at 24:25. #WomensWorlds #DENJPN pic.twitter.com/C27BtFrehd
続いて日本の報道各社の質問へ
――デンマークは予想していたチームとは違っていたと話していましたが、どういう印象でしたか?
大澤:
予想していた印象と違うというよりは、第1ピリオドに自分たちのペースにできる時間帯が少なくて、反則が多くなったため、より自分たちの時間帯を作るのが難しかったな、というのが予想と違ったという部分が、違ったという点かなと。
私の印象では、デンマークは身体が大きい選手がたくさんいて、かつシュート力がある選手も多いと。それらの情報はスタッフから事前にもらっていて、その通りだなという印象がありました。試合展開として、自分たちが想定していた「自分たちのプレーで自分たちの時間を作る」というのが最初はできなかったかなという印象です。
――しかし、第2ピリオドから立て直して無失点でした
大澤:
難しい時間帯もあったのですけれども、(藤本)那菜さんに助けられたというのと、全員で60分間集中力を切らさずに最後まで戦えたと思うので、その点は良かったと感じています。
――次のチェコ戦に向けて抱負を
大澤:
今日の試合はスタートでペナルティが多くて自分たちの時間帯を作れなかったので、次の試合はスタートから自分たちのペースでホッケーができるようにチーム全員で1つになっていきたいと思います。
藤本(那):
今日はタイトな試合でしたが勝ちきることができたのでこの流れを次のチェコ戦でも持って行けるように、自分たちのプレーができるように臨みたいと思います。
飯塚祐司監督に聞く
――1-0での勝利という結果は?
飯塚:
チームが初戦ということで全体的に堅くなったところがあったのですけれども、最終的に勝ち点3を取れたことが非常に大きいことだと思っています。
――第1ピリオドにペナルティーが多かった理由は?
身体が動いていなかった訳では無かったと思うのですが、やはり大きい選手に対して苦労したというか、チェックの際に身体を上手く使えずにスティックを出して止めにいってしまったり、メンバーオーバーであったり、チームのペナルティも悪い時間帯で重なっていって、なかなか良いペースで戦うことができなかったというのはありました。
――逆に言えばその状況からよく第2ピリオドで巻き返しましたね
シュート数も両者ほとんど変わらず(日本28、デンマーク26)、ペナルティー時間も大差はなかったのですが、5人対5人の局面ではほとんど押していたと思いますし、スコアリングチャンスも我々の方が多かった。いつもの課題ではありますが早い時間帯での点数を決めきれない段階がありましたが、最終的に1対0で押し切ったというのはチームに自信になったと思います。
――PPでの得点力向上に向けて修正は?
なかなか我々のやりたいことをさせてもらえないのと、相手GKのレベルの高さに点数を取ることが今日はできなかったですけれども、形的にはセットまでしっかりできていてシュートまで行けている。最終的にフィニッシュの部分を少し修正していきたい。ゴールに向けての最終的な部分のプレーでのパックの動かし方、というのがとくに後半では相手に読まれ気味だったので、そういう点を明日1日あるので修正したいと思っています。
――目標に掲げたのは4強入り。手応えは?
まだ1試合しか終わっていないので、なんともというところではありますが、次に対戦するチェコは我々に次いでランキングの高いチームですし、前回の世界選手権でも1-3で敗れていますので、「次のチェコ戦でどういったことができるのか?できないのか?」ということでその先への展望が見えてくると思います。
――得点力に対しては課題が出ましたが打開策は?
パワープレーが7回あったのですが、そこで決め切れていない。最終的にスコアリングチャンスまでは持っていけているのですけれどもやはりフィニッシュの部分、そこを明日に短い時間ではありますけれども、得点の可能性の高いオプションを探してゴールできるようにしていきたいと思います。
==(IPJ)かなり長い期間の隔離生活を経た上での大会ですがコンディションは?
飯塚:
昨シーズンから国内の合宿でもバブル状態を作ってやってきたので、その点はそんなに苦労しているというところは無いと思います。ある程度チームも隔離されるなかでのこういった試合をする状況に慣れてきているのかな、とも感じますので、その点は影響は無かったと思います。
==次戦、チェコ戦についての展望を
チェコはラインの1つ目から4つ目までレベルの高い選手が揃っていますし、オフェンス能力の高いチームですので、今日の試合のように守りをしっかり固めるわけではないですけれども失点するリスクをおさえること。数少ないチャンスをしっかり決めていきたいと思います。
==(IPJ) 今日の試合で勝ち点3を取れたことはやはり今後に向けて大きい?
3日前にハンガリーとテストマッチを行ったのですが、久しぶりに海外チームとの試合だったこともあって、あまり良い動きでは無かったのですけれども、「今日もそういう動きになるかな」とある程度は想定していたなかでの試合でした。その点でも、よく選手たちも失点せず、崩れず、最後まで戦ってくれた。そのことはチームとして1つ成長できた部分だと思いますので、次のゲームに繋がる内容だったと思っています。
次は上位進出に向けて負けられない相手、チェコ
スマイルジャパンは日本時間8/24(火)朝7:00からチェコと対戦。続いて8/25(水)10:30からはハンガリーと試合が2日続けて行われる。
チェコは初戦デンマークに6-1、続いてハンガリーに4-2で連勝しており、現在ドイツと並んでグループBのトップにいる相手。選手達もアメリカのチームでプレーするなど、非常にレベルが高く力を付けているチーム。
日本にとってチェコ戦はまさに序盤戦のヤマとも言えるだろう。
守りの面では非常に良い入りを見せたスマイルジャパンだけに、堅い守りをベースにしながらいかにパワープレーで得点を奪っていけるかがポイントになるだろう。
ぜひ、チェコという1つ目の壁を打ち破って、グループBの主役に躍り出ていることを願う。
大会3日目終了時点での順位表は↓