目標は準々決勝突破、ベスト4。強豪との試合で「何か」をつかめ

増原海夕(上写真:アメリカ戦でのもの)が先発。1ピリを無失点に抑えるなど成長を見せた 写真:Newspix24/アフロ

取材・文:アイスプレスジャパン編集部

IIHF女子世界選手権トップDiv.日本時間8/26(金)25:30~
予選リーグ グループA

日本 1(0-0、0-2、1-1)3 スイス

アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」は、日本時間8/26(金)25:30~(8/27(土)1:30~)グループAの予選リーグ2戦目となるスイス戦に臨んだ。

グループAの中では一番日本にランキングが近接しているスイスとの試合。
日本は序盤をしっかりした守りで耐えて第1ピリオドを両チームスコアレスで終える。先発GKの増原海夕が素晴らしい集中力を見せて、非常に締まったゲームの入りとなった。

第2ピリオドも11志賀紅音のスピードを生かした突破などでチャンスを作るも、スイスの1セット目にいる警戒すべき相手、StalderとMullerのスピードある個人技でDFを崩され2点を先行されてしまう。

第3ピリオド、日本は持ち前の運動量を生かした攻めを取り戻し、床秦留可のシュートが惜しくもクロスバーに弾かれるなど相手ゴールに再三迫るも得点までは至らず。残り3分台の早めの段階で6人攻撃を仕掛けるもシュートのリバウンドから相手に繋がれエンプティネットゴールを許し0-3に。

しかし、日本は6人攻撃の継続を選択。アタッキングゾーンでキレイにパスを回して相手DFを動かしながらシュートレンジを広げ、最後は左30度にいた志賀紅音がワンタイマーで相手GKの左肩口を抜き大会2試合目終了間際にして日本は待望の得点。

最終結果は1-3でグループAでは0勝2敗となったが、準々決勝での再戦の可能性もある相手に対して反撃を見せる形で試合を終えた。

日本の次戦は8/28(日)日本時間22:00~ 対カナダ戦

スイス戦後、飯塚監督と人里、志賀紅音選手がインタビューに応じてくれた

<飯塚監督>
Q:今日のスイス戦は、0-10で敗れた初戦のアメリカ戦の大敗は引きずらずに入れたような感じがしましたが、どういうメンタルで今日の試合に臨んだのか?

飯塚監督:アメリカ戦では10点を入れられて得点もできないまま終わってしまったんですけれども、選手たちは前向きな様子というか、心配する要素はなかったと思います。

若いチームで、その点しっかり選手たちは気持ちを切り替えて、チャレンジャーという気持ちで、昨日のことは引きずらずに試合に入ってくれたと思ってます。

飯塚祐司監督(写真:編集部 2019年大会のもの)

飯塚監督:(スイスは)やっぱりアメリカとは違いますよね。スイス相手には私たちとしても、メンバーどうこうよりも、やっぱ勝っていかなければと、みんな勝利を目指して今日入ったのですが、やはり警戒していた相手の1セット目に点数を許してしまったところが課題です。分かってはいたんですけれどもその主力の個人技を抑えることができなかった。

しかしながら、スイスにはまた次当たればリベンジできる距離にあるとは感じてます。

Q:スイスとは準々決勝で当たる可能性もあります

飯塚監督:得点を取らないことには勝てない。早い段階でスコアリングチャンスを作っていかないとなかなか難しい。今日の試合もエンジンがかかったのは第3ピリオドに入ってからだったので、それを1ピリから出せるようなチームになるよう、このあとカナダ、フィンランドとの2試合で成長できればと思っています。

Q:今日の試合では6人攻撃を仕掛けて逆に点を奪われ0-3にされてそこで普通は落胆するものですが、もう1度6人攻撃を仕掛けて得点を取り切ることができたのは良い点だったのでは?

飯塚監督:アメリカ戦は0点で終わっていますし、きょうのスイス相手にもなかなか1ピリから行くチャンスもなかった。全体的にはやや押し気味なゲームでしたので、勢いは我々の方があるかなということで、1点を取ることによってチームの勢いや自信を取り戻したりできるので、ためらいなくその選択をしました。

Q:(6人攻撃で挙げた)あの1点がもしかすると今後に繋がるかもしれないですね。

飯塚監督:そうですね。選手たちも前向きになれると思いますし、自信を取り戻してくれると思います。

Q:今日は小西あかね選手をベンチから外しましたが?

飯塚監督:やはりシュート数もアメリカ戦でかなり受けていましたのでリフレッシュの意味も含めて外しました。

Q:今大会に向けてどんなチームのコンセプトで臨んでいるのか。また今回の世界選手権の目標を教えてください。

飯塚監督:次のミラノオリンピックの出場権はやはりランキングによる出場枠を厳守するという点にこだわりたい、という部分は選手たちと確認しました。

まだ五輪出場へ向けての詳細は発表されていませんが、これまでと同様ならランク上位6チームに出場枠が与えられる可能性が高いと思います。

それで今大会もそこを目指して世界選手権を戦っていこうと意思を統一しています。

Aグループで大会をスタートしていますから、ベスト8を越えて準々決勝を勝ってベスト4を取ろう、と確認して大会に臨んでいます。

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<人里(旧姓:床)亜矢可選手>
Q:グループAで戦うことで、日本がいま世界のどのぐらいの位置にいるかという部分を探りながらの試合だったと思いますが、そのあたりアメリカ、スイスと2試合戦ってみて感触は?

人里選手:

やっぱり昨日のアメリカ戦は本当に日本のプレーができていなかったですし、本来なら防げる失点もしてしまい全然チームが機能していない試合だったと思っています。

(ロシアの大会除外で)Aグループに繰り上げの形で入りましたが、何かお客様みたいな感じで受けてしまっていた部分はありました。
日本は本当にベスト4を狙っているのに、昨日みたいな試合をしないよう全員が気合を入れ直して、スイス戦に臨んだのですが、それでもやっぱりメダルを獲得したりベスト4に入った事もある相手に対して結果が残せなかったので、監督からもお話しがあったと思うんですが、残りの試合であったり、残りの練習で改善して本当にベスト4を取れるようにしっかり準備していきたいと思っています。

Q:スイスとは準々決勝での再戦する可能性もある中で、1対3という結果はどう捉えていますか? 次の試合に向けてどういうところを直せば、この結果をひっくり返せるんじゃないか、といった思いがありましたら聞かせてください。

人里選手:スイスはパックをキープする力がしっかりあって、危ないシーンからでも攻めに繋げるといった攻守の切り替えがよくできていたと思っています。いっぽう日本はパックをキープすることをせずに適当に放ってしまったような時間帯もあった。そういうプレーを減らして、自分たちで組み立てて攻める時間をもっと作れるようになっていったら、全然勝機はあると思います。次に戦うことがあれば、もっとハードに戦っていかなければいけない、と思いました。

Q:次のカナダ戦に向けての抱負を御願いします

人里選手:アメリカと戦ったときと同様、厳しい試合になるのは予想されますが、その中でも自分たちがどんどんチャレンジしないといけないと思います。アメリカ戦でまったくできなかった部分を、カナダ戦ではしっかり発揮して、自分たちからどんどんと相手とのバトルに向かっていくようなシーンを多くしたいです。

<志賀紅音選手>

Q:2試合を黒星でスタートとなりましたが、スイス戦では手応えもあったのではと思います。特に攻撃面に関して手応えはいかがでしたか?

志賀紅音選手:アメリカ戦とは違いスイス戦ではアタッキングゾーンでの時間も長かったし、良い攻撃にも繋げられたのでチームとしては、収穫になりました。

今日のスタートはあまりよくなく、相手にスペースを支配されてやられてしまったのですが、今日の第3ピリオドのホッケーを1ピリオドからやることができれば得点に繋げることができると思うので、そのあたりを意識しながら頑張っていきたいと思っています。

Q:今日の3ピリが良くなったのはどういう理由だったか、志賀さんなりの分析を聞かせてください。

志賀紅音選手:みなスケートをすることを積極的に行って、ゴールに向かうという意識が全員持てていたのでそこが良かったと思います。

Q:試合の最後の最後で 6人攻撃をかけて、アタッキングゾーンでパスを綺麗に回して志賀紅音さんがフィニッシュを決めきった、というのは非常に大きいのではと思いますが、ゴールについてはいかがでしょうか?

志賀紅音選手:2試合連続無得点では、次の試合に繋がらないと思っていたので、価値は少し下がってしまったのですけれども、「スコアをする」っていうことに意味があると思って全員で頑張れたと思います。

Q:スイス戦後のチームの雰囲気は?

志賀紅音選手:今日の試合は予選リーグで順位が決まる試合ではなかったですし、そんなに落ち込んでいる雰囲気はなく、次の試合に向けて戦っていこう、といった感じで全員の意識が向いていました。

Q:グループA残り2試合でカナダ、フィンランドと、非常に強いチームと戦えますが、志賀紅音選手自身で期待というか、楽しみにしている部分はありますか?

志賀紅音選手:どっちも格上のチームなので、チャレンジ精神を持ちながらどのくらいできるのかと言う部分を確かめるために、勝ちにこだわりながらホッケーしていきたい、という思いです。

試合ハイライト映像はこちら↓

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