”スケート文化”を東京の子どもたちへ。SEIBUプリンセスラビッツの体験会+交流試合が大盛況

SEIBUプリンセスラビッツと昭和医科大学ブルーウィンズが900人超の観客を前に東京で熱戦を披露した

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/編集部

 ミラノ・コルティナ五輪の出場で注目された女子アイスホッケー。
その魅力をもっともっと多くの方々へ伝え、スケート文化を東京に根付かせたい……そんなイベントが3月29日、西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナにて開催された。

 このイベントを企画したのは、東京をホームとし、東大和市の東大和スケートセンターを練習拠点に活動する女子アイスホッケーチーム、「SEIBUプリンセスラビッツ」。
ホームリンク周辺の東大和市・小平市・西東京市の3自治体とも協力し、各市在住・在学の小学生を対象にプリンセスラビッツの選手が先生となって子どもたちにスケートに親しんでもらう「ふれあいスケート教室」が前半に実施された。

小平・西東京・東大和の3市で募集した小学生たちが参加したスケート教室では子供たちの歓声が響いた

 自治体の応募を通じて申し込んだおよそ60名の子供たちが女子トップ選手とともにスケート体験にチャレンジ。選手が子供たちにアイスホッケーのシュートの打ち方などを指導すると、さっそくシュートを打って大喜びする様子を見せるなど、リンクには子供たちの楽しげな声がこだましていた。

イベント後半では雰囲気も一転、SEIBUプリンセスラビッツVS昭和医科大学ブルーウィンズ(神奈川)とのエキシビションゲームが開催された。

 試合開催に先立っては、ミラノ・コルティナ五輪の女子日本代表・スマイルジャパンのメンバーとして活躍した山下栞選手(小平市在住)と小山玲弥選手(東大和市在住)がマイクを持ち、観客にスマイルジャパンを応援していただいたことに対する感謝の言葉を伝える場面もあった。

オリンピックに出場した小山選手(右)、山下栞選手がマイクでファンに感謝の言葉を伝えた


プリンセスラビッツは2025‐26シーズン・女子アイスホッケーのビッグタイトルの1つ『全日本女子選手権(A)』で2年ぶり14回目の優勝を果たしており、優勝報告と凱旋の試合ともなったこの対戦を見ようとおとずれた観客は900名を超え、多くの観客・ファンがスタンドから見守るなか、両チームの選手たちが熱戦を繰り広げた。

記念フェイスオフには(左から)小林洋子小平市長、池澤隆史西東京市長、和地仁美東大和市長が勢ぞろいするなど、地元で盛り上がて行こうという機運もうかがわせた

 試合では、山下栞選手、小山選手も出場し、オリンピックレベルのプレーを披露。シュートのスピードの速さやコーナーでの熱い主導権争いなど、さっきまで先生をしてくれたプリンセスラビッツのお姉さんたちが選手として激しく戦うシーンには子どもたちは驚いた様子も見せながらも、良いプレーが飛び出すと自然に子どもたちから歓声や拍手が飛び出すなど、至近距離で触れる女子アイスホッケーの魅力に心をつかまれている様子だった。

白熱したゲームが展開されたエキシビジョン

 女子アイスホッケーの全国大会は強豪チームが北海道に集中していることもあり、北海道各地で行われるのが通常。関東を拠点にするプリンセスラビッツやブルーウィンズの選手にとってはこのイベントのように東京で試合が開催されることは貴重な機会といえる。今回はSEIBUプリンセスラビッツの主催でこのような試合が行われたが、選手にとっても900人を超える観客が大いに盛り上がるなか同じ空気感を共有でき、東京・首都圏で家族や友達に試合を見てもらえる大切な時間となったようだ。試合はシーソーゲームのなか、最終的にSEIBUプリンセスラビッツが競り勝って2‐1で勝利。試合後には両チームの選手にスタンドから大きな拍手が降り注いでいた。

「東京でもリンクがあればオリンピック選手は育てられる」その未来へ向けて

 このイベントが企画された背景には、やはり今年2月のミラノ・コルティナ五輪に女子日本代表・スマイルジャパンが出場したことが一つのきっかけとなったのは間違いない。

「オリンピックに参加するSEIBUプリンセスラビッツの選手がそれぞれ3市に在住しているご縁もあって、各市に表敬訪問してから、五輪期間中には応援の横断幕を出していただいたり、本当に各市の皆さんから色々なところで応援していただきました。そのご恩に対して何かチームでお返しできることはないかと考えたのがこの企画のスタートでした」と語ってくれたのは、SEIBUプリンセスラビッツの元監督で今はジェネラルマネージャー(GM)を務める瀬野尾綾子さん。五輪期間中には、史上初となるスケートリンク上での五輪応援パブリックビューイングを行うなど、アイスホッケーと地元のかかわりを深めようと努力してきた1人だ。

「もっと首都圏で女子アイスホッケーに触れてほしい」選手もスタッフも共通の思いだ

今回のイベント開催に当たって、それぞれの市の公式サイトで参加者を公募したところ、10倍を超える倍率になったという。「事後のアンケートでも、『すごく楽しかった』とか『またスケートしたい』といったコメントがほぼ100%に迫る数字で。近くにスケートリンクがあるというメリットをきっかけに子供たちがスケートスポーツに親しむきっかけを作れれば嬉しいですね」と瀬野尾さんは言葉を繋げた。

「こういう取り組みで仮に300人の子供たちがスケートを始めれば、翌年には『アイスホッケー始めました』という子も必ず何人かは出てくれるんです。アイスホッケーに限らずなのですが、最近つねづね思っているのが、アイスリンクがあれば都市部でもどこででもオリンピック選手は育てられるということなんです。私たちは本気でそうしたいと思っていまして、その入り口としてこういった体験会も進めていければと考えています。スケート文化というものを東京の地でもしっかり根付かせたい、と思ってますのでこれからも今回のような地域の方とのつながりを作りあげていけるような企画にチャレンジしていきたいです」

シーズン最後に実現した東京での試合。選手たちも多くのファンや子供たちに向けて笑顔を見せていた
昭和医科大学ブルーウィンズのメンバーも笑顔でリンクを1周

 瀬野尾さんの頭の中には、女子アイスホッケーをもっと広めるためのアイデアがいくつもあるそう。将来へ向けての目標・課題として新規の大会の開設や、オリンピックに向けての選手強化について、そして女子アイスホッケーをフックにした社会貢献の形などにも取り組んでいければ、という話も飛び出すなど、今後のアイスホッケーの普及・強化に向けた思いがその言葉からたくさん伝わってきた。

 今回のイベントをきっかけに、地元の方々がスケートというものに触れて、その輪が広がっていけばそれは東伏見ダイドードリンコと東大和スケートセンターとスケートリンクを2つも近接して抱えるこの東京西部地域ならではの特色となる。そんな未来を描いて、SEIBUプリンセスラビッツはまた過去に例のないアイデアも持って様々な取り組みへ挑戦していく。

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