「Unite Hockey Summit 2026」発起人・佐藤航平選手がこのイベントに込めた思いとは?

「Unite Hockey Summit 2026」を提唱した佐藤航平選手(右から2人目)。「なぜカンファレンス形式なのか?」その思いに迫った(撮影:編集部2024年7月)

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 

 週末7月12日(日)、「Unite Hockey Summit 2026」が京橋エドグラン Incubation CANVAS TOKYOにて開催される。『日本初!アイスホッケーの育成・強化の情報が集うカンファレンス』ということで、どんな内容が繰り広げられるのか? 興味を持っている読者の方々、特にジュニア選手の保護者の方も多いだろう。
 一方で、カンファレンス/シンポジウム形式というスタイルでアイスホッケーの育成・強化を語るという、今までになかったスタイルでの取り組みのため、アイスプレスジャパン編集部としてもどんなカンファレンスになるのか? 少し想像しがたいことも否めなかった。

 ただ、この「Unite Hockey Summit 2026」がどんなイベントなのか? を調べるうちにキーマンとして、若くして北米に挑戦し現在も海外でプレーを続けている佐藤航平選手(ブリアンソン/フランス)が最初に音頭をとり、企画がスタートしたイベントであることが分かった。佐藤航平選手にコンタクトを取り、この「Unite Hockey Summit 2026」を立ち上げた理由について話を聞くと、彼のアイスホッケーに対する熱い思いがベースとなり、その理念に賛同するビジネスマンや選手が集まり、このような大きなイベントになったということが分かってきた。

 このイベントを立ち上げるにあたっての思い、またどんなことを参加者に届けたいのかを佐藤航平選手、そして主催するUnite Hockey Japan 株式会社の柴田さんに聞いた。

↓「Unite Hockey Summit 2026」のXより

海外挑戦の経験、“正しい情報”を日本のジュニア選手や保護者に伝えたい

「Unite Hockey Summit 2026」はメイン、サブのステージに分かれ、延べ10のトークセッションが行われる。アイスホッケーをこれだけの規模をもってカンファレンス形式で語り合うのはまさしく史上初だ。佐藤航平選手はなぜこのような形のイベントを立ち上げようと思ったのか? 

「自分自身が中学生年代から海外に挑戦している中で、やはり情報量が少ないな、と感じた実感がきっかけでした。アイスホッケーに関して、北米ではコーチたちがクリニックに行って学んでいますし、勉強会もあちらこちらで頻繁に開催されている。アイスホッケーに関する情報があふれているんですね。一方で日本国内に目を向けると、NHL、AHLまで到達できる選手を作るという環境がまだ整っていないなと、感じています。その中で、海外の情報を正しく取り入れるということが非常に大事だと思ったんです」
 佐藤選手は、自身も北米挑戦する中で感じてきたことや、成功も失敗も含めた経験をこれからの世代に伝えることが大きな自分の役割であり、使命でもあるという考えから今回のカンファレンスの形を企画したという。

「“正しい情報”というのがキーです。今はネット社会でいろいろな情報があふれていますが、僕たち選手が経験したことやそこで感じた思い、またそこをどう乗り超えたのかといった考えこそが“正しい情報”だと思っていて、それを多くの若い選手たちに伝える場を日本で作りたいと思ったんです」

 佐藤選手も“日本のアイスホッケーを変えたい”という思いを抱える中、「自分に何ができるのだろう?」という率直な問いの1つの答えが「Unite Hockey Summit 2026」の形になったともいえる。福藤豊選手が最初に海外挑戦からNHLへの道を切り開いた歴史があり、さらに平野裕志朗選手も三浦優希選手も北米に挑戦してそこからAHL、ECHLに到達しているものの、日本から直接というのは今もまだ難しい道のりだ。いつかはその道を作るために、その第1歩として今回の形を提唱した、というのか佐藤選手の思いだった。

「僕自身の経験もそうですが、三浦優希選手や蓑島圭悟選手…ほかにも参加してくれる日本のトップ選手が日本のアイスホッケー界にどう良い影響を及ぼせるのかと考えたときに、こういう“正しい情報”があふれるような場を作って、日本のアイスホッケーの指導者やジュニア選手、またその保護者の方々も海外の世界標準の取り組みへのキャッチアップがやりやすくなるとも思っています。今回をスタートとしてこれから5年10年と継続できる形を取れば、日本のアイスホッケー界が良い方向に大きく変わっていくのではないかとも考えています」

参考記事>「五輪逃した男子アイホに久々の吉報 新星が日本人初のNCAAデビュー

 発起人としての佐藤選手の思いに多くのトップ選手も賛同し、今回の「Unite Hockey Summit 2026」のプロジェクトが今年2月にスタート。その中で、このカンファレンススタイルの形にまとめあげたのが、主催である柴田憲佑さんだった。

”カンファレンス形式でのやり取り”がアイスホッケー界に熱をもたらす

 柴田さんもジュニアからアイスホッケーをプレーしており、カナダへのホッケー留学も経験したうえで関東大学リーグの中央大学で活躍。その後はITスタートアップの世界でビジネスマンとして仕事に注力するかたわら、現在も愛知・中日クラブの選手としてプレーしている。また中日クラブではコーチとして日々子供たちの指導に当たっている。「Unite Hockey Summit 2026」のプロジェクトは佐藤選手はじめ現役の選手と柴田さんのような日本でコーチとして尽力している方々がチームを組んで進めてきた。その取り組みの中で、なぜカンファレンス形式でこの企画を行うのか? について柴田さんはこう説明する。

「僕自身、ITスタートアップという業界に2011年ごろからおります。そのころはリーマンショックの後でITも結構つらかった時期なんですけれども、当時からカンファレンスというものは行われていました。そこで情報交換したりコミュニティが生まれたり、意思決定がなされたりということをずっと見ている中で、カンファレンスが元となって業界の熱が生まれた、ということを肌で感じてきました。なので、アイスホッケーにおいてもカンファレンスという形でトップ選手とジュニア選手、その保護者の方、また日本の指導者の間で価値のある情報のやり取りを行うことで、大きなエネルギーが生まれるきっかけになると思います」

 柴田さん自身も10代でカナダにホッケー留学したさいに、行ってみたら情報も指導スタイルも日本できいていたものとは大きく違い、戸惑った経験が何度もあったという。佐藤選手の呼びかけに賛同したのもその経験があるからこそ。「今は情報にリーチしやすくなっている時代とはいえ、それでも日本と北米との情報ギャップは大きい。そういう所を埋めていけるイベントを作りたいとはずっと思っていて、今回の佐藤選手の呼びかけに応じたのはそういう点もあります」

海外挑戦に飛び出した選手たちの「生の声」「貴重な経験」を共有できる場

 当日のカンファレンスでは、佐藤選手のほか男子では三浦優希選手、蓑島圭悟選手、福藤豊選手、榛澤力選手、冨田開選手…と海外でプレー経験のある選手が並ぶ。女子では志賀紅音選手、床秦留可選手とスマイルジャパンの主力を張る2人に加え、NCAAハーバード大でプレーした佐野月咲選手も参加するなど豪華なメンバーが揃った。その選手の誰もが、海外挑戦で得た多くの経験談や知りえた情報をこのカンファレンスで後進に向けて広く伝えたい、との意思で参加しているそうだ。

↓同Instagramから。日本のトップ選手が佐藤航平選手の思いに応え登壇する

 この「Unite Hockey Summit 2026」が掲げた開催ビジョンは「学びと行動の好循環で、日本アイスホッケー界を豊かに」。柴田さんはこのビジョンの根底には「質の高いインプットを日々の現場での『行動』に変えて、日本全体で成長のサイクルを回していくこと」が重要だという。

「アイスホッケーの“正しい情報”をみんなでどんどん共有していこうという『情報の民主化』を佐藤選手が言ってくれて、それはその通りだなと私も感じています。そのうえで、情報を得たそれぞれの人たちがどれだけ行動できるか、また、どれだけ実践できるか? でしか差がつかないとも考えていまして、こういった『正しい情報を学ぶこと』にポジティブな人たちが集まって、活発な情報交換が行われていく有意義な場を作ること、これも『Unite Hockey Summit 2026』で掲げている点です」。

「Unite Hockey Summit 2026」が掲げる4つの指針のうちの1つには、「互いに敬意を払い、応援し合うコミュニティの創出 批判や否定ではなく、お互いの意見を尊重し合いながら『どうすれば日本のホッケー界をより良く(Improve)できるか』を、情熱を持って建設的に議論できる温かい文化を育みます」とある。そういった考えのもと、進められているプロジェクトであることは2人から話を聞いて非常に感じられた点だ。

「海外でのアイスホッケー留学を考えている人や海外挑戦を考えている選手、またその保護者の皆さんはやはり不安がいっぱいあると思うんです。そういった皆さんの力に少しでもなれれば、と思っています。自分自身13歳でアメリカに渡った時にどれだけ苦労したとか、カルチャーショックをどれだけ受けた、とか。こういう話ってなかなか聞けないと思うので、ぜひこのカンファレンスで聞きたいことをどんどん聞いてほしいし、リアルな最新の情報も知ってほしいと思っています。かかわってくれている選手、メンバーは本気で日本のアイスホッケーを少しでも前進させたいと思っているので、ぜひ会場に来ていただければ。それだけの価値がある内容だとも自負しています」と佐藤選手は話してくれた。

 7月12日(日)、「Unite Hockey Summit 2026」の会場で登壇選手と参加者との間でどのような“化学反応”が起こるのか? とても楽しみなイベントだ。ぜひ、海外挑戦を考えている方、指導者の方々、またアイスホッケー界の未来を知りたい方はぜひ会場を訪れてみていただきたい。

「Unite Hockey Summit 2026」概要

名称:Unite Hockey Summit 2026
日時:2026年7月12日(日) 11:00~19:00
会場:京橋エドグラン Incubation CANVAS TOKYO
東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン29階
JR「東京」駅八重洲地下街4番出口から徒歩5分

主催:Unite Hockey Japan 株式会社
イベント詳細は公式サイト https://unite-hockey.com/を参照。
公式X>https://x.com/Unite_hockey 公式Instagram>https://www.instagram.com/unite_hockey.jp
当日のセッションのタイムテーブル(時間割)は⇒https://unite-hockey.com/timetable
参加は上記の公式サイトから参加申し込み(有料)を行ってください。

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