コラム:「アジアチャンピオンシップ男子」の(ごく私的)見どころ
文:アイスプレスジャパン編集部 編集長ポタやん
女子の快挙を受けて、さあ、男子日本代表の出番です!
アイスホッケーファンのみなさまこんばんは。ポタやんです。
なかなか情報が出ずにやきもきさせられていた「アジアチャンピオンシップ」ですが、無事に男女とも日本代表の大会参加が決まり、先日行われた女子では全3試合完封という偉業でスマイルジャパンが初代チャンピオンに輝きました。
女子は参加国のうち、韓国とカザフスタンはまだまだ強化が進んでおらず日本とはレベルの差があったことは確かですが、来年2月の2026ミラノ・コルチナダンペッツォ冬季五輪最終予選(苫小牧)で直接対戦する中国に対してしっかりと得点差をつけて勝利できたことは、非常によい積み上げができた前哨戦となったと思います。優勝への期待値が非常に高かったですし「勝って当たり前」という下馬評のなか、そこでしっかりと全試合完封で勝ちきったことは素晴らしいことでした。
一歩抜け出すカザフ+混戦の日韓中3ヵ国
いっぽう、男子に目を転じるとカザフスタンが1歩というか1.5歩抜け出していてあと3チームは大混戦です。日本としては中国と韓国に対しては接戦だろうがGWSになろうが構わないのでとにかく勝利すること。また、カザフスタンに対してはどれだけ日本らしさを見せて食い下がれるか? という大会になります。日本時間の11/6(水)20時にいよいよ大会が始まりますね。ということでポタやん的な目線から見どころというかポイントを書いてみました。あくまで個人の見解ということでお気楽にお読みいただければと思います。(Xで出すには長いです、ということもあります汗)
今大会の日本代表は、8月の五輪最終予選からメンバーをけっこう入れ替えて若手を積極的に起用する布陣で臨みます。ある程度、4年後へのメンバー育成も視野に入れた構成だとおもって差し支えないでしょう。そんなフレッシュなメンバーがどれだけアジア3ヵ国を相手に良い戦いを見せてくれるか、がまずは最初の注目ポイントです。
個人的に2つ目の注目点として上げたいのは「GKに誰が起用されるのか? また3試合でGKをどう使ってくるのか?」。ジャロッド・スカルディ監督の采配に注目しています。
8月の五輪予選では、成澤優太選手が3試合戦い抜き素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。いっぽうで、成澤、福藤豊の両GKに日本代表がずっと頼り切っていたことは事実です。その次の世代のGKを世界に通用するレベルに引き上げなければいけません。
そういう意味で今回、アジアリーグで素晴らしい成績を残している伊藤崇之選手、成長を見せている大塚一佐選手がメンバーに入っているのを見たとき、驚きよりは「ようやく選んでくれたか」という安堵の気持ちの方が強かったのは確か。スカルディ監督が果たして誰を起用するのか? 日本代表常連の佐藤永基選手も国際試合出場はまだまだ少なく経験を重ねてほしいという思いもあります。(個人的には3人に1試合ずつ先発させてあげたいくらいの気持ち^^)スカルディ監督の采配に注目したいと思います。
攻撃陣はこれまででもいつ代表メンバーに入っていてもおかしくない選手が並んでいます。ただ、8月の五輪予選メンバーと比べてはわずかの差だったりラインの組み合わせの相性だったりで選考漏れとなっていた選手も多いので、この大会でぜひアピールしていって代表定着への足ががりを築いてほしい。このチームのメンバーが上を突き上げて日本代表内部での競争が激しくなれば、来年の世界選手権Div-IAでもその効果が期待できます。そういう意味では非常に良い大会をIIHFが創設してくれたと思います。ポタやん個人的には、先にも挙げたGK陣とくに伊藤選手の奮闘と、磯谷選手の攻撃力、アジアリーグルーキーメンバーの活躍に注目しています。
日本は島国であるという地理的条件もあり、格上の国と戦うためには欧州などに遠征する必要があります。ただ財政難で、ユーロチャレンジといった海外遠征に選手を派遣できる機会が減ってきました。これはファンの方もご存じの通りでしょう。しかしながら幸か不幸かアジアチャンピオンシップ男子に参加する4ヵ国の戦力差は詰まってきており、このような大会が恒常的に行われることは強化面では日本にとってプラスです。来季に向けては日本国内の日程をオフに作成する時点でこの大会も考慮して、アジアリーグとずらしたり、大学生の有力選手などもチョイスできるような国内日程を組んで貰えれば良いなあと考えたりもしています。
(※今季はIIHFの決定が遅かったようで、日本側も準備不足に陥ったのはある程度仕方ないというか、「大変でしたね」と言ってあげたいくらいだったなという気もします)
あと1つ。中国で行われた「アジアチャンピオンシップ女子」ではルーク・タルディフIIHF会長が表彰式でのプレゼンターとして直々に登場しました。もし男子の方にも表彰式等で登場するようなら、アジア地域でのこの競技の発展に相当な力を入れたいという考えがあることの証明ではないでしょうか? 一説によると、タルディフ会長は日本にもかなり友好的で親日家だとも聞きます。個人的にはそんな目線でも注目しています。
もともとこの大会は4月にアメリカで行われた女子世界選手権トップDiv.の会見で、タルディフ会長自らが「アジアでのチャンピオンシップを創設したい」と打ち上げた大会です。最低でも2028年までは持ち回り制でこの大会は続くことは決定しています。ですので遅かれ早かれ日本での開催が要求されることは間違いない。ファンにとっては待望の日本代表が生で見られる機会の到来となります。その機会をぜひチャンスとして捉えていただきたいと思います。
アジアチャンピオンシップ創設は世界選手権のフォーマット変更の布石では? との噂も聞きますが、それはまた別の話題としていったん置いておきます。
日本としてはこの大会と周辺の流れをうまく利用して、日本開催時には収益を上げられるように、また「日本代表の広報周知と地位向上&アイスホッケーの人気アップにこの大会を使ってあげますわよ」、くらいのしたたかさで戦略を練ってほしいと願います。