「プライドを持ってやっている」
レッドイーグルス久慈修平が語る「スピード」の意味
取材・文/今井豊蔵 写真/福村香奈絵
全日本選手権2回戦 レッドイーグルス北海道 6(2-0、3-0、1-3) 3 明治大学
2018年以来4大会ぶりの優勝を目指すレッドイーグルス北海道は、初戦となった明治大学戦を6-3で快勝した。2得点を挙げてチームを引っ張ったのが、ベテラン35歳のFW久慈修平だ。第1ピリオド11分42秒にチーム2点目のゴールを決めると、第2ピリオド17分52秒に自身2点目。「アジアリーグとは違うトーナメントで、スタートからしっかり戦えた」と好発進を喜んだ。
王子イーグルス入りした2010-11シーズンにいきなりアジアリーグ得点王に輝くなど、日本を代表するスコアラーとしてプレーし続けてきた。トーナメントの戦い方も心得たもの。「チームを勢い付けられる、闘志あふれるプレーを見せたい」。高木健太、入倉大雅と組んだ2つ目のFWラインは「ゴールへ向かおう」と意思統一してこの試合へ。その通りの結果を出してみせた。
「もうやんちゃはできないので……」爆速FWが語る貢献の形
若き日の久慈は、一瞬で相手DFを置き去りにする爆発的なスケーティングスピードが最大の持ち味だった。「今も体力やスピードについては、変わらずプライドを持ってやっています」と言うが、その「中身」は少しづつ変わってきていると言う。
「チームにエネルギーを与えるスピードを意識しています。僕もいい歳ですし、もう『やんちゃ』はできないので」
どういうことかといえば、一口に「スピード」と言っても、いろいろな意味があるというのだ。滑る絶対的な速さだけではない。「反応するスピードも『スピード』です。コンマ何秒かでいい判断をできれば、プレースピードも衰えないと思っているので」。かつてはドイツのトップリーグ「DEL」に挑戦するなど、豊富な経験で磨かれた反応スピードを活かし、少しでも早くゴールに向かおうとしている。
一発勝負で決まる全日本選手権の「怖さ」は、ベテランになっても決して薄れることはない。「ワンシフトごとに、プレー内容を考えながらやらないといけない。出ていない時も試合に集中していないといけない」。一つのチャンスロスやミスが命取りになる怖さも、楽しさも知り尽くしている。
「周りを生かしてあげるプレーも考えるようになりましたけど、ゴールが1番のプラスですから」。準決勝、決勝で希代のゴールハンターは、何をみせてくれるのか。