HLアニャンのキム・ギソンが通算200得点 AL史上6人目「とにかく一生懸命」

韓国代表の点取り屋としても活躍するキム・ギソン選手。今季目指すはアジアリーグのタイトルだ

取材・文・写真/今井豊蔵

アジアリーグアイスホッケー 2月5日(日) 会場:日光霧降アイスアリーナ

栃木日光アイスバックス0(0−1、0−2、0−2)5 HLアニャン

HLアニャンのFWキム・ギソンが、アジアリーグ史上6人目となる通算200得点を達成した。
2月5日に日光で行なわれたアイスバックス戦の第1ピリオド8分40秒、1人多いパワープレーのチャンスに右スロットでパスを受けると、スティックを素早く振り抜いた。パックはGKとポストの合間を抜けゴールへ。静かに左手を突き上げ喜んだキム・ギソンは第2ピリオド10分にもこの日2点目を挙げ、快勝への流れを作った。

韓国育ちの選手としては初の記録「こんなところまで数字を伸ばせるとは」

「まず、長い時間がかかったなと思いました。その上で勝てたので気分はとてもいいですね」

2008-09シーズンに当時のアニャンハルラ入りし、15シーズン目での節目をこう振り返る。1年目から21ゴールで得点ランキング3位。上にいたのはブロック・ラドゥンスキー(アニャンハルラ)とシェーン・エンディコット(王子製紙)だった。
23歳のルーキーは、いきなりリーグ有数の得点能力を見せたが「当時は、こんなところまで数字を伸ばせるとは思っていませんでした。1日1日頑張ろうというだけでしたね。最善を尽くして、できることからやっていただけです」と振り返る。

2月5日の試合で、AL全体でも6人しかいない通算200ゴールの偉業を達成した

アジアリーグ通算200得点は、韓国育ちの選手としては初めて迎える節目だ。これまでのトップはアニャンハルラやアイスバックス、ハイワンでプレーしたソン・ドンファンの183ゴール。キム・ギソンは今季、この数字を超えた。プロ選手生活の最初から「アジアリーグ」が存在した世代だが、ライバル視した選手はいたのだろうか。

「これと決めた選手はいませんでしたね。昨日より今日よくなろうと、そのためには何をしなければならないのかという積み重ねでした」

誰よりも練習する姿…ゴールの秘訣も「とにかく入れたいと考えること」

HLアニャンの練習日、キム・ギソンがリンクを上がるのは決まって最後だ。これは年齢が上の方になっても変わらなかった。スキルに長けた選手だが、少しでもうまくなろうと常に貪欲。これほどまでに得点を重ねられる「秘訣」を聞くと、答えはその延長線上にあった。

「まず、毎日一生懸命やることです。2つ目はとにかく『自分が入れたい』と考えること。他にもいろいろありますが、特にこの2つだと思ってやってきました」

「あとは…運が良かったですね。特にパワープレーみたいな場合は、ペナルティをもらう選手も、パスを出してくれる選手もいる、チームの皆が助けてくれた結果だと思っています」

200個目のゴールも、FWカン・ユンソクがゴール前に立ち、相手GKの視界をさえぎっていた。ピンポイントで射抜く高い技術あってこそだが、まずはチームメートの助けに感謝する。 

背番号1は韓国選手の誇りでもあり憧れでもある

アジアリーグが休止されていた昨季は、アニャンハルラからも離れて高校でコーチを務め、自身のプレー機会は韓国代表チームだけだった。空白の期間を経て戻ってきたリーグで感じるのは「変化」だ。「どのチームもプレースタイルが変わりましたね。メンバーも変わって、田中豪も引退して……。そういう選手たちともう少し試合できればよかったんですけど」と、日本のチームが大きく若返っていたことに驚く。

HLアニャンもまた、若手への切り替え期にある。平昌五輪、世界選手権をトップディビジョンで戦った選手が、その経験を伝えていかなければならない。今季もチームトップの20ゴールを挙げているキム・ギソンは後輩たちを「みんなうまいと思っていますよ。私の若い頃と違って、小さい頃からフィジカルも技術もしっかり準備できている」と評する。身長176センチは小柄な部類。卓越したテクニックを受け継ぐ選手は、現れるだろうか。

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