衝撃敗戦のグリッツ、久慈修平が鳴らす警鐘「勝てるホッケーをできていない」 初のプレーオフ進出へ鍛えるべき能力

1/3&4の試合に先発したGK古川の好守連発も及ばず、新春3連戦でグリッツは勝点0となった

取材・文/今井豊蔵 写真/今井豊蔵

アジアリーグアイスホッケー2025‐26シーズン
横浜グリッツホームゲーム 新春3連戦@KOSĒ新横浜スケートセンター
2026年1月2日(金) 横浜グリッツ 1(0-1、0-2、1-2)5 HLアニャン シュート数:横浜31、HL40
2026年1月3日(土) 横浜グリッツ 1(0-1、1-0、0-1)2 HLアニャン シュート数:横浜21、HL41
2026年1月4日(日) 横浜グリッツ 3(2-0、1-2、0-6)8 HLアニャン シュート数:横浜25、HL50

 横浜グリッツは1月2日から4日まで、コーセー新横浜スケートセンターでHLアニャンとの3連戦を戦い3連敗。プレーオフ圏となる4位浮上を果たせず5位にとどまっている。4位東北フリーブレイズとの勝ち点差はわずか「1」。残り16試合に初のプレーオフ進出がかかる中で、敗戦から何を得たのか。昨季は5勝3敗と勝ち越したカードで、今季は1勝(PSS)7敗。大きく勝敗が入れ替わった理由とは。

アジアリーグ順位表>2026年1月4日終了時点

HLアニャンに3連敗……残り16試合、プレーオフ進出へ試されるものとは?

 グリッツはこのカード、第1戦を1-5で落とした。第3ピリオド16分47秒にFW杉本華唯が奪った1点で、完封負けを逃れるのがやっとだった。そして3日の第2戦、GKの古川駿を中心によく守り、クロスゲームに持ち込んだ。39セーブ2失点。1-2で惜敗という結果を、最後の砦のGKとしてどう受け止めていたのか。

「昨年までとは(アニャンが)違うなというのが、今季が始まってからずっとあって……。アニャンの選手もどこかで格上、格下というのを感じていたと思うんです。それが今季はすごく研究されていて、ハードワークしてくる。こんなにガッツリやってくるアニャンは久しぶりで……。負けたのに言うのはおかしいかもしれませんが、この相手に1点差でやれているのは伸びしろがあると思うんです」

 第2戦の先発起用は元日の練習で伝えられており、サブからも外れた第1戦は準備の時間でもあった。アニャンの選手がどういうシュートを打ってくるのか頭に入れて、氷上に立った。それでもアニャンの選手は「全員イヤですよ」と笑う。「これだけスキルの高い選手が、フォアチェックも全力で来るんですから」。一方ではうまい選手との戦いに喜びを覚える60分でもあった。

 フリーブレイズからグリッツに移籍して3年目。昨季は新人GK冨田開に主戦の座を譲った。「もちろん試合に出られないことは悔しいです。でも起用は僕がコントロールできることじゃない。いつも試合に出るものだと思って、準備し続けるしかない」。動きの一つ一つを確認し、頭の中も整理する。出番があろうとなかろうと、週末のたびにそのサイクルを回す。デュアルキャリアを歩むグリッツの選手たちは、その間に仕事が入ってくる。チームのスポンサーでもある「ミツハシライス」に勤務する古川も、スキマ時間を捻出してウエートトレーニングなどをこなす。

 今季のセーブ率は冨田の90.96パーセントに対し、古川が90.12パーセント(4日現在)。ともに一つの基準となる90パーセントはクリアしている。その中で岩本裕司監督は「冨田は小さな故障があったこともあり、2年目の壁にぶつかっているのかもしれません」と口にする。対戦を重ねれば、クセも動きの傾向もつかまれる。その上でGKは対策を考えなければならない。「大きく成長する選手にとっては、2年目がキーなんです。普通の選手はどうしても成績を落とす。でも日本代表に入るような選手は、そこでガンと成績を上げてくる」。指揮官は冨田の成長に期待する一方で、古川の起用を増やすのも選択肢にある。

 そして第3戦の先発GKにも古川を据えた。今季、2試合続けての先発は初めてだ。
 序盤からグリッツは積極的なフォアチェックでパックを奪い、前へ前へと攻めた。第1ピリオド6分37秒にFW杉本華唯のゴールで先制。11分19秒にはFWアレックス・ラウターのゴールで加点し、第2ピリオドは4分12秒、FW久慈修平がゴール裏で絡まれた相手DFを細かい動きで置き去りにし、ゴール前へ切れ込んで3点目を決めた。指1本を立てた久慈のガッツポーズに場内は盛り上がったが、すぐにアニャンの反撃を許した。

3-0からまさかの大敗にベテラン久慈「こういうゲームをやっていると……」

「昨季より1段階前進した」と認めているものの、さらなるレベルアップには選手の意識変革が必要と久慈(右)は語る

 グリッツは久慈のゴールからわずか22秒後にアニャンのDF大津夕聖、さらに15分19秒にもFWカン・ミンワンにゴールを許し、3-2の1点リードでインターバルに入った。第3ピリオドはスタートからアニャンの激しいプレッシャーに手を焼き、たまらず反則を犯す。2人少ない状況の5分22秒、ついにFWシン・サンフンに同点ゴールを決められた。そこから失点を重ね、3-8で大敗を喫した。

 手元からするりとこぼれ落ちた勝利。衝撃的な敗戦の裏で、選手は何を感じたのか。「内容は本当にいいとは思うんですけど……。ただ、勝てるホッケーをしているかというと、やっぱり正直できてないのかなと思っていて」と口を開くのは、ベテラン久慈修平だ。

「こういうゲームをやっていると、いつまで経ってもプレーオフなんて出られない。そこを争っている以上は、やっぱりどう勝つかというのを選手が考えなきゃいけない。練習でその意識はつけられないんです。勝つためのホッケーをゲームから学ばないといけない。今日の試合で3-3に追いつかれた時、勝つために何が必要か、とね」

 グリッツもトップリーグ参戦6シーズン目を迎えている。「去年まではこういう試合を経験して、練習で意識を持ってやって試合につなげていこうとしていたんですけど、もうそれは終わった段階。全日本でもベスト4から決勝に行く難しさを感じたり、決勝がどういう試合だったかをそれぞれが映像で見ている。それを自分たちに置き換えて、もっとホッケーと向き合っていかないと。今日のゲームを見ても、うちの選手たちはまだまだ甘いんじゃないかと」

 アイスホッケーでは異例の3日連続でのゲーム。その最終戦の第3ピリオドともなれば、体力的に厳しい場面も出てくる。「同じ条件で(アニャンに)体力面で負けているんであれば鍛えなきゃいけない。でもそれ以上に……」と続けるのは、体力マネジメントの引き出しだ。「練習量だけのせいにしちゃうのはやっぱりよくないと思うので。ゲームの中でどうコントロールするのか。足が疲れているんだったらうまくつないで、開いて、という判断は、チームのルールとは別に個人で考えなきゃいけないところ」。さらに心のコントロールも同様だ。3-0からの8連続失点。氷の上にいても、失点でハッキリと雰囲気が落ちていくのを感じたという。

「3-0になってすぐに入れられちゃう。今、何をすべきかができていないんです。3-1になった時もそう。次の1点は1点差にされてしまう失点。もちろん反則にも気をつけなければなりませんし、ピリオドを2点差で終わるのか、1点差にされてしまうのかで全然話は変わってくる。で、同点にされたところでも『まだ同点』なんです。勝ち点を取るためにはオーバータイムに持っていって、プレーオフを争うフリーブレイズの上に行くこともできた。そこで沈んで点を入れられると、もうひっくり返すのも難しくなる」

 今後グリッツを待つのは、敵地、本拠地でのスターズ神戸との4試合。そのあとは直接プレーオフを争うフリーブレイズとの2試合もある。久慈は「スターズは戦い方をわかってきて、去年のグリッツのようにいい内容の試合ができている段階だと思うんです。そこで同じメンタルで戦ってしまうと、足元をすくわれる。勝つホッケーを神戸相手にできないと。接戦になってもしっかり勝ち点を取るとか、プレーオフに行けるか行けないかが決まってくる試合になる」。2月の頭まで、今季を占う6試合になる。

「ゲームになると弱気になっちゃって、試合の中でどこを頑張るのか、計算してやるのかができていない。自分たちがどうやった時に勝てたり、調子がいいのかというのはわかっているはず。それを一人一人が試合の中で実現しないといけない」と久慈。アグレッシブに戦った方が勝ち星に結びついているのは、はっきり傾向として出ている。そのスタイルを週末ごとに続けられるかは、チームが課題としてきた個人の「ホッケーIQ」にかかっている。

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