破れてもなお……。開幕はアウェーで惜敗も、内容は悪くない。巻き返し誓うレッドイーグルス北海道

残り3分を切った土壇場、中島キャプテンのゴールで追いついた。今季も優勝候補であることは間違いない

取材・文/アイスプレスジャパン編集部

 1対2と劣勢で第3ピリオドも残り3分を切った。しかしここで追いつくのが昨季プレーオフに進んだチームの矜恃。アタッキングゾーンに入り込んで奇麗にパスを回し徐々に間合いを詰めると、最後は左サイドやや深い位置から中島彰吾がスティックを一閃。この中島キャプテンのゴールで追いついたレッドイーグルス北海道はその後延長GWS戦にまでもつれ込んだ試合を落とし今季開幕戦は黒星発進となった。しかし、60分での敗色濃厚な雰囲気を払拭して貴重な勝点1をもぎ取ったところはさすが。敗れてもなお強し、というところか。

 試合後、中島キャプテンは淡々と悔しさを消化するような表情をみせながらも「勝点0で終わりそうなところを逆に1取って終われたのは決して悪いことではない。確かに負けた事は悔しいが決してネガティブな部分ばかりではなかった」と試合を振り返った。実際レッドイーグルスの2点は全て中島のスティックから生まれたもの。レッドイーグルスの1点目は、相手に先制ゴールを許した直後、選手たちが落胆することなくすぐさま反撃に移り、新加入の安藤優作がうまくアタッキングゾーンでかき回して形を作り、最後はキーパーが抑えきれなかったところを中島が押し込んだゴールだった。「アイスバックスはホーム開幕で勢いがあるので、それに対抗していこうとはみんなに伝えていたが後手後手に回ってしまったかなという印象。レッドイーグルスだけ開幕が1週間遅いのでその分試合勘がまだ戻ってきていないところがあったのかもしれない。ただ、これでみんな感じをつかんだので明日はやってくれるでしょう」と中島は自分にも言い聞かせるような口ぶりでインタビューを締めた。

 荻野順二監督はこの試合について
「やはり開幕戦独特の雰囲気があり、全体的に見て硬さが見られた事は否めない。アイスバックスの勢いも良く、ただその中でもしっかり選手は戦ってくれて第3ピリオドに追いついてくれたし、結果として負けたが延長まで持ち込めたのはよかったと思う」と冷静に振り返った。

昨季同様、荻野監督は選手と心を1つに熱い気持ちでシーズンを戦う


 特にデンマークでの最終予選から帰ってきた2人の日本代表GKのプレーについて、自身もGK出身である荻野監督は、「さすがですね。相手の福藤豊選手は脅威に感じましたし、うちの成澤(優太)もしっかり仕事をしてくれたと思います。両ゴールキーパーともに良いプレーをしていた」と称えることを忘れなかった。そして次戦に向けて「多少開幕の硬さがあったこともあり、我々がやりたいことがまだそこまでできていなかった。ただ、ポイントポイントでその内容は見せてくれていたので、改善すべきところは改善して臨みたい。次はやってくれるでしょう」と前向きなコメントを話してくれた。

 実際、試合が非常に締まった内容となったのは、やはり日本代表の守護神である2人の働きが大きかった。互いに止められるシュートは確実に止める基礎技術の高さはまさにお手本。そして相手の決定的シーンをスーパーセーブで防ぐ見せ場も両者とも充分に提供し、ファンもその2人の戦いぶりを充分堪能できたのではないか? 両GKのパフォーマンスは素晴らしかった。
 アウェイでの開幕戦で勝ち点を落とす形とはなったが、レッドイーグルス北海道は決して悪いパフォーマンスではなかった。9月15日(日)の次戦でどのような展開を見せてくれるのか? レッドイーグルス北海道の巻き返しを、地元・苫小牧をはじめ多くのファンは信じて待っている。

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