横浜グリッツが初の3連勝、観客1000人超え…リンク内外で見える「変化」

2/18は点の取り合いを制したGRITS。試合後に笑顔があふれた

2月18日(土) アジアリーグアイスホッケー 会場:KOSÉ新横浜スケートセンター
横浜グリッツ 7(3−2、3−0、1−3)5  東北フリーブレイズ

取材・文・写真/今井豊蔵

シーズン終盤に来て、横浜グリッツがもう一度上昇気流をつかんだ。
2月4日、5日と東京・東伏見で行われた東北フリーブレイズ戦に7−3、5−2と連勝し5位に浮上。国際試合が行われるナショナルブレイクを挟んで2週間後、今度はホーム新横浜にフリーブレイズを迎えた。

試合開始から敵陣に攻め込む場面が続いたグリッツは、第1ピリオド4分6秒にFW池田涼希のゴールで先制、1度は逆転されたものの、14分にFW鈴木ロイ、19分にDF川村一希が得点し再逆転。第2ピリオドにも3得点し突き放した。第3ピリオドは終盤に反則が続いたこともあり、残り5分からの連続失点で2点差まで迫られたものの逃げ切った。本拠地新横浜での勝利は9月18日のひがし北海道クレインズ 戦以来、ちょうど5カ月ぶりだった。

「無意識に引いてしまう」チームからの脱却で今季9勝目

チーム初の3連勝を振り返りDF蓑島圭悟は「勝つことで自信がついてきたのかなと思います。何かきっかけが必要だった。点を取ることで、それがつかめてきたのかな」と口にした。クレインズから移籍して1年目、「元からグリッツにいた選手は、無意識に引いてしまっている」という印象も、だいぶ変わってきたという。「いろんな選手が合流して、グリッツの色も変わってきたのかなと感じています」。とにかく前へパックを運ぶというスタイルに、頭と体がついてくる選手が増えてきた。

これで今季9勝目。シーズン前の目標としていたプレーオフ進出はなくなったものの、10勝して終わることを新たな目標に、前へ進み続ける。DF菊池秀治、FW氏橋祐太と、チーム結成当初から在籍する選手が引退を発表したのも、大きな動機付けとなっている。蓑島は「10勝に乗せて送り出したいですし、みんな小さいプレーにもそういう気持ちが表れている」。浅沼芳征監督も「0勝だった1年目を知っている選手たちです。いい形で、2桁勝利を実現したい」と意気込んだ。

ついに観客が1000人超え「楽しんでもらえるホッケーを見せたい」

2月19日(日) 横浜グリッツ 1(0−1、0-0、1-2)3 東北フリーブレイズ

2/19の試合、1-1に追いついたT・シュープのゴール

さらなる連勝を目指した2/19の試合は、目の前にぶら下がった10勝目をつかみとることはできなかった。
フリーブレイズとの実質4連戦の最後は「決める力」というチームの課題を突きつけられた一戦だった。点の取り合いが続いた3試合とは違った我慢の展開。第1ピリオド15分に、昨季はチームメートだった東北DFキム・ユンジェのロングシュートで先制され、第2ピリオドは敵陣で戦う時間が長かったにもかかわらず得点を奪えなかった。第3ピリオド11分、DFティム・シュープがゴール前の混戦でこぼれたパックを押し込み同点。ただその後は試合残り28秒で決勝ゴールを奪われると、エンプティで3点目まで失った。

新人ながら第1セットで起用され、12ゴールを挙げているFW杉本華唯が、前日の試合中の乱闘で1試合の出場停止処分を受けた。代わって起用されたのはFW土屋光翼。試合中からは、FWアレックス・ラウター、FW鈴木ロイと1つ目のラインにも入り、自慢のスピードで敵陣へ切り込んだ。

「自分の良いところを、1つ目でも3つ目でも、どこに入っても出そうと意識していました」と言う土屋は、ラウターや鈴木とのプレーも「やりやすかったです。ただパックを運んだ後のフィニッシュができていなかったので、そこは課題ですね」と振り返った。前日とは打って変わってロースコアの試合となり、「きれいに決める必要なんてないんです。何でもいいから1点取れれば良かったんですが」と悔やむ。

この日の土屋のように、急きょ試合に入った選手が自身の力を出せる体制もまた、チームのステップアップには欠かせない。浅沼芳征監督は土屋の起用について「攻めることが大好きな選手ですけど、どういう役割が必要なのかを考えて動いてくれた。努力も見ていますし、この1カ月、2カ月でプレーが変わってきたなと思っていました。ベンチには人数を入れるのではなく、活躍できる選手を入れようとジェフ・フラナガンHCとも話しています」と、試合で見せた土屋のパフォーマンスに手応えを感じている。

試合後には、今季限りでの引退を表明した菊池秀治に花束が贈られた

日曜日の試合は入場者が1063人で、少しずつ増えてきた数字がついに1000人を超えた。新型コロナ禍による制限は徐々に緩和され、グリッツの選手が攻め上がるとスタンドから歓声が起こるようになった。土屋はスタンドから試合を見ていた時期もあり、この変化に気づいている。「だから楽しんでもらえるようなホッケーを見せたいんです」。浅沼監督も「後押しされている感覚はすごくありますよね」。
観客とともに生む熱が、少しずつ大きくなっている。

試合後には、今季限りで引退するDF菊池秀治が、前所属のフリーブレイズの選手たちから花束を受け取り、記念撮影も行われた。土曜日の試合では積極的にゴール前に入るなど、得点を狙っている雰囲気もありあり。同じく引退するFW氏橋祐太とともに、残り4試合の現役生活で何を見せてくれるだろうか。

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