東北フリーブレイズの“レジェンド”小原大輔が史上4人目、通算600ポイント達成の金字塔
取材・文・写真/アイスプレスジャパン編集部
アジアリーグアイスホッケー2023-24シーズン
2/17(土)@西東京市・DyDoドリンコアイスアリーナ 観衆:752人
東北フリーブレイズ 4(1-3、2-2、1-1)6 栃木日光アイスバックス
ゴール:【フリーブレイズ】ロウラーx2、ドゥピィ、小原 【アイスバックス】佐藤、宮田、古橋、鈴木(雄)、出口、鈴木(健)
GK:【フリーブレイズ】畑 【アイスバックス】福藤
シュート数:【フリーブレイズ】35 【アイスバックス】27
2/18(日)@西東京市・DyDoドリンコアイスアリーナ観衆:1189人
東北フリーブレイズ 5(1-0、3-1、1-1)2 栃木日光アイスバックス
ゴール:【フリーブレイズ】ボイバン、田中(遼)、京谷、小原、所 【アイスバックス】寺尾、古橋
GK:【フリーブレイズ】伊藤 【アイスバックス】大塚
シュート数:【フリーブレイズ】33 【アイスバックス】24
思い出深い西東京市、東伏見のリンクで東北フリーブレイズの大ベテラン、小原大輔(おばら だいすけ)が躍動。緑を基調にしたユニフォームに身を包んだ背番号76。その番号が黄金色に輝いた2連戦だった。
「持ってますね、ここ東伏見で600ポイントを達成できたのは」
慣れ親しんだ東伏見のリンクでの2連戦を終えて、試合後のファンイベントに向かう小原の表情は晴れやかだった。
「通算600ポイントをここ東伏見のリンクで達成出来たというのは縁を感じました。トップリーグでデビューしたリンクで記録達成できて……色々なチームを渡り歩いた中で、その都度で良いラインメートに恵まれてここまで長く戦えてきたので、感謝しかないですね」(小原)
小原は、「ポイントがなかなか取れないシーズンもあるなかで、各チームで出会ったトレーナーに身体を治してもらってここまで来ることができた、本当に感謝のひとことです」とさらに言葉をつなぐ。トップリーグでのキャリアをスタートさせたコクド時代からのファンからもたくさんの「おめでとう」の言葉を贈られたという小原にとってこの週末は忘れられない2連戦となった。
※ポイント=ゴール数+アシスト数の合計
東京ヴェルディクラブとのコラボレーションマッチとして行われた、久しぶりの東京でのアジアリーグの試合、そして東京での東北フリーブレイズのホームゲーム。
記録となる通算600ポイントが生まれた瞬間は、2/17(土)の試合、アイスバックスとの2連戦となったその初戦に訪れた。第1ピリオドを1-3と2点のビハインドで折り返したフリーブレイズだったが、第2ピリオド冒頭にジョン・ドゥピィが個人技を生かして1点差に詰め寄った直後、フリーブレイズが完全に流れを取り戻したなかで小原のゴールが生まれる。
「あと1ポイントだよ、ということを周囲からも言われていたので、自分でもゴールに向かう姿勢をより強く持ってプレーした」という熱い思いが、第2ピリオドの1:47に実を結ぶ。
リンクのセンターでパックを持ち上がる武部虎太朗(たけべ こたろう)と併走する形でゴール右にポジションをとった小原はシュートリバウンドが目の前に流れてきたのを見逃さなかった。小原はゴール右サイドの位置からパックをしっかり叩くと、そのパックは見事にゴールマウスを捕らえ、あとは仲間からもみくちゃにされた。
「まわりの選手も記録について意識してくれていたので、ゴールが決まったときは僕よりもベンチが盛り上がっていたみたいで(笑)。そういう風にみんなが助けてくれた記録達成だった、と心から感謝しています」とそのシーンを振り返った小原。
この”記憶にも記録にも残るゴール”で一度は3-3の同点に追いついたフリーブレイズだったが、残念ながらその後アイスバックスの巻き返しを許して、最終的には4-6で敗戦。600ポイント達成を勝利で祝うことはできなかったが、この記録にはさらにすぐ続きがあった。
昨日の試合でのGOALにて#東北フリーブレイズ No.76 小原大輔選手、国内トップリーグ通算600ポイントを達成しました!
— 東北フリーブレイズ(アイスホッケー)【公式】 (@Freeblades) February 18, 2024
小原選手、偉大な記録、おめでとう!!
本日のオープニングにてセレモニーを行います💐#freeblades #小原大輔 pic.twitter.com/rDg5DaHaEO
「これからもチームの勝利のために戦う」強い思いで2試合連続ゴール
続く2/18(日)の試合前には、小原大輔選手が通算600ポイントを達成した偉業を称えるセレモニーが行われた。東北フリーブレイズのチームオーナーでもあり、日本アイスホッケー連盟副会長でもある諸橋寛子さんから記念のボードとチームマスコットのブレイジー人形を手渡されると、嬉しそうに応援席に向けてそれを掲げ、表情も少し緩んだようにも見えた。
しかし試合に入るとその表情は普段通りの戦う男のそれに戻り、小原はチームのために献身的にプレーを積み重ねていく。
そんな小原の元にまたゴールのチャンスが訪れたのが第2ピリオド8:19のこと。ゴール前に詰めた小原のもとにディフェンスからパックが送られると、振り向きざまにそれを合わせる形で2試合連続のゴール。これで通算ポイント記録を601に伸ばした小原は、自身のスケートを指さして「ココに当たった」とでもいうかのように笑顔でアピール。その小原選手を取り囲むように、彼を慕う選手たちがすぐに集まり601ポイント目を祝福した。
この小原のゴールで4-1と完全に試合の主導権を握ったフリーブレイズはその後アイスバックスの反撃を封じ込めて5-2で勝利し、こんどこそ小原の記録達成に華を添えた。
「体型も筋肉量も若い頃と変わっていない」ストイックな姿勢が生んだ大記録
「子どもの頃から大好きなアイスホッケーというスポーツをやっていくなかで、プロとして職業にできていることもとても幸せなんですけれども、まさかここまで長くプレーできるとも思っていなかったですし、こういった記録まで達成できて。あまりそのあたりは意識せずにやってきたつもりでしたけれども、毎年毎年1日1日を大事にやってきた結果がここに繋がって良かったな、ということだけです」
2連戦を終えてインタビューに応じてくれた小原。これだけ長く続けられている秘訣は? と記者から聞かれると、“これぞプロフェッショナル”という言葉を答えとして聞くことができた。
「体型の維持とか筋肉量の維持といった部分はかなりストイックに食事管理から取り組んでいますし、今も20年前に入団した時の体型からほとんど変わっていないんですよ。自分のベスト体重も把握していて、トレーニングの量についても若い時の自分からからほとんど変わらない位のトレーニングをまだできるような筋肉量のレベルを維持しています。もちろん年齢とともに少しずつは変えてきていますが、30歳を超えた頃からそのあたりを気にするようになった、というのがここまで戦えている要因だと思います」と小原。
「昔の選手だと年齢とともに太っていくというイメージがありますが、そういう風にならないように。常に自分のベスト体重や、挙げられるウエイトトレーニングの目標重量などはそのレベルから落ちないように、という点を意識しています」
今季限りでの現役引退を発表も、最後まで自分らしく戦い抜く
この口ぶりからはまだまだ来シーズンも小原大輔選手の素晴らしいプレーが見られるものと信じてやまなかったが、東北フリーブレイズは2/21(水)に公式サイトにて、「今季限りで小原大輔選手が現役を引退する」ことを発表した。
その発表では小原選手自身によるコメントも寄せられている。全文をそのまま掲載させていただく。
2004-05シーズンにコクドでデビューしてから各チームで、そして日本代表で常にトッププレイヤーとして走り続けて来た20シーズン。その大ベテランにもついに”その時”が訪れてしまったことは寂しい。しかし、これまでのアイスホッケー界に対する貢献は絶大だ。
「今シーズンもチームプレーという点をつねに意識して戦って来ました。チームを勝たせることのできるプレーをこれからも徹底して求めていきます」と記録達成した2連戦の後に語っていた小原大輔選手。
フリーブレイズで残り6試合、“優勝請負人”とも呼ばれたその素晴らしいプレーぶりをぜひ目に焼き付けてほしい。
小原選手の通算600ポイントは…
— 週刊フリーブレイズ(Weekly Freeblades) (@weekly_fb) February 17, 2024
三谷ダーシ選手 703ポイント
(JIHL331 + AL372)
藤田キヨシ選手 659ポイント
(JIHL469 + AL190)
斎藤毅選手 638ポイント
(JIHL110 + AL528)
に、次ぐ大記録!(週刊調べ)