惜敗続くスターズ神戸に足りない「スイッチ」
AL経験組の青山大基と矢野倫太朗が口をそろえた“現状”

取材・文/今井豊蔵 写真/今井豊蔵
2026年1月24日(土) アジアリーグアイスホッケー2025‐26シーズン @KOSĒ新横浜スケートセンター
横浜グリッツ 4(2-0、1-3、0-0、0-0、1‐0)3 スターズ神戸 観衆:1176人
ゴール:【グリッツ】大澤、三浦、岩本、上野(GWS) 【スターズ】矢野(倫)、エア懐生x2
GK:【グリッツ】磯部 【スターズ】石田
シュート数:【グリッツ】37(16、10、10、0、1) 【スターズ】36(10、13、11、2、0)
2026年1月25日(日)
横浜グリッツ 3(2‐0、0-2、1-0)2 スターズ神戸 観衆:1020人
ゴール:【グリッツ】大澤、鈴木x2 【スターズ】矢野(倫)、T・オーデルマット
GK:【グリッツ】冨田 【スターズ】ジャン・ガラム
シュート数:【グリッツ】49(16、11、22) 【スターズ】35(10、18、7)
グリッツ戦で初勝利あげたスターズ、2週間後の同カードで惜敗
アジアリーグ1年目のシーズンを戦うスターズ神戸は、1月10日にホーム・尼崎で行われた横浜グリッツ戦で待望の初勝利を挙げた。そして中1週空いて迎えた、再びグリッツとのアウェー戦(新横浜)。24日の初戦は0-3から3-3の同点に持ち込み、PSS戦の末に敗れるという大熱戦となった。翌25日も2-3と1点差の惜敗。好勝負といえばそうだが、勝ちきれないという現実にもみえる。選手たちはどのように感じているのか。
24日の試合、第1ピリオドのスターズは圧倒的に攻め込まれ、自陣での時間が長かった。グリッツのFW大澤勇斗とDF三浦大輝に決められ2点を追う立場となり、第2ピリオド3分にもFW岩本和真にゴールを許してビハインドを3点に広げられた。だが、ここで意気消沈することがないのが今のスターズだ。

11分50秒、ゴール裏から出てきたパックを、ゴール前で浮いていたFW矢野倫太朗がワンタイマーで叩きこむ。反撃ののろしで意気上がると13分、18分にFWエア懐生が連続ゴール。ベンチ前には笑顔があふれた。その後は両軍無得点で延長戦へ。この5分間でも決着がつかず、PSS戦では4人目まで決められない間に、2人の成功を許して敗れた。
「やっぱり勝ちたいですよね……」
試合後、こう声を上げたのは主将のDF青山大基だ。「0-3から3-3まで持って行ったのは僕らの力、成長のひとつだと思うんですよ。正直に。ただ勝ちきれない」。その理由を「決められる場面もいっぱいあったと思います。そうできないのはあと数センチの頑張りとかが、足りていないと思うんですよ」と見ている。
反則も多く、さっぱり流れをつかめなかった第1ピリオドの後、ロッカーで選手たちは「もっと気持ちを出してプレーしよう。ただホッケーをするんじゃない。気持ちを出して自分たちで高めて行こう」という話をしていたという。これは誕生1年目、ルーキーばかりのチームならではの課題だと青山は言う。「どうやって自分を上げるか、スイッチを入れられるようにしていけるかを今、考えないといけないんです」。
そして奇しくも、同じ言葉を絞り出したのが、反撃のゴールを奪った矢野(倫)だった。
矢野倫太朗が自任する使命……フリーブレイズとアイスバックスで知ったこと

「うちのチームは1点を取った後の勢いが強みだと思うんです。だからまず1点取ることを大事にしないといけない。そこに向かってスイッチを入れなきゃいけないんですが、その入れ方がまだわかっていない。自分たちの実力をもっと信じていいと思うんですよ」
初勝利の試合、矢野(倫)は氷上にいなかった。12月6日のレッドイーグルス戦で左足の親指を骨折し、全治3か月との診断を受けたからだ。「でも複雑な気持ちとか一切なく、このチームに来てよかったと本当に思いました」。その瞬間、リンクサイドで涙を流した。
「この西日本初のチームを、とにかく良くするために自分は来たと思っているので。チームに必要なものを問い続けるのが、自分の使命というつもりでいます」
矢野(倫)は中央大を出て一時ホッケーから離れたものの、20-21シーズンの横浜グリッツ立ち上げ時にアジアリーグ入り。3年プレーしたのちフリーブレイズ、アイスバックスへ移籍した。デュアルキャリアのグリッツを離れてからの2シーズン、ホッケーに専念する選手たちを見て感じたことがある。
「チームメートやインポートの外国人も含めて、活躍している選手はたまたまではなく、毎日の努力や過ごし方が違うんだとわかりました」
一転してスターズは、まだ日々の取り組みにムラがあるのだという。人によっても濃淡があり、さらに日によっても違う。「運とかって、毎日の過ごし方だと思うんです」。最後に一歩詰められるかの違いで、勝敗まで決まることがあるのがアイスホッケー。安定した強さを生むには、日々の質を高めるしかないのだと伝えたいのだ。
外崎慶監督は第1ピリオドが終わったロッカーで選手たちに「難しいプレーをしている。もっとシンプルに」と伝えたという。さらに「勝った後に何が待っているかというのは、経験としてわかったと思うんです。いい試合を続けられれば、今日みたいな勝つか負けるかという試合が増えてくる」。たくさんの景色を見れば見るほど、次の勝利も近づいてくる。スイッチの入れ方をつかむ日も、そう遠くはないはずだ。