レッドイーグルス開幕2連勝。攻守にHLアニャンを圧倒する完封劇

プレーオフ並みの準備でこの開幕2連戦に臨んだ、と高橋(中央)

取材・文・写真/アイスプレスジャパン編集部

アジアリーグアイスホッケー2023-24シーズン開幕第2戦
9/17(日)@苫小牧・nepiaアイスアリーナ 観衆:1794人

レッドイーグルス北海道 4(3-0、0-0、1-0)0 HLアニャン
ゴール:【REH】高橋×2、小林、髙木 
GK:【REH】小野田 【HLA】ダルトン
シュート数: 【REH】37 【HLA】44

髙橋聖二が立て続けのゴール! REHが第1ピリオドで勝負を決める

レッドイーグルス北海道が接戦を制して勝利を奪った前日の開幕戦。その直後「この勢いを翌日も続けられるか、 が問われる」と語っていた荻野順二(おぎのじゅんじ)新監督だったが、レッドイーグルスの選手たちはその問いにほぼ満点の回答を示した。

第1ピリオド序盤から、昨日の流れを駆ってレッドイーグルスの選手たちが躍動する。

先制ゴールは4:26に生まれた。アタッキングゾーン左側のスポットでのフェイスオフ。中屋敷侑史(なかやしきゆうし)がパックをしっかり奪って後方の橋本僚(はしもとりょう)へ。すぐさま橋本がシュートを放つとアニャンのゴールキーパー(GK)マット・ダルトンがパックをブロック。しかしそのリバウンドがゴール右に跳ねる。そのパックにいち早く反応した高橋聖二(たかはしせいじ)が振り向きざまにスティックを一閃。
「打つ前に相手の陣形を見て、ディフェンスの股下を抜ければ入る、と考えて余裕を持って打てた」と語る高橋のスティックから放たれたパックは、身体をずらしてシュートコースをふさごうとしたダルトンのプレーも及ばず、その右サイドを抜けてゴールに吸い込まれた。

高橋(左)と中島(右)とのコンビネーションは今季も相手にとって脅威だ

つづいての得点も高橋聖二だ。

先制点からおよそ6分後の10:18。高橋は左コーナーへ相手ディフェンス(DF)を追い詰めてボディチェックしたあとゴール裏を回って正面へ。その高橋の強いチェックをくらって苦し紛れにDFがクリアしたパックの勢いが弱く、それを橋本がなんなく拾ってゴール前で待ち構える高橋目がけてジャストタイミングのパスを送る。それを受けた高橋はパックをいったんトラップしてから後へ引き、バックスケーティングでダルトンを座らせてから大きく開いた肩口へリストショットを一閃。

この流れるような動きから生まれたゴールで、レッドイーグルスはリードを2点へと広げる。高橋の“前へ前へ”と向かうプレッシャーの強さと運動量が生みだしたゴールだった。

さらにピリオド終盤には、ゴール裏から出たパックを右45度の角度で受けた小林斗威がダルトンの左サイドを撃ち抜いて3点目。このファインゴールでレッドイーグルスは第1ピリオドにしてほぼ試合を決定づける得点差を奪った。

コーナーで高橋が身体を張り、パックを奪い取るシーンが多く見られた

「自分の役割は、フォアチェックからパックを奪ってゴールに繋げること。フォアチェックの動きから味方へとパスを繋ぐ、という点は常に意識して足を動かしてパックをアタッキングゾーン内で奪えるプレーを心がけています。あとはチャンスをしっかり仕留められるようにしたい。試合ではシュートの本数を多く打てることに越したことは無いですがそう簡単には打たせてはくれない。なのでシュート2本でも1点を奪えるようなパーセンテージを求めて、そういったシュート精度も意識しながらこれからもプレーを成長させていきたい」(高橋)

その言葉通り、この2連戦では高橋のフォアチェックからチャンスが何度も生み出されていた。

“予告先発”小野田拓人が期待に応えて完璧な守り

守っては、前日の試合中に「GK先発予告」としてこの日の出場が発表されていた小野田拓人が、そのプレッシャーを乗り越え、目の覚めるようなゴールテンディングを披露。

堅い守りで完封勝利の原動力となったGK小野田

DF陣とのコンビネーションも抜群で第2ピリオド以降もHLアニャンの攻撃をしっかりと跳ね返す盤石の守備を披露する。特に第2ピリオド序盤に2度ほど訪れたショートハンドのピンチも落ち着いてゴールを守り切り、アニャンに流れを渡さなかった。

第3ピリオドにはアニャンDFがゴール裏へクリアしたパックがボードの支柱で跳ね返りダルトンの背中に当たって入るラッキーな追加点(記録は髙木健太のゴール)もあり、ここでアニャンの反撃ムードは一気に終息。

レッドイーグルスは前年のチャンピオンチーム、HLアニャンから開幕2連勝で勝点6を獲得するというこの上ないシーズンスタートに成功した。

「成澤さんに続くぞ、という思いでした」小野田拓人が激守

第1ピリオドで一気にラッシュをかけた高橋をはじめとする攻撃陣も見事だったが、なんといってもこの日はアニャン攻撃陣を無得点におさえたGKと守備陣の働きが光った。

特にGK小野田拓人にとってこの完封勝利は、今シーズンの出場機会を自らたぐり寄せたといっても良いくらい、素晴らしい内容だった。相変わらず横方向へのパスを絡めながら速いスピードでディフェンスの裏を取りシュートを打ってくるアニャン攻撃陣に対して、小野田とレッドイーグルスDFは丁寧な守りで対抗。

「アニャンはアタッキングゾーンでのプレーがとても上手く、パックも人もよく動くホッケー。なので、味方DFもマークに付きづらい。そのため常に視野を広く周囲をよく見てプレーする事を意識していました。アニャンの選手はバックサイド(※)にもどんどん入ってくるのでその点は気を付けながら守りました」と小野田。
(※バックサイド=GKがカバーしているサイドとは逆側に大きく開いたスペースのこと。バックドアともいう)

相手シュートを肩口で止める。まさにゴールを死守

プロ入り初めての予告先発という状況に小野田は「昨日も2-1と僅差のゲーム、それを見てからの先発で、立ち上がりはちょっと緊張で堅かったですね」と認めながらも「アニャンの攻撃の勢いを自分なりにうまく止められたことは良かったと思いますし、自信にもなりました」と笑顔。
「ダルトンを相手に先に3点を取ってくれたので少し気が楽になったといいますか、上手くゲーム運びができたと思っています」と味方の援護にも感謝しつつ「昨日の成澤さんの素晴らしいプレーをベンチから見ていて、今日はプレッシャーもありました。でも『やってやろう』という気持ちとも半々でした。アニャン相手という試合のなかでゼロに抑えられたことは自信にも繋がるし、次にまたチャンスをもらえたら、再び今日のようなパフォーマンスをできるようしっかり準備したいです」と充実の表情を見せた。

成澤(左)に祝福され、小野田は試合後ようやく笑顔を見せた

元GKの新監督も絶賛。2試合1失点の守りはポジティブ要素

この日の小野田についてGK出身の荻野新監督は、前日の成澤同様にそのプレーぶりを絶賛した。「今日の小野田は成澤と同じく、プレーを切るべきところでしっかり切ることができていた。プレーの質の高さは『0』という数字がまさしく物語っていると思います」(荻野新監督)

優勝候補筆頭と目されるアニャンに対して開幕2戦でわずか1失点。ゴーリー2人が文句のない仕事を見せてくれたことで、今シーズン今後のGK起用にも幅が出ることは間違いない。

また荻野新監督はDFの充実ぶりも2連勝の要因だったと語る。

「DFがディフェンディングゾーンでやるべきプレーを徹底できていたことがアニャンを抑えられた要因だったとも思います。実は、前日開幕戦のビデオを見たのですがブロックショットが1試合で十数回もあった。それだけブロックショットを記録する試合はなかなか無い。DF陣の『ゴールにはパックを届けさせないぞ』という意識の強さから生じる、小さなことの積み重ねが今回アニャンの攻撃をグッと抑えることに繋がったと感じます」(荻野新監督)

「勝った瞬間は本当にホッとしたという気持ちでしたね。電光掲示板の『0』という表示を見て『完封したんだな』という思いがじわじわあとから湧いてきた感じです。開幕戦ということでチームも良いスタートダッシュができたし、連勝に貢献できて良かったです」と小野田が振り返ったように、このうえない形で2023-24シーズンの滑り出しを飾ったレッドイーグルス北海道。

HLアニャンからの完封勝利はずっと小野田を応援してきたファンも格別の思いだったろう

攻撃で貢献した高橋も「昨季プレーオフでギリギリのところで負けてしまった。その悔しい気持ちを忘れていなかったので、このカードが決まったときから心も体も最高の準備をして臨もうと思っていました。この2連戦、アニャンには昨季からの主力が2人抜けた状態でも6~7割は攻められていた状況でしたが、その中で守りを固めてレッドイーグルスらしい、ウチのホッケーができたという点でも、非常に大きい勝利だったと思います」とこの2試合にプレーオフ並みの気持ちで臨んだ、と話してくれた。

試合後、ファンの声援に応える高橋(左)

「アニャンは少し攻撃のパターンを変えてきたが、まだ我々のシステムに対して対応しきれない部分があり今日の結果に出た。チームの雰囲気は非常に良くて、相手の攻撃パターンを全員で共有し、そこに対してどう守ろうか、という視点を選手からどんどん声を上げてアイデアを出してくれている。今日のゲームでも身体を張って『ゼロ』にゴールを守ってくれた。そういった選手たちの姿勢が本当に素晴らしい。チームとして勝ち取った勝利で、これは間違いなく次に繋がると思います」(荻野新監督)

HLアニャンは2連敗スタート

いっぽう、開幕戦直後には「明日はもっと良い形の攻撃をお見せしたい」と雪辱を誓っていたペク・ジソン監督率いるHLアニャンにとっては痛い2連敗となった。

2連戦で奪った得点はわずか1点のみ。HLアニャンは大エースのキム・ギソン引退で空いた穴をどう埋めるのか?

2戦目の試合後、記者はペク・ジソン監督にコメントをもらおうと向かったが、ミーティングも早々に監督は会場をあとにしていた。その事はこの完封劇がアニャンのチームにもたらした衝撃を表していたのかもしれない。はたしてどうチームを立て直してくるのか、前シーズン覇者の巻き返しにも注目したい。

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