レッドイーグルス北海道が挑む本拠地プレーオフファイナル、目指す“ゴールデンイヤー”
取材・文/アイスプレスジャパン編集部

レッドイーグルスがリーグを制覇すれば14年ぶり
アウェイの地、韓国アニャンで連勝し、プレーオフファイナル制覇に王手をかけたレッドイーグルス北海道。いよいよ今日4/2(木)からホームリンク・nepiaアイスアリーナでの戦いが始まる。
あと1つ勝てば、前身の王子イーグルスからクラブチーム化して『初』、前回2011-12シーズン(当時は王子イーグルス)から数えると14年ぶりのリーグ制覇となる。日本チームによる優勝も2014-15シーズンの東北フリーブレイズ以来となる11年ぶりだ。
(注:2020-22年の2季コロナ禍によるシーズンキャンセルあり。その渦中に行われたジャパンカップは2年連続で王子イーグルス、レッドイーグルス北海道が連覇している)
日本リーグ時代から強豪チームだったレッドイーグルス北海道だが、今やリンクを取り巻く雰囲気は大きく変わった。
プレーオフ前哨戦となった2/28(土)のホームゲームではついに3000人の大台を超す3043人もの観衆をnepiaアイスアリーナに集めた。選手入場では、チームカラーの赤に光るペンライトを楽し気にファンが振り、ゴールのシーンでは音楽と共にファンのみんなが歓声をあげて喜び合うシーンはすっかり定着している。
ファン層もかなり変化しており、若年層や女性層の来場も大きく増えた。かつての日本リーグやアジアリーグ黎明期のように、ホッケー通と思われる大人の層が真剣であるが故に静かに試合を見守るスタイルだった苫小牧のリンクは、バスケBリーグやバレーVリーグの雰囲気にも似た、ファンエンターテインメントに溢れた空間へと大きく様変わりした。
漫画「ドッグスレッド」や「ゴールデンカムイ」とのコラボ企画、アイドルやミュージシャンを呼んでの氷上ライブ…従来のアイスホッケー演出の枠を大きく超える取り組みはファンにも驚きと喜びをもたらした。またジュニア世代の大会開催、大人向けの初心者スクールを継続的に主催するなど普及活動も抜かりなく取り組んでいる。
リンク内や駐車場のスペースに多くのフードトラックや売店が軒を並べる「Eグル」も苦しい時もある中、それを乗り越えて継続することによって今は完全に定着し、試合の日にはリンクで毎回縁日が開かれているような楽しい雰囲気となり、それがさらに新たなファンを引きつけている魅力にもなっている。

「チームがこれだけ近い存在になったからこそ、ファンがこれだけ熱く応援してくれる。そして選手たちも、ファンの熱さがこれだけ近いからこそ、もっともっと頑張れる。そんな相乗効果が今のレッドイーグルスホーム戦の雰囲気を作り上げてくれています。始めた時は本当に大変だったですが、少しずつ積み重ねできたことでようやくここまで来た。そう実感しています」と語ってくれたのは、レッドイーグルスフロントスタッフの田中強さん。田中さん自身もサッカー畑から転身し、5年をかけてここまでこのアリーナの雰囲気を育ててきた。ほかにも数多くのスタッフが、この地ならではの演出は何なのか、またファンに受け入れられる施策はどういったものなのかをゼロから作り上げてきた。
特筆すべきは、選手たちがここ数年、他競技と比べても非常に高いファンサービスの意識を持っていることだ。
プレー以外のシーンでもサイン会やイベントに積極的に参加し、テレビ出演などメディア露出も嫌がらずにこなしている姿は新時代のアスリートと言っても良いのではないか? アイスホッケー界は以前からファンへの想いをしっかりと表現しファンサービスにも積極的な選手が多かったが、ここ数年のレッドイーグルス北海道のメンバーはさらに深い観点から選手としてファンへのエンゲージメントを理解している選手ばかりだと感じている。
選手としてのトレーニング、強くなる努力に加えてファンサービスも怠らない姿勢には本当に頭が下がるばかりだ。
選手からの理解も得てのファン施策の数々。レッドイーグルスでしかできなかった雰囲気づくり

チームフロントと選手が協力し、大都市での他競技の興行にも匹敵する素晴らしいエンタメ空間に進化したnepiaアイスアリーナで、レッドイーグルスがついに戴冠する時、いったいどんな雰囲気になるのか?
そしてそれが達成された時、一時期の低迷からアジアリーグが脱却し、アイスホッケーが持つ魅力をさらに多くの新規ファンに向けて新たなステージに入るではないかと、心から楽しみでならない。
選手たちの努力で勝ち取った「全日本選手権」のタイトル、そして「アジアリーグ」のタイトル。その2冠に加えて、今季その行方が気になる”賞”がある。それは「ホッケータウンインアジア」の称号だ。
そのシーズンで最も競技の普及活動、地域交流などに関して最も優れたホームタウンを表彰する タイトルが、もし苫小牧にもたらされるのであれば、クラブ化から脈々とファン施策を積み重ねて素晴らしい雰囲気を作り上げてきたフロント陣にとっても心から胸を張って受け取れるタイトルになるだろう。
氷上の2冠に加えて「ホッケータウンインアジア」を受け取ることとなれば、レッドイーグルス北海道にとって2025-26シーズンは正真正銘のゴールデンイヤーとして記憶される年となる。