コリアリポート:アジアリーグ・韓国チームの「今」

取材・文・写真:今井豊蔵

アジアリーグアイスホッケー2020-21シーズンは、韓国が日本のチームとアジアリーグを構成してから18度目のシーズンを送るはずだった。
ただ新型コロナウイルスの拡大によって両国をアイスホッケーのために行き来することはできなくなり、リーグ戦は中止に。
韓国の各チームも難しいシーズンを送っている。

ハルラのナム・ヒドゥ(左)とチェ・ジンウはともに身長180センチを超える大型DF。代表の若返りを担う存在と期待がかかる(2019年12月撮影)

韓国アイスホッケー界にもコロナの影響は大

韓国では昨年末にコロナ感染が再拡大し、各チームが練習しているリンクも閉鎖。氷上練習を行えない時期が続いた。年明けから少しずつ状況が改善し、1月中旬になって伝統の大会「第75回全国アイスホッケー総合選手権」の日程が発表された。第二次世界大戦が終わった翌1946年に第1回が行われたという長い伝統を誇る本大会は、本来なら大学と実業団が混ざり、成人男子の韓国一を決めるのだが、大学チームは練習不足により試合に臨む準備が足りていないと判断、参加を見合わせた。

アジアリーグに加盟するハルラデミョン、そして今季国内選手だけで復活を遂げたハイワンの3チームが1回戦総当たりで戦う大会は1月27日に開幕、ハルラとデミョンがそれぞれハイワンを下し、31日の直接対決を迎えた。

ハルラ―デミョン戦は、今季の各大会で無敗を続けるハルラが先制を許す意外な展開。デミョンは第1ピリオド6分にFWチョン・ジョンウが先制点、さらに2分後にもゴールを記録し2-0とリード、昨季に続く優勝へ流れを作った。

しかしハルラは第1ピリオド12分にFWイ・ヨンジュンのゴールで追撃を開始、第2ピリオド6分にFWアン・ジンフィのゴールであっけなく同点とした。
そしてこのピリオド終了直前にはDFナム・ヒドゥがゴール正面からのミドルショットを決め3-2と逆転。第3ピリオドは終盤にデミョンが6人攻撃を仕掛けたものの実らず、これが決勝点となった。

ちょうどラインが入れ替わるタイミングでパックを奪い、即決勝点を決めたDFナム・ヒドゥ「しっかり守ろうと準備していたらチャンスが来た。『来た』という気持ちで決めました。2点を先にとられたプレッシャーでぎこちなくはあったけど、コーチや監督がしっかり試合に集中させてくれた」と笑顔を見せる。

ハルラはこの大会10回目の優勝に加え、今季公式戦での連勝を10に伸ばした。
1勝1敗のデミョンが2位。2連敗のハイワンが3位。最優秀選手にはハルラのFWチョ・ミンホが選出され、最多ポイントには6Pを記録したデミョンのFWアン・ジョンヒョンが輝いた。

2022冬季北京五輪への道は残っているものの……

ハルラでは、27日のハイワン戦で膝の故障から復帰し、1得点したDFチェ・ジンウに続く若手大型DFの活躍が勝利を呼び込んだ格好だ。1歳違いの二人は韓国代表の常連でもあるだけに、代表にとっても喜ばしい。
ただ、コロナに端を発した課題は山積みだ。アジアリーグのない今季、韓国協会は成人チームを対象に5つの大会を編成したものの、試合数は全部で20試合ほどにすぎない。過去数年、韓国代表の主力となってきたGKマット・ダルトンら帰化選手は合流もできていない。
世界選手権Division-1Aは中止となったが、韓国はまだ2022年2月に予定されている冬期北京五輪出場の可能性を残しており、8月には最終予選(ノルウェー・オスロ)も控える。代表関係者からは「実戦経験が圧倒的に足りていない。このままでは実力を維持するのも難しい」と不安の声が上がっている。

※韓国内:今後の大会
2月5日から新設の「実業団連盟戦」が3チーム参加の1回戦総当たりで、17日からコリアリーグが実業団に光云大を加えた4チームの1回戦総当たりで行われる。代表活動の再開は未定で、4月に予定されていた日韓戦もコロナ余波で中止となった。

編集部より:
海外のアイスホッケー事情にも精通している今井豊蔵さんの韓国リポートをお届けします。
今季は残念ながらコロナの影響で、アジアリーグアイスホッケーも海外との試合交流がなくなり、韓国・ロシアのチーム情報についての報道が全くないに等しい状態になっています。
しかし、“アジアの各国、また極東ロシアのチームと協力しながらこの地域のアイスホッケーの強化普及に貢献する”というのがアジアリーグの理念の1つでもあります。
アイスプレスジャパンは、重要なパートナーとしてアジアリーグアイスホッケーに参加している(過去に参加した)各国のチーム事情、アイスホッケー事情を伝えるのも重要な役割と捉えており、今後もこのような記事を積極的に公開していく予定です。
ぜひご期待ください。また各国からの情報提供も大歓迎、お待ちしております。
情報はコチラまで>icepressjapan@gmail.com

Update: