移籍してきた日本代表・蓑島圭悟が指摘するグリッツの「クセ」 

HLアニャンに善戦も、2連戦で得点は0。グリッツがプレーオフに進むにはもう一段の進歩が必要だ

10月16日(日)KOSÉ新横浜スケートセンター 
横浜グリッツ 0(0-4、0-1、0-2)7 HLアニャン

取材・文・写真/今井豊蔵

HLアニャンとの本拠地2連戦は無得点「去年からいる選手は引いてしまう」

開幕直後には4戦3勝で順位を2位にまで上げた横浜グリッツはその後、昨季のジャパンカップを制したレッドイーグルス北海道、ほぼ韓国代表といっていいHLアニャン(旧ハルラ)との6試合を全敗。順位を6チーム中5位まで落とした。10月15日、16日と本拠地・新横浜にHLアニャンを迎えての2連戦は1点も奪うことができず、連敗に終わった。

0-7で敗れた第2戦、チームは「もっとアグレッシブにプレーして、得点のチャンスを少しでも作れれば」という方向性を掲げていた。2分過ぎにHLアニャンが先制してからも、パックをなかなか奪えないという状況ではなかった。ただ残り6分から、立て続けに3失点して0-4。
浅沼芳征監督は「タフなプレーを求めてはいたけど、イージーなミスが出てしまった」と悔やむ。

相手と競り合う蓑島圭悟選手、彼が指摘するグリッツの「クセ」とは?

プレーオフを目指すために必要な意識改革

今季、ひがし北海道クレインズから加入したDF蓑島圭悟は、「相手にプレッシャーをかけて、アグレッシブに行きたいところでも、去年からグリッツにいる選手には引いてしまうところがある」と指摘する。シーズン2勝に終わった昨季は戦力不足が明らかで、そもそもパックをなかなか持てなかった。勝機を見出すには、まず引き気味に、しっかり守ってのカウンター戦法が重要だった。その「名残」があるという。

「引くクセは改善が必要だと思います。やればみんなできるので、意識の問題だけです」と浅沼監督も言う。新人選手や外国人選手の加入もあり、戦力は大幅にアップ。この試合もシュート数で見れば、HLアニャンの34本に対してグリッツは29本。決して我慢し続けるだけの展開ではなくなっている。もっとパックを奪って前に運び、試合をコントロールできるはずだというのだ。

“デュアルキャリア”ならではの刺激も

アジアリーグが復活したことで、初の顔合わせとなる韓国のHLアニャンとはすでに今季の対戦の半分を終え、4戦全敗。蓑島は「高いレベルに慣れることでレベルが上がる」と、リーグ優勝6度を誇る強豪との「初遭遇」には大きな意味があるという。そしてグリッツが掲げるデュアルキャリアは、移籍してきた蓑島にももちろん、例外ではない。IT企業で営業職につき、汗をかく。

「どっちもやっているからこそ、どっちもモチベーションが上がる。ホッケー だけやれていた時より、今の方が楽しい。20代のうちしかできない経験だと思いますし」。グリッツのロッカールームでは、様々な業種の「ビジネスの話題」が飛び交うのだという。他のチームではありえないことだ。様々な刺激が、チームを成長させる。プレーオフ出場という目標に向かって進んでいく。

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