「勝つんだ、という気持ちをチームで共有できた」
初のPO進出へ、敗戦ショックを吹き飛ばすGK磯部裕次郎の奮闘

取材・文/アイスプレスジャパン編集部 写真/今井豊蔵
2026年1月11日(日) アジアリーグアイスホッケー2025‐26シーズン @尼崎スポーツの森
スターズ神戸 1(1-2、0-3、0-3)8 横浜グリッツ 観衆:755人
ゴール:【スターズ】イ・ミンジェ【グリッツ】杉本x3、岩本、大澤、鈴木、ラウター、三浦
GK:【スターズ】ジャン・ガラム【グリッツ】磯部
シュート数:【スターズ】25(6、10、9)【グリッツ】30(12、12、6)
※編集部よりお詫び:編集部サーバーの不調により当記事は1/10尼崎ではなく1/24新横浜の試合での写真を掲載しております。申し訳ございません
1/10(土)に尼崎で行われた試合で、スターズ神戸に4-5で初勝利を献上した横浜グリッツ。アジアリーグの歴史に刻まれる1戦だったことは間違いない。また、横浜グリッツにとって少なからぬダメージもあったことは否めないだろう。しかし、敗戦の翌日、チームは大きく気持ちも切り替わっていた。
あまたのシュートを放ちながらなかなか追いつくことができなかった土曜の試合とは打って変わり、開始29秒に杉本華唯が号砲を鳴らしたかのような先制点を奪うと、その後はパックを相手ゴールに集め着実に得点を奪う。終わってみれば大量得点差で勝利し、スターズ神戸に向いていた勝利のベクトルを再び奪い返した。
「気持ちの準備はできていた」流れを変える好セービングで準完封

その試合で輝きを放ったのが、先発GKに起用された磯部裕次郎だ。前日は第3ピリオドからリリーフの形で出場。難しい状況にも関わらずゴールをしっかり守り切っていた。
「(第2ピリオドを終え)次にパワープレーで点を入れられたら行く、と聞いていたので気持ちの準備はできていました。チームも3ピリからエンジンがかかって、自分としては1本か2本しか受けていませんでし。結果として試合は負けてしまいましたが、自分の気持ちとしてはチャンスが少ない中での貴重な出番。個人の成績としてはゼロで抑えられて、『よし、本当に出番が来たな』という気持ちで臨めていたので」
自らのプレーで流れを変えられたという手ごたえもあったのかもしれない。そして迎えた日曜日、スターズ神戸との連戦2試合目。磯部はある決意と目標を秘めて氷上に向かった。
「結果として前日はスターズに負けてしまって……。1回作り直そう、じゃないけれども、気持ちを作り直してやっていこうとチームが取り組んでいる。その中で僕自身ははまたちょっと別の感情というか、思いがありました。自分自身、やはり試合に出ていない分、『せっかく回ってきたチャンスをどうにかしてでも勝ち取ってやる』という気持ちで臨んだので」
スターズに1点も与えずに勝つ。磯部はそんな気迫を心に秘め、尼崎のリンクに立った。
開始29秒、グリッツは杉本のゴールが飛び出す。味方が早々に点を奪ってくれたことで、日曜日の試合、グリッツの攻守の歯車は完全にかみ合い高速で回り始めた。磯部は個の力にたけたスターズのFW陣が放つシュートを次々と止めていく。しなやかな動きと早い反応でパックを次々と止めていくゴールティンディングは磯部らしいエネルギーにあふれていた。
「今日のプレーでは、(低いシュートの軌道に対して)動きたくなってしまうところを、あえて我慢して座らずに対応できていたことが自分でも納得のいく内容だったと思います。 あとはもう、自分で言うのもなんですけれども、『パックを止めるぞ』という執着心、その気持ちが本当に強くプレーに表現できたと思っています」
前日の敗戦のショックを振り払う原動力となったことは間違いない磯部の素晴らしい守りだった。シュート25本で1失点の準完封。この結果で磯部は改めてグリッツのGK陣の先発争いに名乗りを上げたといって良いだろう。ただ、磯部自身はイ・ミンジェに1点を奪われたシーンを反省点にあげ、今度こそ完封勝利をあげることを誓った。
「味方が開始すぐに点を取ってくれてすごい気持ちは楽になりましたが、自分の中で、『完封したい』という思いで臨んだ試合だったので……。割と早い時間帯で肩口を抜かれてしまって失点した。自分のプレーの選択としても少し迷いがあったので、そこは結構大きな反省点だと思っています。でも、入れられてしまったことはどうしようもない。そこから気持ちの切り替えはすごいスムーズに自分の中でできていたと思います。本当にもう、あとは1点も与えない、ということを思い続けてプレーできたことは、うん、合格点ではあるかな……。でもまだまだ100点満点では全然ない。本当ギリギリ合格ぐらいですね」勝利を喜びつつも次戦への課題を見つめる磯部。「この試合を振り返ってみると、GKである自分も、FWやDFのプレーヤーも気持ちは一緒で。結局、終着点も一緒で、とにかく勝つ、最終的なところでは絶対に勝つんだ、という気持ちをすごく強く出すことができた試合だったと思います」

敗れれば今後のシーズンに大きく影響してしまうことも考えられたこの試合で磯部が果たした役割は大きい。 グリッツvsスターズの再戦は1/24&25(土日)に新横浜で行われる。果たして、この両チームが再戦でどんな戦いを見せてくれるのか? 楽しみでならない。
「この勝利で、チームの雰囲気もまた盛り上がってきましたし、ホーム新横浜での神戸戦も本当に1戦も落とせないと思っているので、ここから自分もチームを盛り上げ、プレーで貢献できるように一生懸命頑張ります。チャンスが来たら、次こそ完封したいと思っています」
チームに勢いを呼び、初のプレーオフに連れていく。そう決意する磯部のプレーから目が離せない。
(1/24追記)
1/24(土) 横浜グリッツ 4(PSS)3 スターズ神戸 >試合後、ゲームMVPに選ばれた磯部裕次郎選手、氷上でのコメント全文
「初めまして磯部裕次郎でーーーーーーす!!
本当に今日、展開としてはすごい苦しい試合だったんですけれども、本当にファンのみなさまが熱い応援をしてくれて、それが本当に僕たちの背中を押してくれて。延長PSではありますけれども勝てたのは本当に“爆アガリ”してくれたファンのみなさまのおかげです! ありがとうございました!!」
