ゴール量産中!
得点&ポイントで現在トップのアイスバックス古橋真来が好調の秘密を語る

写真/今井豊蔵 取材・文/アイスプレスジャパン編集部

アジアリーグアイスホッケー2023-24シーズン
10/21(土)@日光霧降アイスアリーナ 観衆:1016人

栃木日光アイスバックス 3(1−0、0−1、2−3)4 HLアニャン

栃木日光アイスバックスのエースフォワード(FW)、古橋真来(ふるはしまくる)が絶好調だ。

現在10/21終了時点で12ゴール8アシストの荒稼ぎ。東北フリーブレイズの新助っ人、アレックス・ボイバンを抑えて得点ランキングではトップを快走中、ポイントも20を重ねボイバンとランク1位を分け合っている。 

10/21(土)のアイスバックス対HLアニャン戦では高いレベルを誇るアニャンディフェンス陣を前にして、古橋はその技術で相手を翻弄。
第1ピリオドの終わり際19分29秒には相手GK、マット・ダルトンの目の前に浮いたパックに誰よりも早く反応。クロスバーギリギリの高さにあったパックをスティックでたたき落とし1-1同点に追いつくゴールを決めた。

10/21の試合ハイライト映像(アジアリーグアイスホッケーTVのリンク)↓
https://tv.asiaicehockey.com/video/12248

「パックをキープできるスキルの高い寺尾と清水とのラインなので、そのあたりは2人に任せてゴール前でのプレーに集中していました。リバウンドで浮いたパックを上手く叩けた」(古橋)

その後ショートハンドゴールで再びリードを奪われたアイスバックスだが、第2ピリオド11分25秒にはまたしても古橋の華麗なスティックさばきがゴール前で炸裂し2-2の同点に追いつく。
「ラインメイトがコーナーで頑張ってくれたことが生きたゴールでした。ゴールの直前に佐藤大翔とも目が合ってこれは打って来るぞ、と。そのシュートにゴール前で良い呼吸で合わせられた」(古橋)

ブルーライン付近左のフェンスぎわから佐藤大翔(さとうひろと)が放った速いシュートをGKから見て右ななめ前で見事にディフレクション。古橋自身の足の間でスティックを合わせ、パックを股間に通したようにも見えたこの超絶テクニックには韓国代表GKのダルトンもいっさい反応ができずお手上げという様子だった。

「空中で合わせる方が簡単です」さらりと言ってのける技術の高さ

この2点目は、記者席から見ると空中にあるパックに対して見事にスティックを当てたようにも見えたのだが、古橋本人に聞くと全く違うらしい。

「今日の2点目は(佐藤のシュートが)スライドだったんですけれども、スライドシュートは角度を変えるときにしっかりパックを浮かさないとゴールには繋がらないので、叩く感覚というよりはブレードを上手く使ってパックをのせるというか……。レシーブに近い感覚ですね。パックをやさしく扱うイメージといいますか。浮いているパックのほうがおそらく処理は簡単だと思いますね」

ゴール前で身体を張って決める、といった新しい得点パターンを追い求めている

浮いているパックの方向を変えること自体がとても難しいように思うが、古橋は柔和な表情でさらりと語る。
氷上を高速で滑ってくるパックを後ろ向きでワンタッチしてGKのいないところへ浮かせて飛ばす技術はまさにFWの真骨頂。このあたりは子どもの頃から培った練習のたまものであり、本人にとってはスティックから伝わってくるパックの感触ですべてを把握できているように想像されるが、さらりと言ってのけるところに古橋の凄みを感じた。まさに彼にしか分からないゴール前での位置取りのコツやスティックブレード角度の合わせ方があるのだろう。

グリッツ4連戦で7ゴール。まだまだ燃え上がる向上心


古橋は9/30と10/1にアウエー新横浜で戦った対横浜グリッツ戦でもその得点能力と技術をいかんなく発揮していた。

新横浜からホーム日光と続いた対横浜グリッツ4連戦では7ゴール4アシストとポイント量差体制に入った感があるが、その内容を改めて見てみると彼の技術の高さが分かる。

来年2月に行われるであろうミラノコルチナオリンピックの2次予選に臨む男子日本代表のエースとしての活躍にももちろん期待が掛かる古橋。今春の世界選手権ディビジョンIBでは日本代表がIAに昇格する5連勝に大きく貢献。古橋が持つ技術もフィジカルも世界で十二分に戦えることを自ら証明してきた。

新横浜のグリッツ戦では、得点力の高さをファンと相手に見せつけた

いっぽうで例年は日本代表が参加している欧州遠征「ユーロチャレンジ」は連盟の資金難が理由で残念ながら11月に予定されていた遠征はとりやめとなり国内合宿に切り替えられた。国内での調整で世界と戦えるのか? そういった疑問の声もあることはたしか。しかし、古橋はすべて国内でのリーグでその力を伸ばしてきた希有な存在でもある。

古橋はまだまだ自分自身をより進化させることに貪欲だ。

「良い選手がウィングにいるので、泥臭いプレーをやっている成果が出ていると思います。今日もゴール前でのプレーで得点できたので。昨年は鈴木雄大、健斗の兄弟と組んでいたのでややゴールから離れ目にプレーすることも多かったのですが、今年は寺尾と清水を信じてゴール前に立つ。仲間を信じてゴール前の良いポジションを死守するというのが第一かなと。その積み重ねで色々なプレーができるように、自分のプレーの幅を広げることができたらと思っています」(古橋)

現在トップとは勝点1差でアジアリーグの3位につけるアイスバックス(10/22現在)。
日光生まれ日光育ちの古橋がアジアリーグで見せるアイスバックスでのプレーの積み重ねは「世界で勝つ」こととも直結する。悲願のリーグ優勝に向けて古橋の大爆発は欠かせない。
アイスバックスを頂点に導くという期待とともに、古橋のプレーの進化にはますます目が離せない。

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